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転生した悪役令嬢はストーリーに興味がない~王子とか聖女とかどうでもいいのでどうぞご自由に~  作者: レイ


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ガールズトーク回です。甘さもふわふわした感じも全くありませんが…

「エリーゼ様、少々お時間をいただけないでしょうか? 」

「え、えぇ。勿論です」



前世の記憶のことについてゼレン様にお話しても良いかどうかご相談しようとエリーゼ様にお声を掛けると、クラスの皆様がザワつく声がにわかに拡がって首を傾げる。


公爵令嬢で第二王子殿下の婚約者とはいえ、私が聖女で伯爵令嬢のエリーゼ様にお声を掛けるのはそんなに不思議なことなのかしら?



何となくモヤッとした気持ちを抱えながら好奇の目を背にクラスを出て人気のない裏庭へと移動し、先程の疑問を口に出すとエリーゼ様は一瞬キョトンとした顔をされるとすぐに笑ってみせた。



「恐らくですが、フェリーナ様が私に声を掛けられたことではなく、私への呼称が変わっていたことに驚かれたのではないでしょうか? 」

「な、成程…? 」



言われてみたら、確かゼレン様も驚いた表情をされていたけれど、あれは私がエリーゼ様とフレイン先生とお話していたことというよりも、私が「エリーゼ様」とお呼びしていたことに驚いていらっしゃったのかもしれないわ。

お話していたことだけなら「珍しいね」と先に言及されていたのに、その後で驚かれていたもの。

今まで聖女様とお呼びしていたのに急にお名前に変わっていたから驚かれていたのね。


そうしてエリーゼ様の推察に納得した私はようやく本題切り出そうとし、そういえば結局まだエリーゼ様のお話を最後までお聞きしていなかったことを思い出したのです。

そうでした、エリーゼ様が電子レンジを開発したいと仰っていたところで終わってしまっていますわ…!



慌てて謝罪をしてお話の続きをお聞かせいただきたいと言うと、先に私の用事を済ませてからで良いと仰るため、申し訳なく思いながらもご相談させていただくことに。



「エリーゼ様は、前世の記憶をお持ちであることを国に知られたくないと思われます? 」

「そうですね……正直に言えば国に知られても構わないのですが、可能であれば広めたりはしないでいただけると有難いと思います」

「私もそれについては同意しますわ」

「前世の記憶があると言っても、この世界で役立ちそうな知識がある訳でもないですし」

「えぇ。多少ゲームの内容を覚えているくらいで、そこまでお役立ちできる知識はありませんわ」

「やっぱりここはゲームの世界なんですね」

「ご存知ではなかったんですの? 」



お話を聞いてみると、エリーゼ様は乙女ゲーム自体はプレイされていたものの、この『夢色の舞う花びらに乗せて』………長いですわね。今更ですが略しましょう。プレイしていた当時も『夢花』と略されていましたもの。

ええと、この『夢花』については未プレイだったそうなの。

タイトルをお伝えすると、ご存知ではあったみたいね。プレイしようか迷ったけれど、他のゲームがまだクリアできていなかったから先延ばしにしている内に事故に遭ってしまわれたそうよ。


一通りの攻略対象とストーリーをお話してみたけれど、彼女の反応は思っていたよりも淡々としていたわ。



「聖女に認定された時点で、ゲームの中ならヒロインだろうと思っていたのです。それも平民から貴族の養子になるだなんて、それこそゲームの中でしか有り得ませんから」

「それもそうですわね」

「ですが、第二王子殿下、側近のお二方はわかりますが、まさかフレイン先生が攻略対象だなんて…」

「私は貴女があまりにも攻略対象の誰とも接触されず、フレイン先生のところに通っていると噂になっていたものだから、先生ルートを選ばれたのだと思っておりましたわ」

「や、やめてください…! 先生ルートなんて怖すぎます…!」

「え、えぇ、ごめんなさい」



エリーゼ様がものすごく恐怖に震えていらっしゃるわ……

フレイン先生、本当に何をされたんですの…?



「とにかく、先生ルートは有り得ないです」

「そのようね…」

「それに、クレイも攻略対象なんですね。確かに幼馴染ですし、わからなくはないのですが…」

「ベルク様にお声を掛けられたりはされないんですの? 」

「えぇ、私がシュバイン伯爵家の養子になってから一度もありません」

「確かに人物紹介にもヒロインとの関わり方が分からなくて距離を置いてしまうと書かれておりましたが……本当にそうなんですのね」



クレイ・ベルク様は私達と同じクラスではありますが、エリーゼ様に近付く気配もなさそうなのですわ。

偶にチラっと見ていらっしゃる時はあるようですけれども……この感じですと、幼馴染ルートも進展なさそうですわね。



「でも、私が第二王子殿下のルートを選んでしまうとフェリーナ様が悪役令嬢になってしまうのですよね? 」

「えぇ、そうですわね」

「それは嫌ですね…」

「あら、気になさらなくて結構ですわ。エリーゼ様がどなたを選んでも、選ばれなくても、私は私の幸せを探しますもの」

「え…でも婚約者では…? 」

「決められたストーリーに興味はないのですわ」



このままゼレン様と結婚することになったとしても、婚約破棄されたとしても、私の人生は私のものですもの。

それが例えどんな人生だったとしても自分で納得できる道を探すまでですわ。




ですから、私は一貫して『ゲームのストーリー』には興味がありませんの。



言い換えれば、ゲームのヒロインが選択するストーリーに興味がないということですわね。

つまり、エリーゼ様がゲームのヒロインとしてプレイしたいのであればご自由になされば良いのです。


そうではなく、『エリーゼ様』として攻略対象でも、他の方でも、誰かをお選びになって進まれるストーリーなら話は別ですのよ。

リーナの根本は『ゲームのストーリー』に興味がないということなのです。

タイトルはここから来ています。

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