表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/653

「拒否」

 ソロモン王は魔方陣の上に立っていて、こちらからは点のように小さく見える。


〖俺には相変わらず見えない。しかし……今度は見え方が違う〗


「は?」


 遥か上空にいるソロモン王は俺を見下ろしている。今なら分かる。以前は俺の方を向いているけど目があってなかった。今もそれに近いが、以前よりは目と目で見ているような感じになっている。


〖俺にはね、ロードロードが光輝いて見える〗


 光輝いてる? 別に今は道テイムをしていないし、道テイムしてても俺というか石畳が光るだけだしな……。


〖……そういうこと、なのかな〗


「?」


 何を言ってるんだ、あの王は。

 奴は俺に手を向けて――ってヤバい!


〖知恵テイム〗


 ドン!

 巨大な光芒がノータイムで俺を襲った。前回とは違い、それは一瞬だった。

 以前なら俺が道テイムをするのと同じだけの時間を必要とした。しかし、今回はそのラグが一秒もない。かなり距離が離れているというのに、スキルにかかる時間は一瞬だ。


「うわああああ!」


 俺の体が道テイムに支配されていく。


〖これで君の正体も分かるというもの……さぁ、俺にお前を教えて貰う。って、何!?〗


 ……?

 何もない。理性も感性も影響がない。見た目にも変化が起きてないようだ。


〖な、何だ? 何が起こったのか、分からない!? それに知恵テイムをした時の……変化が感じられない〗


 ソロモン王は戸惑っているようだ。よく分からないが、彼のスキルは空撃ちになったのだろうか?

 ならしめたものだ。と、思ったのだが。


【うぅ……】


 小賢者、どうした?

 俺の心がお前の変化を感じ取ってるぞ?


【そ、その……理性が、おかしい】


 知恵テイムの影響が小賢者に出たのか!


【小賢者のこと、ソロモン王には黙っておいて】


 分かった……何か違和感があったら言ってくれ。


【う、うん……】


 小賢者の様子がおかしい。ソロモン王の知恵テイムのせいだ。俺に今、紫色の魔力はかけられていないが効果があったのだろう。

 どんな影響があるか分かったものではない。相変わらず不気味なスキルだ。


 俺は近くにいる魔王達に話しかける。


「皆、さっさと対策をするぞ!」


「う、うむ。しかし余は予想外だ。まさか魔王城の真上に来るとは……兵は既に北や西に向かわせたと言うのに」


 魔王は懐をまさぐり、何かを取り出した。どうやら羽のついた機械の様だ。あれは何だ?

 羽のついた機械は緑色の魔力を放つ。


「スレイブ、聞こえているか? ソロモン王が現れた! 魔王城の……余の真上だ。今すぐ兵を首都中央にあつめてくれ!」


 羽のついた機械からスレイブの風魔法の声が聞こえる。


『ま、魔王城の上ですか?』


「そうだ。ソロモン王のスキルは成長し、我が国の真上に転移できるほどまで強力になったようだ。迅速な対応を頼む!」


『わ、分かりました!』


 ぶち、と回線が切れた音がした。どうやらあれはこの国で使われる通信機のようだ。他の国にあるかは知らないが、風魔法の一種だろう。


 レギンとブーケは上空のソロモン王を見つめ、ドワーフ大臣は気付けばいなくなってる。大臣は非戦闘員だからとっとと逃げてくれるのが正解でしかない。

 さて、上空のあいつに備えるとするか。

 俺の『奥の手』、それは残酷極まる。

 残り少ないエナジーとは言え、恐らくエナジー消費は殆どあるまい。雑に使って強い技だからだ。

 出来ればソロモン王が引いてくれると良いんだが……。


〖ロードロード、亜人国家エヴォルを裏切り……エルティア王国軍に加われ〗


 ソロモン王の声が魔王城に響き渡る。これは恐らく、そういう魔法なのだろう。地の声でここまで届くわけがない。

 ブーケやレギンが張り詰めた表情をして、魔王ガンダールヴは意味深な真顔。

 俺の返答は決まっている。


「断る。俺の彼女はこの国の国民なんでね」


 レギンが少し照れくさそうにし、ブーケが頬を膨らます。


〖ロードロード、分かっているのか? お前がエヴォルを守るとリリスを殺しにいけない。そしてリリスを殺さないと人類の知恵が脅かされるんだよ。ポルノは脳を破壊する。サキュバスは人類のポルノを刺激するからな〗


 ソロモン王の一方的な物言い、それに俺は少しカチンと来てしまう。

 あの王様、本当に偉そうだな。知恵テイムでいきなり俺を洗脳しようとしたくせに……有無を言わせようとしなかったのに、それが通じなければ話し合い?

 虫が良いにも程がある。


 歴史書では好きだったが、実際に会ってみるとむかつくな。


「ソロモン王。いきなり知恵テイム仕掛けてきてそれは無いだろ。お前、俺の意思を聞く気ないじゃん」


〖こっちは俺の世界を守りたくて必死なんだよ。サキュバスを庇うなんて、人類の敵だぜ?〗


 ……、人類の敵、か。

 俺はそれになっていいのか? 良い訳がない。しかし、俺に譲れないものがある。


「ソロモン王、何度言われてもダメなものはダメだ。俺は……俺の恋路を叶えるって決めたから」


 レギンが俺を見て、紅潮する。そして、ソロモン王が暗い声で言う。


〖そっか……がっかりだよ、ロードロード。お前とは仲良く出来ると思ったのだがな〗


 ソロモン王は手を広げ、紫色の魔力を放出した。すると、空に貼り付けられたあらゆる魔方陣から沢山の剣や槍や斧が出現。その数、千、二千……いや、一万はあるだろう。もしかしたら五万とかあるかもしれない。とても数え切れない。

 まさか――。


〖なら、プレゼントだ。ロードロード……これを落とすだけで、結構死ぬんじゃ無いかな?〗


 その声で分かった。ソロモン王は不敵に微笑んでいる。

 そして剣の雨。槍の雨。斧の雨。まさにそう表現していいだろう。

 一万以上の武器が、次々と上空から落下してくる。


「まずい!」


 下には沢山の人々がいる。こんな武器の雨を許してしまったら、多くの死者が出る。

 俺が何とかしなければ!

 さらに、小賢者がいつもより弱っているのも感じた。


【……理性消えそう……まずい】

 もし『面白い!』とか『続きが気になる!』とか『道の活躍をもっと見て見たい!』と思ってくれたなら、ブクマや★★★★★評価をしてくれると幸いです。


 ★一つでも五つでも、感じたままに評価してくれて大丈夫です。


 下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところに★があります。


 何卒、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ