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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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まったり回です。女の子のお買い物は長いものですよ~

今日は久しぶりに街に出ようと思いますの。

最近はお休みの日もあまり外に出ておりませんでしたので、気分転換を兼ねてゆっくり見て回るつもりですわ。



公爵家の馬車にはリリアが私の向かいに座り、御者の隣には護衛のルースが一緒に乗っております。


ルースは公爵家所有の騎士団の一員なのですが、幼少の頃より私の専属護衛を務めてくれている凄腕剣士なのですわ。

実は学園への登下校の際も付き添ってくれていますのよ。学園内は公爵令嬢とはいえ侍女一人までしか伴うことができないので、馬車と共に公爵家に戻り、またお迎えに来てもらっていたのです。

最近はゼレン様に送迎をしていただいておりますので、ゼレン様の護衛の方々と共に騎乗して帯同しておりますわね。



そんな訳で、私が外出する時は主にこの二人と一緒ですの。

あまり護衛や侍女をぞろぞろと連れ歩くのも道行く方々の邪魔になりますし、リリアもルースもそれぞれが一人で必要な仕事をこなせる能力を持っておりますのでこの二人がいれば十分ですわ。




「お嬢様、そろそろ街の入口に到着いたします」

「わかったわ。いつも通りに手前で下ろして頂戴」

「かしこまりました」



街の入口というのは、所謂繁華街の出入口という感じですわね。貴族の場所ならば街の中まで乗り入れても良いことにはなっているのですが、私はあまり好まないのでいつも入口の手前にある馬車乗降場所で降りて歩くことにしていますの。

大体の貴族は馬車で乗り入れるようですが、そのせいで事故が起こることも少なくありません。どうしても子どもが飛び出してきたり、何かしらのトラブルはあるものですから。


それに、せっかく賑わっているのですから自分の足でゆっくり見て回る方が楽しいですわ。



「今日は何だかいつもより賑やかね」

「本日は十の市の日でございます」

「そういえばそうだったわ」



一歩街に踏み入れば、道の両側に所狭しと並べられた露店の数々に行き交う人々。

入口からだからこそ見られる、このズラっと奥まで連なる壮大な景観が私は好きなんですの。これを馬車で一瞬で通り過ぎてしまうなんて勿体ないわ。


とはいえ、とにかく人が多いから護衛は大変よね。ルースは優秀なので、サッと道を作りながら誘導してくれるから助かっているわ。



「フェリーナ様、あちらにお守りの店がございますがご覧になられますか? 」

「えぇ、見たいわ」



今回はエリーゼ様へ贈るお守りを探すのが目的だとリリアにも伝えてありましたので、事前に調べておいてくれたようね。

…今日お買い物に行きたいということも、御守りのことも、昨日帰ってからリリアに話したのですけれど。相変わらず仕事ができる侍女ですわね。



ルースを道を作ってもらい、リリアに案内されるままに露店を覗いてみると、そこには色とりどりのガラス細工が並んでいて見ているだけで楽しいお店でした。

恐らく宝石のように価値のあるものはほとんどないのでしょう。ですが、どれも細工は細かく、色も多彩で透明感が高くてとても丁寧な造りをされていますわ。


エリーゼ様のための物を選びに来たのに、私も自分用に欲しくなってしまうくらいの美しさですの。

公爵令嬢ともなると宝石を身につけるのが当たり前と思われるかもしれませんが、私は貴賎を問わず素晴らしいと思えるものを大切に身につけることも貴族の務めだと思っておりますので、ガラス玉でも気にせず身につけますわよ。



せっかくだから私の分も買ってしまおうかしら。経済を回すのも高位貴族の大事な役目ですから、お買い物は控えたりしないようにと家族からも言われておりますし。


ですが、私の分も買うのであればお世話になっている皆様の分も選びたいですわ。


屋敷の者達にお土産に購入していくのもいいかもしれませんわね。

ああ、でも人数が多すぎてガラス細工が足りるかわかりませんわ。やっぱり屋敷の者達にはお菓子をたくさん買っていきましょう。



となると、エリーゼ様、私、ノアール様、クラリア様、それにリリアにも贈りたいですわ。

それぞれのイメージカラーを考えながら選ぶのは楽しいですわね。ペンダントやブレスレット、イヤリングへの加工もできるみたいですし。



「リリアにも贈りたいのだけれど、貴女はイヤリングやブレスレットよりもペンダントの方が使いやすいかしら? 」

「お気遣いありがとうございます。ペンダントでしたらお仕事中も差し支えなく付けられます」

「そうよね。やっぱりペンダントにしましよう! どんな細工がいいかしら」



これまでも何度かリリアには贈り物をしているのだけれど、最初の内は固辞されてしまっていたものの「遠慮せずに受け取って、出来れば使って欲しいの」と繰り返している内にようやく素直に受け取ってくれるようになったのよね。

施しなんてつもりはなくて、ただ日頃の感謝を込めて労いのつもりだったり、単純に似合いそうだと思って選んだりしたものだから、断られてしまう方が悲しいもの。



楽しくなって色々と手に取って見せていただいているけれど、色も細工も加工も選べるとあって、すごく悩んでしまうわ。


…あら、この深く透き通るような緑のガラスなんて、ゼレン様の瞳にとてもよく似ているわ。

雪の結晶のような形の緑のガラス細工が光に反射してキラキラと輝いていて、目に止まってつい手を伸ばしてしまうけれど、ゼレン様に贈るとしても何に加工したら使っていただけるものかしら…?

イヤリングは普段お使いのものがありますし、ペンダントやブレスレットは剣術を嗜まれる方には不向きかと思われますわね。

あとは指輪…タイピン…カフス……カフス! カフスは良いのではないかしら!

あって困るものでもないですし、カフスなら変に目立ちませんもの。

王族の方に宝石ではなくガラス細工を贈るなんて不敬かもしれませんが、それはそれで気持ちだけ受け取っていただければ十分ですわ。



あ、剣帯にも付けられるみたいですわね。それならルースの分も選びましょう。

カフスや剣帯が選べるのなら、側近の方々や先生にも差し上げられるのでは?


となると、ルース、アーベルガント様、ツァイス様、フレイン先生も追加ですわね。

日頃の感謝を込めての贈り物ですので他意は全くありませんが、要らぬ誤解を招かないように婚約者がいらっしゃる方々のものは婚約者と対になる色や細工を選びましょう。



これはなかなか骨が折れる作業ですわ…!



「リリア、手伝って頂戴! 」

「かしこまりました」



さぁ、頑張って選びますわよ!

ただお買い物しているだけでしたが、リーナは一生懸命です。次話もお買い物の続きです。

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