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三題噺もどき3

夏といえば

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくきゅうじゅうよん。

 


 ぼとぼとと雨音が響く。


 先週末あたりから続く雨は、今日も降り続いている。

 ずっとではなく、降ったりやんだりではあるが……気づくと降っているのだからずっと降っているのと同じような感覚にはなる。今日はそこまで酷くはないから、まだましかな。

 昨日の昼間なんて、ものすごい勢いで雨が降っていて、少し先が見えなかったほどだ。

「……」

 おかげで土日にあった夏祭りは、開催自体はされたものの、今まで以上に疲れたような気がする。歩いていては危ないだろうと甥っ子を抱いて歩いていたのもあるかもしれないが。合羽を着ていて想像以上に暑かったのも一因だろう。

 それでまぁ、雨が降っていては傘をさして歩く人は当然いるわけで、それなりの人混みの中でそれをされてしまえば、危険も伴うと言うのに……何度傘の先端に刺さりそうになったことか。

「……」

 おかげで昨日は腕やら足やらが筋肉痛になってしまった。

 未だに痛いが、まぁ、多少はマシになった。動けるのだから、大したことはないのだろう。

 体力のなかった頃は翌々日の朝まで痛すぎて動くのも一苦労なんてよくあったから、この休職期間に散歩やらなんやらと動いていたのは無駄ではなかったのだろう。

「……」

 しかし今日は。さすがに雨が酷いので、その散歩もできない。

 特に外出の予定もないので、ゆっくり読書にでも耽ろうかと思い。

 とりあえずは、パジャマから着替え、適当に手に取ったポロシャツを着て。

 下はまぁ、何でもいいだろうとハーフパンツを着ている。これで荷物とか来たらちょっとやばいかもしれないが、その予定はないので気にしない。

「……」

 雨が降っているせいか、扇風機を回さずとも少し冷えた部屋は、ぼんやりと暗い。

 あまり電気をつけたくないので、カーテンを開けて見てはいるがこれだとあまり良くないな。……仕方ない、電気をつけておこうか。

「……」

 あぁ、でも。

 今日は、これを読むから消したままでもいいかもしれない。

 そんな雰囲気とか気にするタイプではないけど、この系統を読むなら暗いとなおよい感じがする。もう少しソファを窓に近づければ読むことは出来るだろう。

「……」

 一度手に持っていた本を机の上に置く。

 とりあえず、ほんの少しだけずらしてみた。

 ま、読みにくかったらまた移動すればいいだろう。

「……」

 ソファに座り、机の上に置いておいた本を手に取る。

 この間図書館で借りた文庫本である。

 表紙はベースが黒。背表紙まで真っ黒で、おどろおどろしい字体でタイトルが書かれている。いかにもな感じが表紙から見て取れる。

 サイズは文庫本ではあるが、分厚さは若干ある。

「……」

 夏といえばやはりこれ。

 ホラーに限る。

 この時期になるとやっぱり惹かれてしまう。

「……」

 これは百物語をベースにしたもので、短い話が百話収録されている。

 今回借りてきたこの本は初めて読むのでちょっと楽しみにしていたりする。

 過去にもホラーは何作か読んでいるが、百物語ベースってあんまり読んだことはなかった気がする。妖怪とか怪談とかは小学生の頃から好きだったけど……そう考えると案外読んでいたのかもしれない。

「……」

 我が家の本棚にもホラー系の文庫本は入っているが、アレは確か後味が若干悪い感じの……どちらかというとバッドエンド寄りのモノだった。ま、ホラーにハッピーエンドはいらないと、個人的には思っているんだけど。何だったか……解決したようで何も解決していない的な、これからも悪夢は続く的な感じのやつだ。

「……」

 表紙を開き、軽くタイトル一覧を眺めてみる。

 そういえば、最近では声で聴くタイプのモノもあったりするらしい。本を読む時間もない忙しい現代人に向けてのサービスだろうけど。……それもちょっと気になる。

 ホラーを朗読で聞くのって、なんだかおもしろそうだ。百物語ベースなら尚更面白そうな気がする。一日一話ずつ、効果音とかは特に使わず、声だけで、最後に蝋燭を吹き消す音が響く……的な。あったりするんだろうか。

 この本の朗読があるかどうかは知らないけど、今度探してみるのもいいかもしれない。

「……」

 映画とかアニメみたいな絵で見るものも楽しいが、なんとなく。

 朗読という声で聴くものの方が恐怖が勝りそうで……面白そう。

 ……なんかここだけ聞くと性格に何を感じてしまうな。

「……」

 結構面白そうだ……。

 この作者の作品は他にも何冊か並んでいたから、これが面白かったらその辺も借りてみるか、いっそ買ってしまうことにしよう。

 今年の夏はホラー尽くしにしてしまってもいいかもな。






 お題:ポロシャツ・百物語・声

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