表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/653

〖奥の手〗

 空の上に現れた魔方陣、そこに立つ火柱の中には見知った人影がある。


 その男は、現れた。


〖よう、ロードロード〗


 金色に輝く大きな翼と金色の瞳。そして銀髪。魔術師チックなローブ服。


〖宣言通り、エヴォルを終わらせに来た〗


 ソロモン王の言葉に、ドワーフ大臣が身震いして物陰に隠れていく。まぁ、非戦闘員だから仕方が無い。


 俺は上空のソロモン王を睨み付ける。


「俺とは戦わないんじゃなかったのか?」


〖当たり前だ。そこら辺の悪魔より遥かに強力な魔物であるお前と、戦ってたまるか!〗


 そこら辺に悪魔なんていないと思うが……いや、ソロモン王は……〖悪魔召喚〗が一番得意な偉人だったと言われているな。


 勿論、他の魔術も得意だったらしいが、ソロモン王より上位の悪魔使いは聞いたことがない。


 そんな伝承もある以上、かの王が悪魔を見たことがあってもおかしくなさそうだ。


 まぁそれはそれとして。


「じゃあソロモン王、何しに来た? 俺の留守中でもないのに、なぜ魔王城の上空にやって来た?」


〖知れたことよ〗


 ソロモン王は、掌を構えた。


 ?


 おかしい。分身体は掌から光線出していたけど、本体は見るだけで知恵テイムをしてきた。


 なぜかの王は今更、掌を使うのか?


〖切り札を使わせて貰う。まさかドラゴンロード用にとっておいた技を、エヴォルで使うことになるなんてな〗


 まだ奥の手があったのか。


 ってことは、まさか強力な――、


〖知恵テイム! 白家ヴァイスハウプト


「――」


 俺は絶句。


 ソロモン王の掌から、三角錐が出現。


 その三角錐は半透明な白色。


 三角錐は、どんどん拡大していく。


 どんどん、どんどん。


 そして、三角錐は巨大な結界となって、ソロモン王を中心とするピラミッドとなった。


「……なんて馬鹿デカイ規模の魔術なんだ」


〖ロードロード、喜べ。この技を使おうと思っていたのは……イエス。ムハンマド。アダム。アブラハム……俺と敵対する可能性があり、この世界で最強の力を持つ可能性がある者達だけだ〗


「ムハンマドも来るのか?」


 ソロモン王は首を振る。


〖まぁ、あいつだけは有り得ないな。あいつは高潔過ぎる〗


「高潔?」


〖一応呼んだけど、断られた。何でも、「偶像崇拝禁止」を愛しているから呼びかけには応じられないというコーラン通りの内容さ〗


「……本当に高潔だな。偉人も第二の生なんて興味あると思ったが」


〖他の奴らは、色々あって呼べなかったが……アダムだけは呼べもしなかったな〗


 ……アダムね。


 きっと俺は一度会っているんだろうな。


 もう一度、あいつに会いに行かないとな。


【……】


 ソロモン王を撃退したら、あいつに会いたい。そして、聞きたい。


〖ロードロード、俺はお前と戦って勝てない自信がある〗


「自慢げに言うことか?」


 俺はちらりと周りを見る。


 魔王ガンダールヴとレギンが、張り詰めた面持ちで上空を見ている。


〖お前は倒せない。でも、国同士の戦いは別だ〗


「は?」


 どういうことだろう?


 俺が守る以上、エヴォルに勝つことなんて出来ないのでは……?


〖知恵テイム・バースト! ターゲットは……エヴォル!〗


 ソロモン王の掌に、また新しい三角錐が現れた。


 その中に、紫色の光が生まれ輝き出す。


 輝きは次々に満ちて――巨大なピラミッドまで伝わっていった。


 知恵テイムの光が、国中に広がっていく。


「これは、まさか――」


 俺は周りを見渡す。レギンと魔王ガンダールヴ、ドワーフ大臣、三名とも苦しそうにしている。


 そして窓際に近付き、地面の方を見渡せば――、


 亜人が亜人を殺していた。


 ドワーフが、オーガを。


 オーガが、ドライアドを。


 ドライアドが、サキュバスを。


 エルフが、ウンディーネを。


 多数派、少数派問わず、多くの亜人達が紫色の光に包まれて殴り合っている。


 ドクン。


 ない筈の、心臓の鼓動。


 なぜ起きたかは分からない。


 だが確かなことは、俺はキレた。


 俺は上空を見て、ギロリと殺意を向け、敵を見上げた。


「おいソロモン王、このクソッタレのスキルを今すぐ解放しろ」


〖嫌だね。俺はエヴォルを殺すんだ〗


 かの王は、遥か上空で俺を見下ろす。


〖ロードロード、お前は最強だ。だけど……エヴォルは殺せるんだよ。あと一時間もしないで、全員の脳を破壊する。知恵テイムを使えば……それができるのさ〗


 ソロモン王は高笑いする。


 ここに来て、俺は覚悟を決めた。


 上空にいる魔術王を今日殺すと、決めたのだ。

 もし『面白い!』とか『続きが気になる!』とか『道の活躍をもっと見て見たい!』と思ってくれたなら、ブクマや★★★★★評価をしてくれると幸いです。


 ★一つでも五つでも、感じたままに評価してくれて大丈夫です。


 下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところに★があります。


 何卒、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ