レギンにライバル出現
特殊トロフィー「エンゲージ」? 一体、どういうことだ小賢者!
【ブーケとの間に心の繋がりが生まれた結果です】
レギンとも繋がってると思うんだが……。
【道、を極めるにはコミュニケーションが必要です】
コミュニケーション?
【人体の中の道を、魔王ガンダールヴ達とのコミュニケーションで出来たように……インフラ整備はまさにコミュニケーションが必要】
まぁ道路建てる時とか現地住民に話したり政治家や大手建築会社が打ち合わせするよな。
【そういうことです】
で、この「エンゲージ」って何?
【パンツにも冠位指定の美少女パンツがあるように、トロフィーにも特殊トロフィーがあるってことです】
レベル上限が凄く上がるとか?
【いえ、今回の場合……結んだ相手に道テイムをかけたら相手が強力なスキルを使うことが出来る様になるということです】
すげぇな。でも何でエンゲージって名前なんだ? こ、これじゃあ……婚約みたいじゃん。
【ちなみにブーケにも、音声であれ文字であれ、表示はされているはずです】
お、おい。どういうことだ? バレてるって言うのかよ。
【信頼関係がある程度発生したら、この特殊トロフィーは出ます。エンゲージはゲッシュに似ています】
ゲッシュ……ギアスと同じで魔法の強制力を伴う契約だな。
【はい。今回のエンゲージはスキルの強制力を伴う契約になります】
道テイムって……強力なスキルだったよな。
【はい】
ってことは強力な強制力があるってことか。
何でブーケなんだ? レギンとはあれだけ仲良くしているし、信頼関係もあるし、レギンの為に礼拝の時間だって止めたんだぞ? ブーケとレギンなら常にレギンを取り続けてきたんだぞ?
おかしいだろ。朧気だけど、前世の俺が恋愛ゲームをやってて、狙ったヒロインを常に攻略しようと他のヒロインを無碍にし続けたら別のヒロインルートに入ったようなものだぞ!
【……残酷な話ですが】
おう。
【ケンタウロス族の方がサキュバス族より相性が『道』族には良いので、トロフィーは出やすいのです】
種族間の相性だと……。
【あとレギンは他の美少女パンツを見るのを拒絶しましたが、ブーケは容認しました。その差がエンゲージになったのかと】
ふ、ふ、ふざけるな。レギンは彼女だぞ? 彼女にエンゲージリング贈らないで職場の同僚にエンゲージリング贈ったら人間関係滅茶苦茶になるだろ。
そんなの……サブヒロインを攻略しようと思ってたらメインヒロインルートを強制的にやらされるようなものだろうが!
【仕様です】
ふざけんな。
【仕様だから仕方ないです】
美少女パンツを見てエナジー回復って仕様以上に嫌だ。何とかならないか?
【なりません】
そ、そんなぁ。俺、一途にレギンを愛したいんだけど……。
【大丈夫です】
?
【マップには表示されません】
浮気はバレなきゃいいみたいな理屈だな。
【あと、ブーケは満更でも無い様子です】
ブーケを見る。その顔は笑っていた。普段を遥かに超えて、可憐な笑顔だった。
「ふふふ。道さん、あたし達、相性良さそうですね」
俺は隣にぞわぞわしたものを感じ横を向いた。そこにはレギンの顔が引き攣っていた。っく、女の勘か!
「う、浮気じゃないけど、浮気以上の匂い……何だ、これは」
鋭いってレベルじゃねーぞ。これもう正解されてる感じがする。
ブーケは軽やかな足取りで優雅に俺に近づく。
「道さん……あたし、産まれながらに強力な脚力を持っているんですけど……それが原因で心臓に負担がかかっているんです」
「そうだな」
「でも……えへへ。これでハートが繋がりましたね」
「「「「――」」」」
俺。レギン。魔王。ドワーフ大臣。四名は今、同じ気持ちになった。
そう、「何かが起こった。そしてこのケンタウロス族の娘は、隠すつもりはない」と悟ったのだ。
そして俺は何かも分かってる。
ブーケは俺に近づき、その柔らかな腕で抱きついてきた。
「わっ」
ブーケがにやにやと無邪気な顔で笑いながらぎゅーっと抱きついてくる。
レギンが鬼の様な形相でケンタウロス族娘を見る。
「ブーケ……何してんの?」
「レギン。貴方が道さんを大事っていうんなら、そのまま愛しなさい。隙があれば、奪います」
「えー!?」
流石の直球発言に、レギンも大きく目を見開いた。
俺はレギンを愛すると決めた。決めたが……俺の心は高揚していた。
これは浮気じゃ無い。俺の自由意志じゃない以上、浮気とは言えない。
でも複数の美少女に愛されるって良いな。
レギンを愛するのは変わらない……変わらないんだ。
ただちょっと、俺を好きな子に優しくしてあげようと思うだけだ。うん。
へへへ。今の俺の心は絶頂だった。
まさかモテ期が来るとは。道になって良かった。
サキュバス族とケンタウロス族の美少女にアプローチされて、俺は嬉しい。
魔王ガンダールヴはマップに表示されたブーケの情報をじろじろと見る。まぁエンゲージはバレないだろうが、バレたら大変だ。ブーケにもその内口止めしないとな。
魔王は淡々と話す。
「整体は他の者にもかけるべきだな。ブーケほどの戦力向上は望めないだろうが、確実に体力や筋力が向上する」
「……」
レギンが暗い顔になっている。
「レギン?」
レギンは天井を仰ぎ見た。
普段明るいサキュバス美少女は、どこか葛藤していた。いや分かる。俺がブーケとエンゲージしたのを本能的にどこか気付いているんだろう。恐ろしい。
「まぁ、パンツじゃないなら……我慢するよ」
「っく……レギン、整体さえ嫌がるというのか」
魔王ガンダールヴは悲しい顔をする。レギンが嫌といえば整体も俺は拒絶してしまうかもしれないというのは確かにある。
だけど魔王も思ったことをその場で言わないでレギンがいないところで言えばいいだろうに。立ち回りが下手過ぎるな……政治家だというのに。
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