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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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ちょっと息抜きにミカルゲ視点です。

ミカは真面目な堅物だけど、完全にダリスに毒されています。仲良し。

私、ミカルゲ・ツァイスとダリス・アーベルガントは、ヴィアイン王国第二王子殿下であるゼレイン・ティア・ヴィアイン様の側近として日々を過ごしています。



私もダリスも幼少の頃より殿下のお傍に控えさせていただいていましたが、殿下が十歳の時にパードリー公爵令嬢とご婚約され、その機に正式に側近として任命していただきました。


以来、殿下のご公務にも帯同させていただいているのですが、基本的に文武にも大変優秀でおられる殿下の助けになるようなことはないものです。



「ミカ、これどう思う? 」

「昨年の実績を踏まえると、こちらの案の方が現実的かと」

「そうだよな、私もそう思う」



今のように意見を聞いてくださることは多くありますが、すでに殿下の中で答えが出ていることが多く、後押しのために確認されている気がします。



武にも長けている殿下は、ダリスを側近兼護衛としてお傍に置いていますが、大所帯の賊でも出ない限りダリスの出番はありません。

お忍びで街に降りられた時も多少のことはご自分で片付けてしまわれます。



社交的で人当たりも良く、民の話にも耳を傾ける優しい王子様。

それが第二王子殿下の印象です。


それに加え、兄君でおられる王太子殿下のためにご自分の派閥を調べ、害意のありそうなものは片っ端から調べ上げて潰していく等という大胆なこともできる胆力があり、それを遂げる実力も兼ね備えているのですから、完全無欠とはよく言ったものだと思います。





そんな弱点のなさそうな殿下ですが、実は一つだけ最大の弱点があるようです。



それが、パードリー公爵令嬢。

殿下の婚約者であり、四大公爵家筆頭の末娘。

婚約されるまでは『我儘放題で手がつけられない』と噂のご令嬢でした。

かつては私も噂を真に受けていた者の一人でしたので、婚約をされたと聞いた時は耳を疑いましたが、婚約以来殿下の側近としてお会いする機会が増え、言葉を交わして行く内に噂が間違っていると思うようになったのです。

態度を改めた、というには明らかに全てが洗練されていましたからね。態度や作法、勉学に至るまで付け焼き刃で身につくようなものではありません。確実に努力を積み重ねてきた結果だとご令嬢本人の所作が物語っていますから疑いようもなくなりました。


となると、気になるのは噂の出処ですが。

殿下と私の中では、恐らくパードリー公爵家によるものだろうということで一致しています。

実際、公爵家の娘に対する愛情が度を越していると見受けられる場面が多々ありますから。もはやあの家は全員が常軌を逸していると言っても過言でないくらい、娘のためなら何でもしようとしますし。パードリー兄弟が良い例でしょう。


そんなパードリー公爵令嬢ですが、ご本人は至って常識的な方なので特に問題はありません。

成績優秀、気遣いに長け、作法も完璧。

おまけに公爵令嬢ですから、王子妃としてこれ以上の方はいません。


敢えて欠点を挙げると言うなら、驚く程に自分に対する好意に鈍くいらっしゃることでしょうか。

殿下の弱点となり得る程に愛されていると言うのに、一向に気付く気配はなさそうです。

一挙一動に殿下が振り回されている様は大変新鮮ですが、見ているこちらとしてはもどかしくもありますね。



私にも婚約者がいるのですが、幼馴染ということもあり気心が知れているのでまた違う関係性かと思われます。


婚約者であるクラリア・ファーマシィ嬢はファーマシィ侯爵家の長女で、殿下、ダリスとも幼馴染です。

彼女は一見ふわふわした印象のある穏やかな女性なのですが、見た目に違わないおっとりとした口調でしっかり言いたいことを言ってくるので殿下も私もダリスも何度口を噤んだかわかりません。


ですがそんな彼女のおかげで、私は元来の柔軟性に欠ける思考を指摘してもらえているのです。

真面目でキッチリしていることは私の性格であり長所であると自覚していますが、同時に一辺倒でしか考えられていない、多角から物事を見る柔軟性に欠けているのだと気付かされました。

今でも時々注意されますが。




私とクラリアは母親同士が子どもの結婚の約束をしていたこともあり、お互いにお互いと結婚するものだと思って生きてきましたから、殿下とパードリー公爵令嬢の関係とは比較のしようがありません。


ですが、ここまで伝わらないと殿下が少し不憫に思えてなりません。


とはいえ、私達が余計な口を出す訳にはいかないので殿下の健闘を祈るばかりです。



最近では、完全無欠の第二王子殿下の最大の弱点が難攻不落の婚約者というのも何だか面白いのではないかと思うようになってきました。

ダリスの楽観的思考の影響でも受けたんでしょうかね。



何にしても、私は殿下の傍付きとして必要な補佐を行いながら見守らせてもらおうと思います。









「また何か誤解されているような気がする…」

「ここまで来るともはや特技だよな」

「何故いつもこうなるんだ…! 」




前途多難なようですが頑張って下さいね、ゼレン。

側近インテリにまで面白がられるゼレイン殿下。

明日は多分ダリス視点になると思います。

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