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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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エリーゼ回です。

私はエリーゼとして生を受ける前は、看護師として地方の病院に勤務していました。


性格的に急性期病棟は向いていなかったので、ほとんど療養病棟で慢性期疾患の患者さん達をたくさん看て、そして看取ってきたんです。

患者さんや家族さんとの関わり方は何度も頭を抱えたし、スタッフとの関係もみんながみんな良いとは言えない。

でもそれが仕事だから。

そう割り切って、けれど一つ一つの生命を大切に見守ってきたつもりでした。




正直、私がいつ、何が原因で亡くなったのかはあまり覚えていません。

事故だったのか、病死だったのか、それとも老衰だったのか。

いくつまで生きたのかな。看護師の記憶があるということは、若すぎる内に亡くなった訳ではないと思うんですが。





私がエリーゼとして生きてきて、前世の記憶を思い出したのは実はつい最近だったりするんです。

それこそ光魔法が発動された時に、反動かのように看護師だった頃の記憶が一気に頭の中に流れ込んできました。


光魔法が先だったのか、前世の記憶が先だったのかは不明だし、同時に色んなことが起こって戸惑いましたけどね。



それから聖女認定されて、シュバイン伯爵の養女になって、孤児院や療養所を回って重傷者を癒したり、状況把握したり。

それと並行して淑女教育を受けて、光魔法について勉強して、学園に入る準備をして。


本当に忙しかったんですよ。

聖女なんてものにならなければ平民のままで、貧しいながらも気ままに生活できたのにって思うことがなかったわけじゃないです。


でも、看護師だった私に癒しの力が宿ったのは偶然に思えなくて、もっと練習してこの力を正しく広く使ってたくさんの人を救いたいと心から思いました。



そんな矢先、ある療養所を訪れたらとても空気が澱んでいて異臭がとても気になったので、窓を大きく開けて換気しながら患者さんの様子を確認すると、清拭されていないのか清潔が保たれていない様子。

他の療養所では清拭はしていたから、不思議に思って話を聞いてみると、ここに常駐している世話人さん達が清拭のための水を運ぶのに腰を痛めてしまったみたいです。

この療養所は井戸も遠く、毎日大変な思いをしながら水を運んでいたそうで、それが出来なくなり、最低限の調理と簡単な掃除が限界だと言っていました。


この世界なら魔法があるのだから、と思うけど、実際に魔力を持つのはほとんどが貴族だし、平民は魔力があっても学ぶ機会がないから使い方も知りません。実際、私も光魔法が発現するまで魔法なんて身近にはありませんでした。

だから毎回水を汲み、運んで、一人一人水を取り替えて清拭をするのはかなりの重労働になります。


けれど、水浴びすらもできない患者さんは清拭をしないと異臭だけでなく患部にも影響が出てくるんです。

治療の第一歩は清潔保持なのだから。



そう思った私は、世話人さん達の負担を増やさずに清拭できる方法を考えました。


身体を拭くための布はたくさんある。

お洗濯の問題はあるけど、お洗濯だけなら水を運ぶよりも井戸に使った布を持って行ってその場で洗って干せばいい。

まずは水を運ぶ頻度を減らすためには…


そう考えた時にふと思いついたのが電子レンジでした。

過去の私も清拭タオルはいつもレンジで温めていたので。


レンジなら冷めてもすぐに温め直せるし、まとめて温められます。

井戸水を汲んできて、鍋で温めて、湯加減を調整して、なんて時間をかける必要もありません。



さすがに平民や療養所、孤児院なんかにはほとんど魔道具なんてないけど、貴族の家にはそれなりにあると聞きますし、私もシュバイン伯爵家に引き取られて家の中を案内された時に幾つか見せてもらいました。

それこそ、窯とはいえオーブンがあるんだからレンジも夢ではないと思うんです。


仕組みが分かれば作れるものなのかな?

こっちには電気というものがないから難しい?

日本のレンジみたいに機能は要らないから、単純に温めるということだけなら何とかならないかな? と。




私が見た施設で清拭もできない程困っていたのはこの一件だけだったけど、実際はもっと多くあると思うし、今後も絶対に同じ問題に直面します。

水魔法や火魔法を使える人が常駐してくれるのが一番早いけど、貴族が常駐するなんて聞いたことがありません。


となると、やっぱり環境を整えることから始めないといけないなって。














「という訳で、何よりもまずレンジかなと思ったんです」

「なるほど…そういう事だったのね」



自分の中でざっくりまとめながらフェリーナ様にお話すると、その美しい柔らかそうな金の髪をふわりと揺らしながら、納得してくれたのかうんうんと大きく頷いている。



「それこそ洗濯機や掃除機も欲しいところですけど」

「そうよね、シーツだってこまめに替えたいし」

「そうなんです! でも現状では清拭できてないということは、着替えもできてないと思うので。恐らく異臭は清拭と着替えをしてないからじゃないかと」

「それは問題ね。着替えは大事じゃない! 」

「ですよね! 」

「私もレンジ開発に協力するから頑張りましょ! 」

「はい! 」



フェリーナ様に手を握って励ましてもらえてとても心強いし、本当に有難いです。

それに、転生者同士だからか話も早くて助かります。


ただ、少し気になるのですが。

私に釣られてか、口調が崩れてしまっているのは大丈夫なんでしょうか?



さっきからそこの建物の陰でゼレイン殿下らしき方が様子を見ていらっしゃるんですけど、フェリーナ様は気付いているのかなぁ…?

大体その時に思いついたままに書いているので設定も薄いんですが、エリーゼの前世が看護師という所だけは元々考えていたものです。前世でも良い看護師さんだったんでしょうね。

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