あなたの思い通りにはさせません!~プライドばかりの裏切り令嬢に、ささやかな報復を~
ちょっとしたざまぁありの短編です。お楽しみいただけますように…。
誤字報告ありがとうごさいます。修正させていただきました。
「私、ライナス様とはそういった関係ではないわよ? 実際、私は彼と婚約はしていないし、あなたが勝手にそう誤解しただけでしょう? あなたとライナス様との婚約は、書面ではなく口頭のみで正式ではなかったにせよ、幼い頃からの仲。そんなお相手がいるにもかかわらず、ブルーノ様のお気持ちを弄ぶだなんて……。私、あなたと親友であったことを心から恥じるわ、アシュリー」
軽蔑した視線を向けてくる彼女に、アシュリーはそっと唇を噛んだ。
ここは、ランズベリー侯爵家邸内にある応接室。
アシュリーは、ランズベリー侯爵家の嫡男であるブルーノに、大事な話があると呼び出され、ここへやって来た。
この邸の執事に応接室に通され、彼女が一番最初に目にしたものは、三人掛けのソファに互いの身体を寄せあって座る男女の姿。
男はブルーノであり、女の方は、アシュリーのかつての親しい友人、親友とも思っていた、キャスリン・ガードナー伯爵令嬢だった。
「僕は君に騙されていたんだね。口約束とはいえ、婚約者がいただなんて。それなのに、僕からの愛を受け取ろうとするなんて、なんて浅ましい女なんだ。裏切られた気分だよ」
ブルーノが不機嫌な顔で、アシュリーを睨みつける。
婚約者の有無などお構いなく、これと見定めた女に片っ端から声をかける女好きが、聞いて呆れる。それに、アシュリーは彼の想いを受け取った覚えなど、これっぽっちもない。そちらが勝手に懸想し、追いかけまわしていただけではないか。
しかし、ここでそれを言ったところで無駄なこと。なにせ、ブルーノという男は、人の話を聞かない。聞いたとしても、全て自分に都合のいいように解釈する便利な思考回路の持ち主だ。他人にとっては迷惑この上ない。
そんな男とわかっていて、愛を受け取るだなんてありえない。それなのに、一方的に責められるとはどういうことか。
悲しげに俯くアシュリーを見て、キャスリンは口角を上げた。
自分が優位に立つ瞬間ほど気持ちのいいものはない、とでも言いたげだ。もちろん、その顔をブルーノに見られるようなヘマはしない。彼女も俯き加減になっているため、ブルーノはその表情を見ることはなかった。おまけに、キャスリンは小さく肩を震わせてみせる。
「ブルーノ様、かつて友人であった私からも謝罪いたしますわ。本当に申し訳ございません。アシュリーの不実をお許しくださいませ」
「キャスリン、あなたは本当に優しい人だ。そして愛らしい。あなたに免じて、アシュリーを許そう」
「さすがブルーノ様ですわ。アシュリー、ブルーノ様の寛大な御心に感謝することね」
アシュリーは一言も発することがない。とにかく、この時間が早く過ぎることだけをひたすら願っていた。
「アシュリー、何とか言ったらどうなの!?」
「いいさ、キャスリン。僕を篭絡しようとして失敗したことが、よほど悔しいらしい」
「まぁ……」
「アシュリー、僕はもう君など愛していない。何とも思ってやしないよ。だから、二度と僕やこの邸には近づかないでくれ。僕は、キャスリンと結婚する」
「ブルーノ様!」
キャスリンは感極まったように瞳を潤ませる。ブルーノはそんな彼女を見て、だらしなく鼻の下を伸ばしていた。
アシュリーはすっくと立ちあがり、二人に向かって最後の言葉を告げる。
「お話は済んだようですね。それでは、私はこちらで失礼いたしますわ。ランズベリー様、ガードナー様、どうぞお幸せに」
アシュリーは凛とした姿勢で、ランズベリー邸の応接室を後にする。背後からは、アシュリーを非難するキャスリンの声が聞こえてくる。
謝罪もないなんて、あんな性悪だとは思わなかった、とんでもない悪女だ、などなど。
「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ、キャスリン」
溜息まじりにそう呟き、アシュリーは顔を上げる。その表情は、ようやく憂いが消え去り、光が差したような清々しいものだった。
***
キャスリン・ガードナーは、かつてアシュリーの大切な友人だった。貴族が通う王立学園で知り合い、仲良くなったのだ。
ガードナー伯爵家の領地は、王都からはかなり離れており、僻地と言われている。かつては肥沃な土地だったその場所は、今ではすっかり痩せてしまい、作物の育ちがよくない。
その原因は、鉱山から流れ出す有害物質と言われているが、ガードナー家はたいした措置もせずに、鉱山から採れる鉱石の採掘に力を入れていた。
その鉱石のおかげで、一時期は莫大な利益を得ていたが、現在はその鉱山も閉鎖され、大きな収入源を絶たれてしまった。
仕方なく農作物の収穫に力を入れようとしたところ、すでに土地が汚染されてしまっており、作物が上手く育たなくなっていた、というわけだ。そのせいで、ガードナー家の財政は今、かなり苦しい状況にあった。
だが、かつての栄光が忘れられないガードナー家は、伯爵夫妻はもちろん、その子どもたちもプライドが高いことで有名だった。娘であるキャスリンは、特にそうだ。
自分と同等、もしくはそれ以下の身分の令嬢が少しでも裕福だったり、素晴らしい婚約者にでも恵まれていようものなら、徹底的に邪魔をしたくなるような、我儘でひねくれた性格だった。しかし、それをひた隠しにしておく狡猾さも持っている。
だから、キャスリンの本質を見抜けないまま、アシュリーは彼女と親しくなってしまったのだった。
今思えば、キャスリンは、同等の伯爵家であり、家がとても裕福なアシュリーを妬んでいたのだろう。アシュリーの大切なものをことごとく奪い取ってやろうと、近づいてきたのだ。
それにすぐ気付けなかったのは自分の未熟さだと、今では反省している。
しかし、あの頃は本当に信じ切っていたのだ。いつも笑顔でアシュリーの後をついてくる、可愛らしいキャスリンのことを。
キャスリンはいつもアシュリーの側にいて、アシュリーのことをあれこれと詮索してきた。家の内情や婚約者の家柄、性格という、普通ならあまり聞けないようなことまで。
あの頃はそれを詮索だと思わず、自分のことにそれほどまで関心を持ってくれるなんて、と呑気に構えていた。
一人娘であるアシュリーは、両親からの愛情をめいいっぱい受けて育った。それ故、人の悪意に少々疎いところがあったのだ。天然気質もあいまって、キャスリンの思惑には、全く気付かなかった。
そんなアシュリーが、初めてキャスリンに対して不審に思ったのは、婚約者を紹介した時のことだ。
アシュリーには、幼い頃からともに育った仲の良い幼馴染がいた。領地が隣同士で、互いの両親も仲の良かったフォスター子爵家、その次男であるライナス。
ライナスとは同じ年だが、彼は子どもの頃から大人びており、頭もよく、しっかりしていた。子爵家を継ぐ兄とは年が少々離れており、その兄を尊敬し、追いつけ追い越せで育ったせいかもしれない。
箱入り娘だったアシュリーはライナスをすごいと思っていたし、危なっかしいけれど素直で愛らしいアシュリーのことを、ライナスはとても大切にしていた。
互いの両親は、いつか二人を結婚させようと、アシュリーとライナスを婚約させることにする。しかし、そこでは正式な書面は交わしていなかった。両家の固い絆がそうさせたのだ。
あの時、きちんと書面を交わし、届け出ていれば、と思う。そうすれば、名実ともにアシュリーはライナスの婚約者だと、胸を張っていられただろう。
いや、それでも、この状況を避けられたかはわからない。
「私が世間知らずなせいで、キャスリンには振り回されたわ」
今だったら、届けがあろうとなかろうと関係ない。気持ちは固まっているし、揺るがない自信がある。だがそれも、結果論だ。
***
「ごめんなさい、アシュリー」
王立学園の授業が終わり、王都のタウンハウスに帰ろうとしていた矢先、アシュリーはキャスリンに呼び止められた。
彼女の顔は酷く沈んでいる。どうしたのかと思って、迎えの馬車を一旦待たせ、アシュリーは彼女を学園内にあるひとけのない庭園に連れ出した。
白いベンチに二人並んで腰かけ、アシュリーはキャスリンに尋ねる。
「どうしたの? キャスリン、顔色が悪いわ。何かあったの?」
「私……私っ……!」
瞳を潤ませ、ホロリと涙を零すキャスリンに驚く。アシュリーは彼女の背を撫で、必死に落ち着かせた。
「落ち着いて、キャスリン。何があったの? ぜひ話してちょうだい。私にできることなら、何でもするわ」
すると、キャスリンは顔を上げ、アシュリーに縋るような目線を寄越す。
アシュリーがゆっくり頷くと、彼女はポツリポツリと話し始めた。
「私、こんなことになるなんて思ってなかったの。最初は、領地経営についていろいろ教えてもらおうと思ったのよ。ライナス様は頭がいいし、いいアドバイスがもらえると思って」
「えぇ、そうね。キャスリンは、お父様を助けたいと思ったのよね」
「そうなの。ライナス様のお話は、とても興味深かったわ。我が領地でもやってみたいと思うことがいくつもあった。だから私、アシュリーのいない時でも、ライナス様にお話を聞くことがあって……」
「え?」
初耳だった。
口約束だけとはいえ、ライナスがアシュリーの婚約者なのはキャスリンも知っている。
婚約者のいる男性と、婚約者がいない場面で会うなど言語道断。いくらアシュリーとキャスリンの仲でも、それとこれとは別問題だ。
「ライナスは、それを許したの?」
ライナスは、困っている人を放っておけない優しい性格だが、こういった礼儀には厳しい。こんなことを、おいそれと彼が許すとは到底思えなかった。
しかし、キャスリンは肯定する。
アシュリーは眩暈がした。
「困っている私を放っておけなかったみたい。それに……私もライナス様の優しさが嬉しくて、つい頼ってしまったの」
つい、では済まされない。それを彼女はわかっているのだろうか。
アシュリーは、初めてキャスリンに対して怒りが湧いた。そしてそれは、ライナスに対しても。
いくら世間知らずの箱入り娘でも、これは絶対に許せない。
やむを得ない理由があったなら、すぐに教えてほしかった。こんな風にキャスリンから伝えられるなど、ないがしろにされた気になる。
「それから私、アシュリーに悪いとは思いつつも、ライナス様と二人で会うようになって……」
「なんですって!?」
思わず目をむくと、キャスリンは益々その瞳を潤ませた。
「怒らないで、アシュリー! いいえ……あなたが怒るのも無理ないわね。でも、ライナス様を悪く思わないで。彼は私を哀れに思ってくださったの。彼はいつも優しい笑顔で私の話を聞いてくれたわ。そんなライナス様を私……好きになってしまったの!」
鈍器で頭を殴られたみたいにふらふらする。
一度ならず二度も三度も、いや、それよりもずっと多く二人は逢瀬を重ねていた。──アシュリーを除け者にして。
怒りなど通り越し、頭の中が真っ白になって、もはや何も考えられない。
しかしキャスリンは、更に言葉の刃でアシュリーにとどめを刺した。
「ライナス様もね、私のことが好きだって。アシュリーとの婚約を破棄して、私と婚約したいって……そう言ってくださったの」
目の前が真っ暗になった。
幼い頃から誰よりも大切にしてくれた、アシュリーにとって王子様のような存在であったライナス。王立学園で何でも話せ、気を許せる素晴らしい友人だと思っていたキャスリン。その二人に裏切られ、アシュリーの心はボロボロになっていた。
何も言えずにいるアシュリーに、キャスリンはひたすら頭を下げて謝ってくる。
「ごめんなさい、アシュリー! でも私、この気持ちは抑えられないの!」
これ以上何も聞きたくない。
アシュリーはよろよろと立ち上がる。そして、どうやって帰ったのか記憶にないほど朦朧としながら、気付いた時には自分の部屋のベッドの上で泣きじゃくっていたのだった。
***
しばらくは何も手がつかないほどまでに落ち込んだが、ふと冷静になって気付く。
キャスリンの話が本当かどうか、ライナスや両親に確かめないと。
だが、間が悪かった。
ライナスは子爵家を継ぐ兄について隣国へ渡っていて、すぐには連絡が取れない。そしてアシュリーの両親も、親しくしている貴族の領地に視察に出ていて、簡単に連絡が取れない状況だった。
一応手紙は送ったが、いつ返事がくるかわからない。
事がはっきりするまでは外に出たくないと思っていたが、いつになるかわからない。その間ずっと学園を休むわけにもいかず、アシュリーは重い足を引きずって登校する。
だが、登校するとキャスリンがやって来て、あれこれと耳に入れてくる。申し訳ないといった顔をしながらだ。本当にそう思うなら、放っておいてほしかった。
しかしそんなことを言えるはずもなく、アシュリーの心はどんどん疲弊していった。
そんな時だ。ブルーノに出会ったのは。
気晴らしをしようと、王都で買い物をしていた時だった。
やけに見目のよい男が近づいてきて、気軽に声をかけてくる。咄嗟に警戒したアシュリーだが、彼の明るく社交的な口調に乗せられ、一緒にお茶を飲んだのが事の始まりだった。
楽しいひとときを過ごせてよかった、アシュリーとしてはただそれだけだった。だが、ブルーノの方は違った。
彼は女好きで、少しでも好みであれば声をかけて口説くような軽薄な男だった。学園でも、たくさんの女性との噂があった。
しかし、アシュリーは学年が違っていたし、人の噂話には興味もなかったので、それを知らなかった。だから、彼の誘いに乗ってしまったのだ。
この日を境に、ブルーノはアシュリーに構うようになった。
アシュリーは迷惑に感じていたが、身分はあちらの方が上、また上級生でもあるので、はっきりと拒絶できない。
どうすればいいのかと追い詰められ、食事も満足に喉を通らなくなった頃、アシュリーの元に救世主が現れた。
彼に全てを打ち明けたところ、彼はアシュリーを抱きしめ、こう断言した。
「全て解決するから、大丈夫だよ」
***
「あれからよね。ブルーノ様が私の前に現れなくなったのは。なのに、いきなり呼び出されるから驚いたし、少し怖かったわ」
「何かあれば、突撃するつもりだったよ。でも、怖がらせてごめんね。よく頑張ったね、アシュリー」
家に帰る馬車の中。
アシュリーの向かいに座る彼は、アシュリーに優しく微笑んだ。彼の微笑みに、アシュリーはうっすらと頬を染める。
「ブルーノ様は、キャスリンと結婚するんですって。キャスリンも嬉しそうだったわ」
「だろうね。ランズベリー様は自分にすり寄ってくる女性が大好きだし、キャスリン嬢は見えっぱ……いや、ステイタスに重きを置く人だから、お似合いだよね」
今、見栄っ張りって言おうとした?
アシュリーが小さく首を傾げると、彼は苦笑いを浮かべる。
「ブルーノ様とキャスリンを近づけたのは、ライナスなの?」
「うん。簡単だったよ。他の人間を使って、ランズベリー様とアシュリーが婚約しそうだってキャスリン嬢の耳に入れたら、即行で動いたね。僕よりもランズベリー侯爵家の方が魅力的だ。多少裕福ではあるけれど、僕はしがない子爵家の次男坊だしね」
「しがなくなんてないわ!」
力いっぱい否定するアシュリーに、彼──ライナス・フォスター子爵令息は、蕩けるような笑みを向ける。
またもや頬を赤くするアシュリーの愛らしさに、彼は席を移動した。……アシュリーの隣に。
「ありがとう、アシュリー」
「そ……そんな、お礼を言われるほどじゃないわ」
「でも、しがなくないとアシュリーに言われるのは、とても嬉しいから」
「ライナス……」
ライナスは、どん底に落ちていたアシュリーの前に、突然姿を現した。
隣国から戻るやいなや、彼女会いたさに自宅に戻るより先に彼女の家へと向かったのだ。そこで、驚愕の話を聞かされる。
キャスリンと何度も二人きりで会っていた? 彼女を好き? アシュリーとの婚約を破棄して彼女と婚約!?
どれもこれも、身に覚えのないことだった。よくもまぁ、ここまで嘘八百を並べられたものだ。そして、アシュリーを酷く傷つけたキャスリンを許せないと思った。
それはブルーノに対してもだ。
見目のいい女なら誰でもいいというような女ったらしが、アシュリーに話しかけ、あまつさえ口説くなど、絶対にあってはならない。
ライナスの怒りは頂点に達していた。
それから、彼は裏で暗躍する。
ブルーノとキャスリンを引き合わせ、恋愛関係に持っていく。それは、思いのほか簡単だった。
見た目は可愛らしいキャスリンに、ブルーノはすぐ目移りをした。そしてキャスリンは、アシュリーに対抗意識を燃やしており、彼女の境遇を妬んでいるからこそ、焚きつけるのは赤子の手を捻るよりも易しい。
「アシュリーはブルーノと結婚し、侯爵夫人になる。その日を楽しみに待ち焦がれている」そう囁くだけで、彼女はすぐさまブルーノ篭絡に動いてくれた。
それで、今日。
面倒な輩が、二人一度に片付いた。
「ねぇ、ライナス。キャスリンは知っているのかしら?」
「何を?」
彼女の耳側で囁くと、再び真っ赤になる。そんなアシュリーが可愛すぎて、ライナスは彼女の肩を強く抱き寄せた。
「ライナス! きょ、距離がっ……」
「正式に婚約者になったんだから、これくらいはいいと思うよ?」
「そ、そうなのかしら……」
そう、二人は正式に婚約の書類を交わし、その届けは無事に受理され、晴れて正式な婚約者となった。
ライナスが肩を抱き寄せたことで、アシュリーは話そうとしていたことをすっかり忘れてしまう。
ライナスは、そんなアシュリーの目尻に唇を寄せ、やんわりと触れる。更に真っ赤になる彼女を、愛おしげに見つめた。
おそらく、キャスリンは知らない。アシュリーからまた奪い取ってやったとほくそ笑んでいるだろう、相手のことを。
ランズベリー侯爵家は爵位こそ高位であるが、家の財政状況はよくない。はっきり言うと、火の車だ。
高位貴族なのでそれを巧みに隠してはいるが、きちんと調べればわかること。──もっとも、ガードナー伯爵家には、その力も余裕もないだろうが。
そのことを彼女が知るのは、もうまもなくのはずだ。
「アシュリー」
「ん?」
きょとんとする表情も、途轍もなく愛らしい。
目尻を下げながら、砂糖を山盛りにしたような甘い声でライナスは囁いた。
「婚約者として、これからもよろしくね」
アシュリーは大輪の花が咲きほころぶように、幸せそうに微笑んだ。