五話 せっかくだから俺は目玉焼きを焼くぜ
データなんてもうどうでもいいやと思った波奈はリハビリの末になんとか退院出来た。だが、もうその街に波奈の居場所なんて何処にも存在していなかったのだ。しかし、謎の男から 「まだデータは生きてる」と告げられる事から新たな戦いが始まる。波奈は何処へ行くのか
はぁはぁ…… い、家が見える
ダメだ
辿り着けない
意識が
「は!」
目が覚めたら室内だった
「起きたかい。まったくあんな所で倒れてるなあんな所でねぇるなんて……あたしゃなら死んでるね」
そして、目の前で喋るのはどうみても老婆である
「あれ?傷は治ってない?おばちゃん、一体どうやって俺を看病したんだい」
ババアは茶らしきものを喉に押し込んで答えた
「秘密だよ。乙女の秘密は知ったら死ぬよ」
「ふん。どうでもいいけど、お礼に何かやろっか?」
「そうだね」
「うまいもんを作れるかい?」
「それだけでいいんだ。ところで卵あるかい?」
「み、右の棚に……」
ババアはとりあえず危ないので椅子に座らせた。で、右の棚にある卵かあった……って金色してんだけど??
大丈夫です。中身はあなたの知ってる卵ですから
スキルは言った。え〜と……次にフライパン は あったあった鉄かな?ま、いいか
そうして火はスキルをかなり弱めてつけた。考えてみたらラノベ世界はどうやって料理してるんだろ?
不便そう
「はい。出来た。目玉焼き」
「ああ……いただくよ。ん、こりゃうまいうまいようますぎてなぁ…」
目玉焼きをするりと食べたその時、ババアは胸から小さなナイフを取り出して、自分の、胸を、刺した、、、、、? する と
「ばっかなんだからー!そんな都合よく老婆が現れるかっつーの!」
ナイフを刺して現れたのはあの前に会った小学生みたいな女だった
「ところであんたヤミク・ ウニュ って知ってる?」
「ああ知ってるがそいつなら……」
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「殺した?四天王の一人を?」
「うん。あともう一人もね。大変だった」
そこではぁぁ〜と 思いっきり溜息、
「実はね……あの女の子は私の弟子なんだ」
「ええ!?じゃあ四天王を育てた犯人はお前かよ!」
「違う違う……」
「じゃあ何で四天王に?」
その時、ギシリと椅子が泣いた。傾きは僅か二十度程。そして、何故か笑うこの人はまさに狂い葩
「修行してたらね、もうこんな所いられないってさ。出て行っちまったんだよ。そんなこんなで辿り着いたのが魔王 ビユ だった。 んま、まさか魔王に操られて四天王になるとは思わなかったと思ったけどね」
「そもそも生まれはどこよ」
「生まれは確か クライドシグナル家 だったかな〜 イシュタハ王国の貴族……だったんだけど、革命により一家は離散してしまった。そして、ヤミクこと クローバークライドシグナル も 姉と別れる事になり、私が死にかけてたのを見つけたのさ」
「姉?姉がいたんだ。姉はどんな女なのよ」
その時、女は少し発言を躊躇った
「あれはね、生まれつき変わった病気で発作が起きると誰も止められないのさ。名を カオバ ・クライドシグナルと言ったね。バラバラになって以来行方はしられてない」
「見た目はどんな?」
「……髪を馬の尻尾の様に二つ纏めているかな」
「え?」
そう俺は思い出した。あの倒れた女の事を……
「じゃあ俺はもう行くよ!最後に君の名前は?」
「タカマツ ヤマダ 」
「ヤマダね!じゃ会えたらまた!」