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たまに見る「作品の先の展開を予想するのやめて問題」に対する最高にクールな解決方法

作者: 翔という者

この作品はひだまりのねこ様主催「集まれエッセイ企画」参加作品です。

 どうも皆様こんにちは。

 はじめましての方もこんにちは。


 このエッセイを開いたということは、あなた様は二つのパターンのうちのどちらかに分類されるものと思われます。


 つまり、このエッセイのタイトルを見て「作品の先の展開を予想するのやめて問題」に対する最高にクールな解決方法を知りに来たか、ひだまりのねこ様が主催する「集まれエッセイ企画」の参加作品をお読みに回っておられるか、そのどちらかでしょう。ですよね? そうだと言え。


 作品の先の展開を予想するのやめて問題。

 読者が物語の先の内容を予想・考察し、その予想結果を作者に「作品への感想」という形で報告することがありますが、そういった感想が苦手、あるいは嫌いで「先の展開を当てるような感想はやめて」と公言する作者様も一定数存在するようです。


 皆様はどうでしょうか。

 読者に先の展開を予想されると、どんな気持ちになりますか?

 嬉しいですか? それとも……?


 頭の中で構想を練り続け、書いて、書いて、丁寧に伏線を張ってきて。

 全ての伏線が回収された時、読者の皆様は驚いてくれるかなー?

 そう思ってた矢先「感想が書かれました」のメッセージが来て……。


「これ、もしかしてラスボスはあのAってキャラに見せかけて、実はBじゃない?」


 せ、正解……。

 どうして、分かってしまったんだ……。

 確かにそうだと分かるように伏線は張ってたけど、その展開は読めない程度に描写を抑えていたはずだったのに……。


 けっこうツラいものがありますよね。

 ネタバラシの瞬間に、あっと驚いてほしかったですよね。

 やるとバレているサプライズほど悲しいものもなかなか無いですもんね。


 作者様によっては、読者に驚いてほしい一心でその展開を急きょ別のものに変更したり、場合によっては創作意欲が消沈して筆を折ってしまう方もいるとか。


 しかし、そんなお悩みに終止符を打つ最高にクールな解決方法を、このたび発見してしまったのです!


 長ったらしい前置きにお付き合いいただき誠にありがとうございました。

 ではいよいよ、そのクールな解決方法をお教えします。


 まずはじめに、この方法を知ればもう二度と感想欄で予想や考察をされずに済むぞと思っているそこのあなた。



 それは無理。(いさぎよ)くあきらめろ。╮(´-`)╭



 あー! 石を投げないでください!

 困りますお客様! 作者に石を投げないでください!

 (くつ)も投げないでくださいお客様!

 イガグリも投げないでくださいお客様!

 ブラウザバックもお待ちくださいお客様!


 いや実際、ふざけているわけではありません。

 こう提唱するのはちゃんと理由があります。


 ちょっとだけ自分語りですが、正直に白状すると、自作品にご感想をいただくようになってきた頃の昔の自分めにも、先の展開を見事に的中されると「やっぱりこの展開は安直だったかな……やめとこうかな……」と思い悩むような時期がありました。

 さすがに筆を折るほどの重症ではなかったですが、駆け出しの時の自分にも確かにこのような時期があったのです。


 だがしかし。

 我、大悟に至る。


 そもそも無理なんですよ。

 読者の皆様に「先の展開を予想するな」というのが。


 皆様とて、お好きな作品の一つや二つはあるでしょう。

 小説に限らず、漫画でもアニメでも映画作品でも。

 そして、先の展開はどうなるか、ワクワクしながら続きを待つでしょう。


 次回作の発表は一週間後。あるいは一か月後。

 映画作品なら数年単位。


 その間、ちょっとしたスキマ時間に物語の続きをついつい予想してしまう。仕事に向かう合間。あるいは仕事中。あるいは食事中。あるいは休憩中。エトセトラ。


 読者は、作品の続きを想像せずにはいられない生き物なのです。


 しかしそれは決して、あなたの作品が憎いから予想するわけではありません。ましてや、作者たるあなたが嫌いだから、あなたの楽しみを奪おうと思ってやっているわけでもありません。たぶん。


 作品の続きを予想してしまうのは、ひとえにその作品が好きだからです。


 好きだからこそ。

 早く続きを読みたいからこそ。

 その続きに思いを()せてしまうんじゃないかと自分めは思うわけです。


 そう考えると、少しは許せるような気がしませんか?

 読者の皆様が、あなたの作品の続きを予想することが。


 だいたい、かの尾田栄一郎大先生の『ONE PIECE(ワンピース)』とか見てくださいな。

 世界中から結末を考察されまくってて、もはや一種の学問みたいになってますよ。


 しかし、少なくとも自分は、尾田先生が「考察系の感想はやめて」と公言したような場面は見たことがありませぬ。


 単行本のお便りコーナーにも鋭い考察系のお手紙が寄せられているようですが、そのたびに尾田先生はユニークな返答でのらりくらりと(かわ)しておられます。


 そんな先達の姿勢を知り、知識として獲得できれば、あなたも読者の予想・考察系の感想を大らかに受け止めることができる……そんな気がしてきませんか?


 どんな人気作でも、読者の予想や考察からは逃れられない。

 いやそもそも、人気作だからこそと言うべきでしょうか。


 世界から圧倒的支持を得ている『ONE PIECE』。

 失礼を承知で申し上げますが、寄せられる予想・考察系の感想も、恐らく皆様方の作品の比ではないでしょう。


 そんな『ONE PIECE』と同じように、あなたの作品が人気になればなるほど、あなたの作品はさらに多くの予想と考察の対象になる。そりゃ当然です。あなたの作品が好きになって、続きを楽しみにする読者が増えるということなのですから。


 先の展開を予想されるというのは、つまるところ人気税、有名税みたいなもの。そう考えれば、割り切れませんか?


 もしもあなたが総合ランキングの上位を目指すような作者様であれば、いずれ予想・考察系の感想とは切っても切れない関係になることでしょう。なので、そういった感想をシャットアウトする方法を探すより、上手い付き合い方を身につける方が建設的ではないかと自分は思うのです。


 ……え?

 先の展開を予想するのは別に読者の勝手だけど、それをいちいち感想にして送ってくるのが気に入らない? わざわざ言いに来るな? そっと胸の内にしまっとけ?


 それも恐らく、無理な相談です。


 なぜそもそも、読者は作者に、自身が予想した「物語の続き」を報告しようとするのか。


 事前に申し上げますが、こればかりは自分も正確には分かりません。

 アンケートを実施したわけではないし、その手の心理学を専攻していたわけでもありません。


 自分なりに一つの答えを出しましたが、完全に想像の域です。

 そこをどうかご考慮くださいますよう、お願い申し上げます。


 つまるところ、読者の皆様は「共感」と「反応」を得たいのではないでしょうか。


 自分が想像した「物語の続き」を発表し、他の読者にも「あーそうかも」と共感してほしい。あるいは「えー、こうじゃない?」と意見を出してほしい。


 それは意外と、我々がエッセイを書いて、読者の皆様に感想を書いてもらって、皆様の意見を聞いてみたい、と思うのと大して変わらない原理かもしれません。


 極端な話、「共感」と「反応」を得られるなら、別に感想を送る先が作者じゃなくても構わないのかもしれません。現実世界の友人たち。掲示板(スレッド)に集まる同好の士。ツイッターのフォロワーたちだろうと。

 ……はい? もうツイッターじゃない? エックス? 

 いやぁ、自分はツイッターの語感が好きなので。


 しかし、それはあくまで世に名だたる人気作品の話。

 我々アマチュアネット小説家の作品は、あまりにも無名。

 語り合える友達は基本的に一人もおらず、掲示板(スレッド)が立っているはずもなし。


 だから読者の皆様は、あなたの作品に「共感」と「反応」を示してくれる仲間が、作者たるあなたしかいない。自身の考察を披露できる場が、あなたの作品の感想欄しか存在しない。

 ゆえに読者は、作者たるあなたに「自分が予想した物語の続き」を感想として送ってしまうのではないか、と翔ちゃん思うわけ。なんだこいつ急に馴れ馴れしいな。



 ここまでの話をまとめると、「作品の先の展開を予想するのやめて問題」に対する最高にクールな解決方法とは、こうだ!


①読者の皆様が続きを予想しちゃうのは、あなたの作品が好きだからだ!


②世の中には、あなたの作品以上に予想と考察の嵐に巻き込まれている作品があるぞ! それを見て溜飲(りゅういん)を下げよう!


③先の展開を予想されるのは人気税だ! あなたの作品が愛されている証拠だ!


④読者の皆様があなたに予想・考察系の感想を送っちゃうのは、その作品についてあなたと語り合いたいからだ!


⑤先の展開を予想されたら①~④までを意識し、大人の対応を心掛けろ!


 以上!

 異論は認める!

 でも異論を唱えるときはお手柔らかにお願いしたい! 豆腐メンタルなので!

 ごめん豆腐は言い過ぎた! 豆腐の方がまだ固い!


 まぁ、つまるところ。

 考察系の感想を送る人も、きっとただあなたの作品が好きなだけなので、邪険に扱うこたぁないよというお話です。ファンは大事にしなきゃ。


 ……いや、世の中は広いので、あなたが悔しがる顔を見たいがために先の展開を予想しまくる(やから)が存在する可能性も無きにしも(あら)ずですが、それはもうあまりにも特殊なケースなので知らん。私の手には負えない。私は平和主義者なので愉快犯との殴り合いの方法は持ち合わせていない。



 ちなみに自分は、上記の「最高にクールな解決方法」を使ってもなお、先の展開を当てられると悔しくて許せない時があります。何だったんだよ今までの話は。


 ただし。

 許せないのは読者様ではなく、自分自身です。


 先の展開を当てられたのは、そんな簡単に当てられる展開を考えた自分が悪い。もっと()った展開を考えろ。ただし闇雲に()りすぎず、できるだけ分かりやすくシンプルな話にまとめろ。皆が理解しやすい物語を目指せ。


 どこまで凝るか。どこまでシンプルにするか。

 この塩梅(あんばい)を考えるのも、執筆の楽しさだと思うのです。


 なので自分といたしましては、予想や考察系のご感想はむしろウェルカムです。

 あなた方が考察すればするほど、私の創作はより強くなる。



 それでは、これで「『作品の先の展開を予想するのやめて問題』に対する最高にクールな解決方法について」のお話は終わりです。


 最後に一つだけ。


 結局のところ、我々のほとんどはプロではない、自分で好きに作品を書いているアマチュアです。アマチュアなんだから、作品の先の展開を予想されるのが好きか嫌かくらい自由に叫んでもいいじゃない。

 それは自分もそう思いますので、このエッセイをどう受け止めるか、皆様それぞれで違っても全然アリだと思っています。


 このエッセイの内容に(なら)ってくださるのも良し。

 それでもなお予想・考察系の感想を遮断するのも良し。

 皆様ならではの、良き執筆ライフがあらんことを……。


 ……はい?

 考察系の感想以前にそもそも感想がもらえないから、こんな方法を知っても仕方ない?


 うん……分かるよ……。

 つらいよね……なろうの闇だよね……。

でもやっぱり自分が仕込んだあらゆる伏線回収に対して最高のリアクションをしてくれる読者様が欲しいと思う時もある。この際、AIでも構わない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)いやぁ~当たり前の事を理路整然と話されていると思いきや、なかなかそういう気持ちになれない人達へ向けての心温まるエールでした。最後の一言まで読んでこそ本エッセイの神髄が分かると思います…
[一言] 素晴らしいエッセイでした。 私も参考にしたいっす。 ちなみに個人的には「この人、ちゃんと読んでる?」な感想を書く方の考察には苦笑しかないです(;'∀') ただ単に物語の展開を当てる事を生き…
[良い点] エッセイ拝読しました。 小説を書く人間としては読者からの予想の上をいきたい思いもあり、 一方で「先読みされるぐらいシンプルな方がいいのではないか」という思いもあり、 物語を書く以上ずっと悩…
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