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テイカ  作者: 天野音
3/3

リンカとヒョウ

「ただいま〜!!」

「リンカさん声が大きいですよ」

金髪ショートボブヘヤーの高身長でスタイル抜群な女の人と俺と同じ歳くらいの銀髪の少年が帰ってきた。

ウリエルさんが言ってた人かな。

「おっ!噂の少年じゃん!目を覚ましたのか。ワタシはリンカ、隣に立っている生意気な少年はヒョウ。よろしくね」

リンカさんは手を差し出し俺と握手した。

「俺は凛堂瑛斗と言います。よろしくお願いします」

勢いのある元気なお姉ちゃんって感じだなぁ。

「初めまして俺の名前はヒョウ。ヒョウって呼んで。よろしくな」

「こちらこそよろしく、俺もエイトって呼んで」

ヒョウと挨拶を交わし握手をした。

「ところでエイトはウリエルに会った?」

「はい。会いました」

「ウリエルが何処に行ったか知らない?」

「えーと。プリンを買いに……」

その瞬間リンカの顔が青白くなっていった。

リンカさんがフリーズした。

「えっ……、あのプリン、ウリエルのだったの……」

あっ、リンカさん知らないで食べたのか。

ヒョウを見ると何故か腹を抱えて笑っている。

「ヒョウ!ワタシを騙したな!ヒョウがワタシにくれたプリンかと思ったのに」

「渡す時、俺のプリンとか言ってないから。勘違いしたリンカさんが悪い」

「あぁー。ウリエルになんて言って謝ろう」

リンカさんがいじけてソファーでうずくまってしまった。

「なぁエイト、エイトは何処の星から来たんだ?」

ヒョウは俺の前の椅子に座った。

この部屋にはダイニングテーブルとソファーとテレビとホワイトボードがある。

俺はリモコンをとりテレビを消した。

「俺は地球から来たよ」

「地球?」

「青い星なんだけど」

「あっ、江戸通りのモデルになった星か?」

「江戸通り?」

「エイトが運ばれた家は江戸通りにある聞いたが違ったか?」

確かに玄関を出て広がっていた景色は京都の街並みだったな。

「俺が目を覚ました街を江戸通りっていうのか?」

「そっか、エイトは目覚めたばっかりで何も知らないのか。じゃあ簡単に説明しよう。この死後の世界には国が存在しない。言語の壁もない。全ては差別せず、平等にするため。だから、土地の名前がないんだ。でも流石に地図で見た時何か特徴がないと困るから道に名前をつけたんだ。道は誰のものでもないからな」

「だから江戸通りなのか」

「そう言うことだ」

「ヒョウは何処から来たんだ?」

「俺はリースという星から来たらしい」

「リース?」

何故、推量形なのだろうか。

「俺は生きていた頃の記憶がないんだ」

「えっ」

「そんな気まづそうな顔しなくていい。全然地雷とかじゃないから。この世界では珍しくないんだ。この世界に来た人の4割は記憶がない人だし」

「そうなのか」

「ああ。俺の生きた世界の話はウリエルさんに少しだけ教えてもらった。リースという星は花が沢山あった自然に恵まれた豊かな星だそうだ。俺は覚えてはないけどな」

ヒョウは何故か誇らしげに笑っていた。

「ちなみにこのヒョウっていう名前は本名じゃない」

「本当の名前はウリエルさんに聞けば教えてくれるんだろうけど。俺はこの世界で生きていくから、前の名前は使わなかった」

ヒョウは凄いな。この世界のことを受け入れているんだ。

「ヒョウか良い名前だな。強くて速そうだ」

「だろ?」

俺も早くこの世界を受け入れないと。そう心の中で思った。

「なぁ、ヒョウ。ウリエルさんはこのラボのリーダーまたは責任者みたいな人なのか?アキさんが嫌な顔はするけど、歯向かわず指示を受け入れている様子を見て上司なのかなと思っていたんだけど」

ヒョウは目を大きく開けてぱちぱちしていた。

俺は首を傾けた。聞いちゃまずかったかな。

1回静まり返った空間でヒョウが口を開く。

「ウリエルさんは天使だ」

「へ?」

天使……?まぁ確かにプリンを取られて半泣きの顔は可愛かったけど。なるほどヒョウには天使に見えるのか。

「おい、エイト変なこと考えてないか?」

「え?ヒョウから見て天使に見えるっていうことだろ?」

「違う。そのまんまだ。ウリエルさんは人間じゃなくて天使だ。それと何故かは知らないがアキさんは基本ウリエルさんの指示以外では動かない。俺も理由は知らない」

あっ、そうかここは死後の世界だ。忘れてた。確かに死後の世界なら天使が居ても不思議ではないな。ウリエルさんは天使。だったらこの世界には神様とかもいるのかな?

そんなことを考えていると談話室のドアが開いた。


「ただいま!」

ウリエルさんが帰ってきた。両手には荷物いっぱいの袋が2つ。どんだけ買ったんだろう。

ソファーの方を見るとあれ?さっきまでうずくまっていたリンカさんが居ない。

「ウリエル〜!ごめん。アタシ、ウリエルのプリン知らずに食べちゃった」

いつの間に。リンカさんは「ごめんなさい〜!」とウリエルさんに抱きついていた。

「あ〜。わかっとる。わかっとる。事情はアキから聞いておる。私は心が広いのでな。みんなの分のプリンとロールケーキを買ってきたぞ」

ウリエルさんはニカッと笑っていた。

「ウリエルありがとう〜」とリンカさんがウリエルさんとほっぺをすりすりしている。

すると、ウリエルさんと目があった。

「今夜はエイトの歓迎パーティーをするからな。エイト、沢山プリンを食べるが良い」

歓迎パーティー……。

「やったなエイト、今夜はご馳走だ」

ヒョウの目が輝いている。

なんだか……

この空気。暖かい。

いきなり死んで、家族とも離れ離れになって、ずっと孤独だった。

俺が此処に呼ばれた理由はまだ分からないけど。

1つずつ受け入れていこうと思う。焦らずに。

「ありがとうございます」

「「あっ、笑った!!」」

ヒョウとリンカさんの声が重なる。

俺はこの世界にきて、初めて笑顔になった気がする。

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