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⑻『雲の間から差す光』
⑻『雲の間から差す光』
㈠
改善すべき点というものが、自己にあるとしたら、という疑問を持ち出すまでもなく、自分は欠陥人間なんだと自認するんだ、という声が、雲の間から差す光から、聞こえてくる。闇を貫く、日会の形象が見える。
㈡
我々の光は、我々だけのものではないかもしれないが、しかし、光であることだけは、十二分に確かなことであって、そのことが、有難いことだと気付くのが、早ければ早い程、人生は満たされるものへと、変貌するだろうから。
㈢
物事は単純じゃない、そんな分かり切ったことすら、曇天が続く日々に至っては、何だか訳が分からなくなるよ。我々の我々よ、我々を自由へと解放し給え、俺はこの小説では、このことは述べたかったことだ、と思えば、自然と、雲の間から差す光が見え始めた。