表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(仮題)理不尽の清算  作者: 月見窓
7/12

第7話 救われた命、救われぬ命

投稿が遅い理由。

1、PC不調による執筆中の消失。

2、体調不良による執筆停止。

3、ゲームしてました。


この話は時間の進みが早い。

文字数はそこそこ。

 一方的な殺戮が行われた洞窟の広間。


 だが血糊や死体は無く、殺人の行われた痕跡は全て隠されていた。


 朝の涼しい風が広間に流れ込み、その朝の気配にタクミは目を覚ました。




 洞窟の広間には入り口以外にも奥が有り、一つは寝床として使っていたのだろう毛布が散乱した部屋があり、もう一つは野盗共の成果といえる物が置かれていた。


 「これは金で出来てそうね。こっちは銀ね。これは……小麦粉かしら……ちょっと荒いわね。これは、塩ね。この入れ物は全部調味料なのね。貰って行きましょ。あとは……宝石と、へぇ予備の剣とか有るなら貰って行っちゃいましょ。」


 一人ぶつぶつと喋りながら物色するタクミ。

 下手をすれば目利き中の犯罪者にしか見えない構図だが、タクミを止めるものはこの場に誰一人として存在しない。正当防衛のの対価として使えるものを物色しているだけである。

 過大認識と言えるかもしれないが、正当防衛なのだ。

 タクミには最初から殺意はあった。だが先に剣を向けたのは野盗の男共だ。タクミは害意を向けられたので応戦し返り討ちにしただけと、最低限言い訳が出来るように動いていた。

 なので、慰謝料や治療費代わりに請求したいが、その相手が一人も生存していないので勝手に持っていくと言うことだ。

 作りのしっかりした背負カバンもあるのでそれに一杯になる程詰め込むタクミ。

 持っていく荷物を纏め、元の広間に戻る。

 この場に人質として連れて来られた姉妹は、未だに目を覚まさず、その胸元は静かに上下している。

 昨日の出来事の後を考えれば疲れているのだろう。無理もない。

 自然に目覚めるまではそっとしておこうと、タクミは洞窟の外に出て火を熾す。枯れ枝を放り込み、自身は服を脱いで水を浴び、返り血で汚れた服も丁寧に汚れを落とす。

 ついでとばかりに、魚を捕まえ捌く。枝に刺し焚き火の側で焼き上げる。香辛料代わりのルコの実と、先ほど(物色して)手に入れた塩とで味を整える。いい匂いが漂い、食事を要求するように空腹を訴えるタクミの腹。

 服を着こみ、食事を取る。塩を足したお陰か、昨日までの味気ない食事の味を思い出すことが出来ずに居た。


 満足感が腹を満たし、幸福感が心を満たす。体の奥から沸き上がる活力で、今日も火の操作に精を出す。

 移動せず、その場に立ち止まって行う操作訓練は思いの外、楽に行使できていた。

 意識全てを頭に回す、今までで一番の集中力と想像力は、意識した瞬間に指定した場所に必要量の火を生み出す。生み出した火を消し、次は指先に生み出す。十本全ての指に灯した火を混ぜあわせ、一つの大きな炎に昇華する。その炎を更に大きくし形を整える。揺らぎ一つ無い作り物の炎を、球の形に均していく。掌に出来上がった火の球は、余波の熱が尾を引く細い線となって火の球の周囲に幾重にも回転している。例えるならば火の球は太陽、周囲の閃光は公転する惑星や彗星のようにも見える。

 タクミは出来上がった火の球を崖に向かって撃ち放つ。直径20cmの火の球がプロ野球選手の豪速球並みの速度で崖に激突し、爆発音を響かせた。

 元の直径以上の深々と抉られた穴。その穴の表面は溶けた様に爛れており、硝子や金属の様に光沢を帯びて固まっていた。

 想像し操作した炎は、予想以上の威力となって岩壁を撃ちぬいた。

 余談だが、今のタクミが外の火以外の力を使用しても、ここまでの威力は無い。

 風ならばどこまでも早く鋭く局地的な暴風を起こすことが可能だが、自分自身も切り刻む可能性が高い。

 地面を操作する事で穴を開けたり、もしくは岩で出来た杭を生やすことが出来るが、崖の表面を削る程度の威力しか無いだろう。

 水はそもそも生み出し形を整えるまでの工程を、やっと安定して行える様になった状態だ。

 ここまで劇的な威力が出せると思っていなかったので、タクミ本人も驚いたのは確かだ。


 「想像がはっきりとしてるほ操作もし易いし威力も上がる……って事かしら?さすがにこの威力を昨日みたいな状況で使うのは厳しいわね。……隙を少なくして、かつ威力も……」


 「あの……」


 タクミが一人考察しながら呟いて居ると、離れた位置から声をかけてくる娘の姿があった。妹の少女も、姉の背後に隠れるようにしてタクミの様子を窺っていた。

 警戒しながら声をかける娘。だがそれも無理は無い。この姉妹からすれば、危害を加えてくる相手が、野盗から目の前のタクミに変わっただけなのだ。

 ましてや、今のタクミの姿は子供。その子供が、昨夜の内に野盗を全滅させたのだから警戒もする。


 「あら、おはよう。朝食はそこの焚き火の側に用意してあるわ。さっさと食べなさい。」


 「え……あ、はい」


 「食べたら川の中で体を清めなさい。比較的綺麗な布もあるからそれで水を拭き取りなさい。正直、貴方達二人とも血と泥だらけでお世辞にも綺麗とは言えないわ」


 「は、はい」


 「準備が出来たら出発よ。道案内は貴方達に任せるわ。あとはその都度聞いていくからね。」


 「わ、わかりました」


 そんな二人の警戒心など微塵も気にかける事なく、つらつらと指示を出すタクミ。

 二人は困惑しながらも、魚に塩と香辛料をかけて焼いたもの、肉に果物の果汁と香草をまぶしてじっくりと焼き上げた串焼きの食事に手を付ける。野盗に捕まって碌に食事も摂らぬままに歩かされた姉妹二人は、久々のマトモな食事に無我夢中で、タクミも驚く程の早さで用意した食事を平らげた。

 無心に齧り付いていたのだろう、全て食べ終えた後になって、タクミの前で醜態を晒してしまったことに気づき、咎められるのではないかと震えていた。

 だが当の本人は表情を変えること無く、


 「追加で作っておくから、さっさと水浴びしてらっしゃい」


 とだけ言って布を手渡し、鞄から調味料と食材を取り出して食事の追加を作り出した。

 タクミが背を向けて調理し出したのを見て、姉妹は服を脱ぎ、少し離れた川で水浴びをしていた。

 姉妹の姉である娘は、自身の脚と肩にタクミによって付けられた傷が塞がっていることに気づいた。だが傷跡の類は一切なく、もともと傷など無かったかのように綺麗な素肌のままだった。

 水浴びを終えた姉妹は服に着替え、タクミの元に戻った。

 そこには、姉妹の水浴びなど我関せず、串焼きを炙るタクミの姿。細い枝に刺され焼かれる獣の肉と香草の香りに妹の少女は涎を垂らし、姉は喉を鳴らした。

 火に炙られる肉からタクミに視線を戻す姉。彼女にはどうしても聞かなければいけない事があった。


 「……どうして助けてくれたの……ですか?」


 目の前の子供が、只の子供に思えなかった姉は、咄嗟に敬語に切り替えた。

 タクミは能面のような顔のまま、簡潔に答えた。


 「ただの、気まぐれよ。」


 「気まぐれ……ですか」


 気まぐれ。タクミはそう答えた。

 それを聞いた姉は内心複雑だった。

 気まぐれで助けられたと言うことは、気まぐれで殺される事も有ると示唆しているからだ。その気になれば昨夜の続きで殺されていた可能性もある。

 だが野盗から救い出したのもタクミだ。そしてこの森はとても危険だ。

 姉妹二人だけでこの森に放置されれば、一日と経たずに野の獣か魔族に殺されるだろう。

 だから姉は頭を下げた。


 「お願いします。村まで私達を助けて下さい!」


 「いいわよ」


 腰を直角に曲げるほどの礼をした姉は、あまりに呆気無く返された返答に数秒の間、頭が働かなかった。


 「私はね、知らないことだらけなのよ。だから私が聞いたことには全部答えなさい。答えなければ私は勝手に行くわ。ちゃんと答えるなら、助けるわ。最初にも言ったけど、貴方達に案内をお願いするわ。でも邪魔したり、私に嘘を教えたり、私を害そうとするなら、容赦しないわ。……ほら、焼けたわ」


 助ける。その言葉を聞いて、安心したのだろう。姉妹の体から緊張が抜けていったのは確かだ。

 渡された串肉を手に、村に帰れる希望が漸く見えてきた安堵からか、姉はぽろぽろと涙を流しながら串肉を頬張った。妹の少女は姉につられ泣きだした。タクミはその二人に何を言う訳でもなく、二人が食べ終わるまでゆっくりと待っていた。先ほど食べた時よりも串肉が塩っぱかったのは言うまでもない。




 食事を終え、目元を腫らした姉妹は顔を洗い、タクミと姉妹の三人は出発した。

 案内と言っても野盗に連れて来られた道のりは、川沿いを只管進むだけなので、森の中を通るなどということもなく順調そのものだ。

 道中に出てきたホーンボアは、タクミが前もって気付き、姉妹を下がらせた上で脚と首を切り落とし、時間も丁度良いと言うことで解体がてら昼食と休憩を取っていた。


 「そういえば、貴方様のお名前は何でしょうか?」


 昼食を摂った後の休憩中、慣れない敬語で話す姉が、最初に聞くべき疑問を今更ながら聞いていた。


 「……貴女の好きなように呼べばいいわ。子供でも餓鬼でも人殺しでも」


 「それは名前では無いですし、野盗を殺したのも身を守るために仕方なかったことです」


 (……なに?)


 タクミは閉じた口の中で小さく呟いた。

 元居た地域や国の名前は黒インクで塗り潰されたように思い出せない今でも、文化や法律の一部は覚えている。その記憶が正しければ、タクミの居た国だけでは無く、世界中の国と地域で、どんな理由があろうとも人殺しは犯罪であるのは変わらない。だが、いま目の前の娘は「実を守るためならば襲った相手を殺しても仕方がない」と言い切ったのだ。

 ここは法律がまだ不完全な地域なのか?と本格的に自身の居場所の健闘がつかなくなるタクミ。


 「あと、私には『サナ』って言う名前がちゃんとあります。この子は妹の『ミル』です」


 「……そう」


 そう言って姉妹は自身の名を明かし、


 「なので、『貴女』じゃありませんので名前で呼んでくださいね」


 名前で呼ぶようにと釘を差した。

 そのサナの様子に今朝の不安や恐怖は見られない。有るのは純粋な感謝とそれ以上の好奇心が占めていた。

 その対応の変化にタクミは少々面倒臭さを感じていたが、特に気に障る訳でもなかったのと、会話による情報収集が円滑に進む為ならば仕方ないと、半分諦めの感情で答えた。


 「……『タクミ』よ」


 「タクミ様で――」


 「次、様付で呼んだら、ここでお別れね」


 「――わかりました、ならタクミさんって呼びますね」


 「そうして頂戴……」


 呼び名に対する一悶着を終えた二人。昼食代わりのホーンボアの串肉を頬張る妹のミルは、話の一段落した気配を嗅ぎとってタクミに追加の串肉を要求していた。

 すでにミルも、タクミには慣れた様子だった。

 串肉の追加を焼きながら話を続けようとタクミは口を開く。


 「ここは、なんて言う地域なの?」


 「ここはラタの森って言われてます。私達の住む村が丁度森を抜けたところの川沿いにあります。ハヌア村って言います。森の浅い所で薬効の有る植物を採ったり、今日みたいに森の深い場所だと獣を狩ったり出来ます。あとは水資源が豊富なので季節に合わせて色々と作物が採れます」


 「そう、わかったわ」


 少なくとも、自分の元居た地域では無いことは確かだとタクミは結論づけた。

 タクミが一人思考を巡らしていると、今度はサナが尋ねた。


 「タクミさんは、もしかして高名な魔術師……ですか?」


 「……魔術師?」


 「えっと……魔術を当たり前の様に無詠唱で使っていたので……もしかしてと思って」


 サナの投げ掛けた質問にタクミは疑問符で応答する。

 詳しく聞けば、タクミがなんと呼んでいいのか分からなかった「不可思議な力」はサナとミルの認識では「魔術」もしくは「魔法」と呼ばれていた。魔法などと言うものが当たり前に存在している事にタクミは内心、戸惑っていた。自分の元居た地域どころか世界中探しても魔法なんてものは無い。混乱する頭とは裏腹に、何処か納得している自身が居た。いや、納得ではなく諦めに近い感情なのかもしれない。

 タクミは心を落ち着かせ次々と浮かぶ疑問を問いかけた。

 西暦、大陸、国、文化、貨幣価値、文字、思いつく限りの疑問をぶつけるタクミ。

 そして返されるタクミの望まない無慈悲な回答。



 「西暦?暦なら平定歴422年の今は6月11日です」


 「ここは……たしかロズワル大陸です……ごめんなさい村からあまり出ないので外の大陸や国のことはあまり詳しく知らないんです」


 「国ですか?ここはオルダナン和国って言います……いえ何でも無いです」


 「文化ですか?んー……村は特に何も無いですけど、川沿いを馬車で1~2日下った所に港町が有りますよ。船で他の国と商売したりするそうですよ。車?なんですかそれ?」


 「お金ですか?えっと、銀貨1枚あれば1月は暮らせますけど、港町だともっとする筈です」


 「文字ですか?薬草の調合とかするのでウェドゴニー共通語なら書けますけど……」



 タクミの表情は変わらず、ただ内面だけが理解の出来ない焦りで溢れていた。

 質問を終えた後は静かな時間だけが流れていた。

 十分に休憩し、再び歩き始める三人。

 午前中よりも重い空気が流れていた。

 その空気を醸し出しているのはタクミだ。だが姉妹には何が原因か分かっていなかった。

 姉の方、サナは質問にしっかりと答えられなかったのかと反省し自分を責めた。妹の方、ミルは食事を強請りすぎたかと見当違いの事で自分を責めていた。


 日が傾き空が赤みを帯びた頃、三人は立ち止まり野営の準備を始めた。

 火を焚き食事を作る。だが誰一人として会話をする者は居なかった。

 黙々と食事だけを咀嚼する音だけが響く中、食事を終えたタクミがぽつりと質問した。


 「お昼に言ってた……ウェドゴニー共通語って、どんな文字なの?」


 表情は変わらないタクミだが、その声には悲しさや不安のようなものが混ざっているのか、思いつめた様に低く悲しい声音に、サナは緊張した声で答えた。


 「えっと、平定歴が始まってから統一された言語だ、って言われてます。ウェドゴニー王国と国交を持つ国ならばドコででも通じるって言われてます。ウェドゴニー共通語はこんな風に書きます」


 そう言って地面に枝で書かれた文字。

 それはタクミの知る文字では無かった。

 そして今の話を信じたくもなかった。

 サナが事実を話しているのであれば、タクミ自身が今話している言葉もウェドゴニー共通語だという事だ。

 でなければタクミとサナは会話が成り立たない。

 しかしタクミはウェドゴニー共通語など知らない。

 言い知れぬ恐怖が、不安が、タクミを襲った。

 胃の中身が込み上げてくる感覚。体中に小さな虫が蠢いているような不快感。信じられない事実と、信じたくない真実が頭の中で議論を交わす。

 気持ち悪さと怠さで覚束無い脚を殴りつけ無理矢理動かす。姉妹には先に休むよう言い残し、タクミは森の中へと進む。


 ここはどこだ?

 ここはドコだ?

 ここは何処なんだ?


 私は誰?

 私はタクミ。

 歳は26。

 しかしこの体は小さい子供。

 でも大人顔負けの力を発揮する。

 

 この不可思議な力は何?

 これは魔法。

 この国では当たり前?


 私の知ってる国には魔法なんて無い。

 私の知ってる世界にはウェドゴニー共通語なんて無い。

 私の知ってる惑星にはロズワル大陸なんて存在しない。

 私の知ってる歴史が確かなら平定歴なんかじゃない。


 まるで知らないことだらけの世界。

 まるで物語の中の様な世界。

 まるで――


 「別世界(・・・)


 その事実は残酷だ。そしてどうしようもない真実だ。

 それは帰ることの出来ない事実と、自分を拾い育てた人に会えない真実。

 タクミには本当の意味で何も残されて居なかった。


 ……涙はとうに枯れていた。

 藪を掻き分ける音で意識を戻し、八つ当たり出来る相手が出てきた事に笑みが浮かぶ。

 どこまでも冷め切った口だけの笑顔は襲いかかろうとしていた魔族を怯ませていた。

 一方的な虐殺は夜の森に紛れ、目撃する者は居なかった。




 朝になり、サナは目を覚ました。

 昨晩は見張りの話も何もなく、「先に寝なさい」としか言われていなかったサナは不安が残っていたが、睡魔には勝てず、気づけば朝日に照らされていた。

 勢い良く起き周囲を確認するサナ。妹のミルは隣で寝息を立てていた。歩き疲れているのだろう、その寝息はとても穏やかだ。

 だがタクミの姿が付近に見つからず不安になるサナ。もしかして置いて行かれた、と思い視線を彷徨わすと、少し離れた位置の川の中で、水を浴びているタクミが居た。

 全裸でだ。


 咄嗟に目を逸らしたサナ。タクミは子供だが、子供とは思えない喋り方と考え、強さを持っているので、見た目が子供っぽいだけで実際は自分と同い年かそれ以上なのでは?と考えていた。事実その考えは的を得ているが、サナは知る由もない。

 当の本人であるタクミは、サナが起きている事に気づいていたが、子供ならば気にする必要が無いことと、昨夜の考えでどこか自棄になっていたので、どうでもよかったのだ。

 タクミは手早く血で汚れた服を洗い、ついでに魚を捕まえ捌く。頭と内臓と鱗を取り除くだけとはいえ、専用の包丁も台所もなく、ナイフ一本での作業はなかなかに難しいのだが、もともと捌く技量が有っただけに慣れてしまえば手早く済ませるのも問題なかった。

 手近な枝を水で洗い、邪魔な凹凸を払い先端を削って尖らせる。

 即席の串に魚をさして焚き火で焼き上げつつ、調味料で味付けを済ませる。

 服も魔法で乾かしていく。加減もある程度慣れてきたので手早く乾かし着替える。

 魚の焼ける匂いに釣られてか、ミルが目を擦りながらタクミの元へやってきた。ふらふらと足取りの覚束無い妹を支える為にサナも一緒だ。


 「タクミさん早起きしたみたいですけど……ちゃんと寝ましたか?」


 タクミがいつ寝たのかまでは分からないが、自身よりも早くに起きて準備を済ませていたタクミを心配して声をかけるサナ。


 「あの後に軽く体を動かしてからちゃんと寝たわよ」


 まるで何とも無いと言うように話すタクミ。その様子に昨夜までの重さは無いため、サナは特に気にししない方向で納得し魚に齧りついた。

 そんなやり取りを意に介さず魚を食べるミルがこの中では一番肝が座ってるのかも知れない、とサナは思った。


 その日の昼食時、タクミはサナに文字を書けるように教えを乞う。

 サナも快く請負い、その日から短い間だが言葉を教え始めた。

 ミルも不承不承ながらも文字を習い始めた。


 日中は歩きながら魔法を使い、昼食と夕食時は文字を習う。

 歩くスピードはミルの歩幅に合わせたため少々遅い程度だ。

 夜はタクミが姉妹が気づく前に動き、襲いかかる脅威を撃退していた。


 ただ只管に川辺を進み、サナとミルの姉妹が暮らす村に付いたのは二日後の晩のこと。

 野盗から救い出して三日後の事だ。

今更ですが、この小説は「望まない異世界転生物」です。

頑張って書いていますが、ご都合主義と言われる部分が有るので、そういったものが苦手な方は我慢して、お読みください。


読了ありがとうございます。た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ