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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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少し長めです。ゼレンが頑張ってます。

貴族の令息令嬢が通う義務があるとされているこのフォトナルク学園は、王都の中でも王宮にほど近い場所に設立されていますの。


といっても歩いて行ける距離ではないので、ゼレン様も王宮から馬車で通学されていますわ。


私の生家、パードリー公爵家の別宅も王宮近くではあるのですが、学園に行く前に王宮を挟むので少し距離があるのです。

つまり、王宮から見て左の区画に学園、右の区画に公爵家という感じですわね。


もちろん王宮前を横切るなんて無礼な真似は致しませんので、別の道から迂回して通っております。

それは最低限のマナーとして認識していたのですが…




「リーナは私と居るのは嫌なのか? 」

「そんな訳ありませんわ! 」

「ならば問題ないだろう? 」

「問題だらけですわ!? 」



何故か朝からゼレン様と問答する事態になっております。

えぇ、もう、何故なのか…






事の発端は、昨日ゼレン様が帰りに馬車で私を送ってくださった時のこと。


ご好意に甘え、王家の馬車でゼレン様に送っていただき、公爵家の馬車はリリアと共に帰らせましたの。

王家の馬車ともなれば当然王宮前を横切っても問題はないので、普段なら迂回する必要がある道もまっすぐ通り抜けてあっという間に公爵家に辿り着きました。


馬車を降りるためにエスコートしていただき、御礼を伝えていると、随分と先に出たはずのリリアがようやく戻ってまいりまして。

ゼレン様はとても驚かれておいでだったのです。

どこかに用事でも頼んだのかと聞かれましたが、リリアには真っ直ぐ戻るよう伝えておりましたのでそれは有り得ません。

迂回をしていたことと、公爵家の家紋のついた馬車とはいえ、乗っていたのは侍女。私が乗っていれば公爵令嬢ですので優先的に通していただけますが、さすがにリリアだけでは優先度は下がりますので余計に時間がかかったのでしょう。


そうお話すると、少し考える素振りを見せた後にゼレン様が「それならこれから王家の馬車で送迎しよう」と言い出されました。



私の移動時は優先的に通していただけるとはいえ、迂回の時点で多少の時間がかかることは確かですが、そこまで大きな負担ではありませんもの。そのために王家の馬車を足替わりにするなんてそんな不敬なことできませんわ。


お気持ちはとても嬉しく思いますが、そこまでご迷惑をおかけする訳にはまいりませんと謝意を添えてご辞退申し上げた次第なのです。






…なのですが。


何故かゼレン様は翌朝お迎えに来られました。

もちろんは先触れもいただいておりますが、すでに王宮を出られていると聞いてはお断りできるはずもありません。


お父様は「王宮の馬車なら最優先で通してもらえるからリーナの負担が減るし、送ってもらえばいいんじゃないか? 」と仰るのでお母様にもご相談してみると「あら、王宮前の道が通れるのはリーナちゃんの負担が減って助かるわね」と…

王家への不敬よりも私の負担の方が優先されるのはおかしくないかしら!?



そんなわけで、今まさに王家の馬車の中で問答を繰り返しているのよね。



「リーナは私の婚約者だろう? 婚約者の送迎をするのはそんなにおかしなことかな? 」

「そんなことはありませんが…」

「移動時間も短縮されるのだろう? 」

「え、えぇ」

「公爵夫妻の承諾も得ているけれど」

「えっ」



それは初耳ですわ! いつの間にお父様達とお話されてたんですの!?



「父上にも兄上にも話は通してあるよ」

「ええっ!?」



第二王子殿下のお父上とお兄様ということは、国王陛下と王太子殿下しかありませんわよね…? そこまで話がいってしまっているなんて、お仕事が早すぎませんこと…?



「君の侍女には後ろの馬車で帯同してもらうように手配しておいたよ。到着した時に侍女がいないと何かと不便だろう」

「え、えぇ」

「他に何か懸念はあるかな? 」

「毎日私の送迎なんてしていたら、ゼレン様のお時間が減ってしまいますわ」



ただでさえお忙しい第二王子殿下ですもの。

ご公務にも携わっていると聞いておりますし、そうでなくても公爵家まで迎えに来てからまた王宮の前を通るなんて、完全に大回りですから無駄でしかありませんわ。

自由な時間が少ないご身分なのですから、もっとそのお時間を大事にしていただきたいのですけれど。



「公務の時間はすでに調整済みだし、自分の自由な時間に婚約者の顔を見たいと思うのはいけないことなの? 」

「うっ…」

「私は私の意思で提案しているんだよ」

「ですが…」

「リーナの移動時間を考えるだけなら、王宮前の道を通る許可を出せば済む話だろう? 」

「確かに…それはそうですわね」

「だろう? そうじゃなくて、私がリーナと顔を合わせて話をする時間を増やしたいだけなんだよ」

「私と、話を…」



毎日ランチにお誘いいただいておりますし、お話する機会はあると思うのですが…それでは足りないという意味でしょうか? それとも、ランチの場には側近の方々とご婚約者様もいらっしゃいますから、皆様がいる前では話しにくいお話をされたいという意味なのでしょうか?

完全なる政略結婚の代表みたいな婚約関係ですから、私と懇意になりたいという意味ではないと思うのです。

ゼレン様はお優しい方ですから、政略結婚でも仲良くしようとして下さっているのかもしれませんわね。


…あら、そういえば大事なことを忘れておりましたわ! 前世のお話は人前ではできませんわね。

エリーゼ様のことも、ヒロインですからやっぱり気になるのかもしれません。

そうなると、わざわざ何かある度に私を呼び出すよりも、確実にお話できる時間がある方が便利ですわね。


なるほど、さすがゼレン様ですわ!



「そうですわね! お話できる場がある方が良いと思いますわ」

「うん、何となく私の意図と違う納得の仕方をしたような気がするけど、今はそれでいいよ」

「それでは、お手数をお掛けしてしまいますが送迎をお願いしてもよろしいでしょうか? 」

「勿論だよ。帰りは迎えに行くから教室で待っていてくれるかな? 」

「かしこまりましたわ」






こうして今日からゼレン様と登下校をすることになりましたの。


それにしてもいつの間にお父様とお母様にお話されたのかとお聞きすると、昨日送っていただいた際にお話していたらしいのです。

こう言ってはなんですが、溺愛されている自覚のある身としては、すんなり許可が出たのが少し不思議ですわ。私が望んだことは叶えてくださいますが、今回の件は私が望んでいないことをお父様達ならきっとご存知だったはず。

現にゼレン様に一度お断りをしておりますし。

そうお話すると、ゼレン様は「使えるものは使えばいいと言っただけだよ」と苦笑されました。


だから、お父様もお母様も王家への不敬よりも私の負担軽減と仰ったのですね…!

謎は解明しましたが、何となく複雑な心境ですわ。

ゼレン頑張った…!意図は違っていても、とりあえず送迎を取り付けられたから本人的には上々の結果です。きっと後でダリスに笑われてます。


いつの間にか注目度ランキング入りさせていただいてました…!ブクマやリアクションもいただけて嬉しいです✨これからもお暇潰しにリーナ達に付き合っていただければ幸いです。

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