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お守り

「あ、ちょっとついてきて」

そういう彼女の顔からは隠しきれていない笑みがこぼれていた。

彼女に言われるままついていくと、大きな木の横に小さな家があった。その家の壁は茶色く、屋根は雪が乗らないように工夫された、鋭い三角屋根だった。ここにも雪は降るのだろうか。彼女は軋む扉をゆっくりと開け、中に入っていった。

「あったあった!」という声が扉越しに聞こえる。中で何が起きているのか考えていると扉が勢いよく開いた。そこには古臭いウサギの人形と、袋を抱えた少女の姿があった。

「この子ねウサちゃんって言うの!」

私は苦く笑いながら返した。

「あはは、ありきたりな名前...っていうかそれって名前なの?」

少女は手に持っていた袋を手渡してきた。私の話は聞こえていなかったようだ。

「はいこれ、お守り。大事に持っててね!」

彼女は私の手を強引に引っ張り走り始めた。

「階段はね、こっちにあるの!」

少ししか走っていないのに、息切れしながら彼女は言う。結局、走りつかれた彼女を私がおんぶしながら進む形になってしまった。少女の指示通りに進んでいくと、池の真ん中に石の階段があるのが見えた。幸い池の深さはくるぶし程度しかなく、池というよりは水たまりのようだった。どうやらこの階段は奥が深い構造になっているようで先は見えなかった。

壁に手をつきながら少女とともに階段を下りていく。

「ダメだ、暗すぎて手前が見えない」

彼女は思い出したように言った。

「あ、さっき上げたお守り出して」

言われるがままお守りを出すと、彼女はお守りを触り始めた。何をしているのだろうか、その瞬間お守りが輝きだしあたり一帯を照らし始めた。

「これで安心して進めるね、さあいこっか」

彼女の表情が一瞬曇った気がしたが、彼女が何も言わないのであまり触れられなかった。

別の話題に切り替えようと話題を探していると、まだ彼女の名前を聞いてないことを思い出した。

「あ、あのさ、私はメトロって言うの。あんたは?」

少し困ったように少女は答える。

「私の名前は、え~っと、ユアリスって言うの。だからユアって呼んで。よろしくねメトロ!」

「わかった、ユアね」

彼女の目の中にお守りの光が輝く。だがその光はお守りのものだけではなかった。目の前にはあたたかな日差しの差し込む洞窟の内部のような光景が広がっていた。いつの間にか土の地面を踏みしめていた。

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