道案内
細かい部分を加筆・修正しました
「あのーすいません、○○墓地へはどう行けばいいんでしょうか?」
「はい、それでしたらこの道をこう行って…」
「ありがとうございます、新しい道になってよくわからないんですよね…」
新しい道ができたことで移動した、この田舎の交番に俺が赴任してから、夜中に道を尋ねてくる人がこんなに多いのは初めての事だった。
この辺の人はだいたい早寝早起きだから、滅多にこの時間帯には人が来ないのにな…
そう考えていたら、また一人のお年寄りが道を尋ねて来た。
「お巡りさん、○○墓地へはどう行けば…」
「それでしたらこの道をこう行って…」
「どうもありがとうね。去年来た時と道が変わってて、暗くなるとわかりづらいのよね」
「確かにそうですね。足元には気を付けてくださいよ」
…そういやこの人明かり持ってないな…
今気が付いたが、今まで来た人は誰も懐中電灯などの明かりを持っていなかったな。
この先は割と暗い道だが大丈夫かな?転んだりしないだろうか…
こうして何人もの人に道を教えていると、いつの間にか朝になっていた。
交代の時間になると先輩がやってきたので、あくびをしながら聞いてみた。
「先輩、昨日の晩、やたらと○○墓地への道を尋ねてくる人が多かったんですよね」
「そんなに多かったの?」
「ええ、30人超えてたと思いますよ。ふわぁ…失礼。この辺って夜中にお墓参りする風習でもあるんですか?」
すると先輩が不思議そうな顔をした。
「…あれ?お前気付いてないの?」
「え?何がですか?」
「昨日って送り盆の日だよ?」




