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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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昨日はお休みさせていただきましたが、今後もできる範囲で更新していけたらと思います。お付き合いいただけたら幸いです。

自分の耳を疑う言葉が飛び込んできて、咄嗟に脳が処理をしてくれず固まっていると、アーベルガント様が追撃してきました。



「パードリー公爵令嬢の惚気をひたすらぶつけ合って同志として信用されてきたってことだろ? 」

「は、え、はぁ….? 」



訳が分からずにゼレン様に視線を移すと、苦笑しながら頷いている。



「まぁそういうことだね」

「パードリー公爵家の娘溺愛ぶりは有名だしな」

「懐に入るのには一番確実な方法だったんだよ」

「でもあの公爵閣下のことだから、付け焼き刃の褒め言葉じゃ通用しないだろ」

「ああ。取ってつけたような褒め言葉は逆に警戒されるのはわかっているから、この方法に切り替えた時点で全力で細かく褒め讃えてきた」

「な………」

「細かくって所がポイントだよな」

「細ければ細かいほど信用が増すからね」

「な……な….っ」

「ゼレンなら渡り合えるくらいのネタはあっただろ」

「それでもほとんど出し尽くしたよ。もう少し粘られたら同じことを繰り返すしかなくなっていたね」

「何をなさっているのですか…!!! 」



令嬢にあるまじき大声が出てしまったけど仕方ないことだと思うの。


いや、本当に何してくれてるの…!?



「何って、公爵家攻略法だろ? 」

「そうではありませんわ…! 」

「ごめんね、リナ。もうこれしか方法がなかったんだ」



パードリー公爵家(家族)が面倒なのは嫌という程わかっているし、何とか説得しようとしてくれたゼレン様に文句を言うのは間違っていることもわかってる。

わかってるけど、何その羞恥プレイは!?


というか、何故ゼレン様がお父様を説得できるほどのネタを持っているのかが気になるわ…



「パードリー公爵令嬢も“自分は溺愛されてるんだ”って開き直りゃいーのに」

「そんなの、ただの傲慢なだけの令嬢に成り下がるではないですか…」

「公爵家としては大歓迎だろうけどね」

「どういうことですの? 」

「あー、そーいやゼレンと婚約する前はそんな風に呼ばれてたよな」

「あぁ、パードリー公爵家(家族)がわざと流した噂ですわね」

「リナは知っていたの? 」

「? もちろんですわ」



自分のことなのに知らないはずがないと思うけれど……ゼレン様もアーベルガント様も何をそんなに驚いているの?


私が首を傾げていると、何故そんな不名誉な噂を受け入れていたんだと怪訝そうな顔をされてしまった。


受け入れていたというよりも、放置していたという方が正しいんだけどね。

だって、公爵家が流している噂に対して本人が否定した所で無意味でしょう?

それこそ「自分の瑕疵も認められない我儘姫」なんて言われかねないじゃない。

こういう噂は本人が否定すればする程悪化するもの。

肯定も否定もせずに放っておくに限るわ。人の噂も七十五日と言うし。



「……リナは強いんだね」

「そうでしょうか? 」

「俺もそう思うよ。自分に対する不本意な噂で、しかもそれが自分の家族が流していたものなんて知ったら、そこら辺のご令嬢は泣き崩れて引きこもるぞ」

「まぁ…そう、かもしれませんわね」



アーベルガント様の言う通りね。

確かに状況を客観的に聞かされると自棄を起こしても不思議はない。

けれど私がそうならないのは、偏に家族からの愛情を自覚しているからに他ならない。


これが忙しい両親とすれ違いの環境のご令嬢だったとしたら、自分は疎まれているのだと勘違いしてしまうだろう。


そういう意味では私は幸せ者なのかもしれないわ。



パードリー公爵家(家族)は愛が重すぎるのですわ」

「はは……否定できねぇ」

「自覚しているということは、理由も知っているのかな? 」

「確認したことはありませんが、凡そ私を外に出さないための策でしょう。何となくですが、エアリスお兄様の提案だと思いますわ」

「あー……やりそう」

「言われてみると、エアリス公爵令息の考えそうなやり方だね…」



チラリとリリアに視線を送ると小さく目礼されたので間違いなさそう。


病弱設定にすると、王宮から医師を派遣されるだとか、公爵領に様子を見に来られても困るから性格に難があるってことにしたんだろうなぁ。




私は別に自分に対する愛情に疎いわけじゃないの。家族愛も友愛も、きちんと自覚しているし受け止めてるつもり。

じゃあ何故ゼレン様からのお気持ちに気付かなかったのかと言われると、完全に「政略結婚」と思い込んでいたから、恋愛に発展すると思っていなかっただけで。

今にして思えば、どう考えても私へのアピールのようにしか思えないようなこともあったりして頭を抱えるしかないのだけど。


話が逸れたけど、何が言いたいかと言うと私は家族から過剰な愛情を向けられていることを自覚した上で受け入れていたのだということ。



貴族である以上、十六歳からは学園に通うのが決まっているのだからそれまで待てば学園内とはいえ自由になれる。

逆にいえば、煩わしい社交界に出なくて済んだって思えば悪いことばかりじゃなかったと思うの。

おかげでお勉強も読書も刺繍も楽器も、何でも自分のやりたいことをやらせてもらえたんだから。感謝しているくらいよ。



私が嘘を言っている訳でないとわかったようで、ようやくお二人から安堵の表情が見られる。

心配してくれるのは嬉しいけど、好き勝手やってきた側からすると何だか心配かけて申し訳なく思うわ…



「お気を遣わせてしまって申し訳ございません」

「それは私達が勝手にしていることだからリナが謝ることじゃないよ」

「そーそー、気にすんなって。これだけ外見、性格、素養全部申し分ない完璧なご令嬢がいたら家族が過保護になるのも無理はないよな」

「そう在りたいと努力してきましたのでお褒めいただけるのは光栄ですが、きっと初めての女の子という部分が一番強いと思いますわ」

「「確かに」」



男二人の後だから余計にね。

家督継続を思えば男二人は理想的なんだけど、やっぱり女の子も欲しかったみたい。

そこら辺はどの世界でも同じなんだなって笑っちゃった。




そんな話をして、ゼレン様とアーベルガント様の訪室は和やかに…………いや、爆弾は投げられたけど、結果だけ見れば穏やかに終わった。


話し終える頃には、あれだけ緊張していたのも嘘かのようにリラックスしていて。

きっとそれもゼレン様がいつも通りに振る舞ってくれたり、夜分にも関わらず城の護衛ではなくアーベルガント様を連れて来てくれたりと色々気遣ってくれたからなんだろうと思うと気恥ずかしくも嬉しくなった。



結局、半年後に入籍することも許可を取り付けたという話だったけど、そこはまだ実感が全然ない。

けど、式はまだ二年半後だし、籍を入れて私の生活はどう変わるのかもわからない。

私が卒業したら式を挙げるって言っていたから学園に通い続けるのは確定なんだろうけど、これまで通り公爵家から通うのか、城に住まわせてもらって通うのか、臣籍降下したゼレン様と一緒に暮らすのか。


まだまだ先の見通しも立っていないけど、ゼレン様とならきっとどんな形でも楽しく過ごせる気がするわ。

ダリスがいると話が重くならなくて助かります( ˇωˇ )

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