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彼女「今更だけど彼氏が他の女のパンツ見るとか嫌」 彼氏「本当に今更だな」

 ドワーフギルド近くの石畳で、レギンは大泣きしている。


「やっぱり嫌だぁ……」


 泣いている理由は察しがついた。俺が美少女パンツを見るのを嫌がり始めたのだろう……だがここはスルーを試みるしか無い。この問題は下手に手を出すのは危険だ。


「レギン、どうした? 何、泣いているんだ?」


「うぅ……うぅ……」


 レギンはむせび泣く。


「ねえ、ロードロード」


「何?」


「礼拝の時間、止めようよ」


 っく……やはり、そうなるよな。とぼけるしかない。


「え、何で?」


「今更だけど彼氏が他の女のパンツ見るとか嫌」


「本当に今更だな」


「止めないなら……別れる!」


「ええええええええ!?」


 それは本気で困る。レギンとパンツなら俺はレギンを取る。でもパンツを見ないと道テイムは使えないのだ。


「レギン、正気か?」


「正気だし、本気だよ!」


 レギンは赤くなった涙目のまま、俺に頷く。どうやら意思は硬いようだ。


「ロードロード、考えてもみて? 彼女がいるのに他の女のパンツ見るって恥ずかしくない?」


 だが俺にも意地ってものがある。折角美少女パンツを見るとかいう前代未聞の国策を打ち出してもらっているっていうのにその役得を捨ててなるものか!

 煙に巻いてやる!


「彼女がいなくてパンツ見てる方が恥ずかしいと思う」


「え?」


「考えてみろ」


「……」


「彼女がいない。出来たことも無い。そんな男がいたとする」


「悲しい話だな。まるで過去のあたしだ」


 レギンの顔が悲しげになる。まぁ、前世の俺をイメージしただけなんだけどな。


「そんな奴がパンツを見てたら、レギンって彼女がいる男より、つまり今の俺より可哀想だと思わないか?」


「……思う」


「そういうことだ」


「そっか」


「うん」


 へへへ。煙に巻けたようだな。


「……違う」


「え?」


 レギンは真顔で俺に言う。


「そうじゃないの。浮気して欲しくないって話なの。悲惨かどうか、じゃない」


 ――っく、レギン……賢い。煙に巻けないじゃないか!


「他の女に、目移りして欲しくない」


「でも、仕事だから」


「もしも仕事で、他の女のパンツを見てる彼氏だったら……仕事を変えてってあたしなら言う!」


 俺の仕事に口出しするだと? っく、だがレギンはこの世界で唯一付き合ってくれそうな乙女……ブーケも付き合ってくれるだろうけどあの子はなんか違うんだよな。


 俺と付き合うのさえブーケにとっては仕事なんだ。愛国や国防の為なら容赦なく付き合ってくれるだろう。だけど、そこに色恋模様なんて無い。断言出来る。

 俺はそもそも生き物かさえ怪しい。コンクリートの塊である俺を好きになってくれる人型なんているだろうか? いないだろう。


 他のサキュバスなら好きになってくれるのか? 保証はないし、全員尻軽ビッチだ。

 あらゆることを考慮するとはっきりする。レギン以外ありえない。


「ロードロード、本当に、他人のパンツ見ないで欲しい」


 レギンの真剣な眼差し、俺はもう……観念するしかないだろう。


「……分かった」


【分からないでー!】


 小賢者、黙れ。


【嫌―!】


「俺にとって一番大切なのは……」


 レギンの顔は泣き顔になってる。


「君の、笑顔だ」


「ロードロードぉおお!」


 レギンが俺に抱きつく。俺は生コンクリート状態になって彼女の頭を撫でてあげる。


「ごめんね、我が儘で……ご免ね」


「良いさ。彼女の我が儘の一つや二つくらい受け入れるのが彼氏ってものだ」


 俺は石畳の道テイムを解除する。石畳は輝きを失った。

 レギンが泣くのはしばらく収まりそうもない。しばらく撫でてやるか。よしよし。


【満タンには足りない。それどころか、請け負った仕事を熟すのも出来るかどうか……】


 小賢者、それでもやるしかないんだよ。女の甘えた言葉を許すのが、彼氏の度量だ。


【そんな男らしいこと言うくせに、よくモテなかったな】


 きっと顔が悪く、スキルが何も無かったんだろうな。きっと金持ちでも無いだろう。


【ごめん、言い過ぎた。ロードロード、その、ごめん】


 なんか悲しくなる……。でもだから分かってくれ。俺にとってレギンは特別なんだ。他にこんなコンクリートの塊を好きって言ってくれる奴、いると思うか?


【ブーケ】


 あの桃色ケンタウロス美少女は、愛国者の権化だ。女子って感じがしない。


【というと?】


 お前俺の心を聞いてるんじゃないのかよ。ブーケは愛国者で、国の都合で付き合うのならありって立場なんだよ。


【……確かに】


 レギンは俺を好きになってくれる異常者だ。なぜレギンが溺愛してくれるか、実は俺よく理解できてないけど……レギン以外、相手がいないんだよ。


【レギンがロードロードを好きなのは、浮気できないからじゃない?】


 ゴブリンやオークの不細工だって相手いないだろ。多分な。


【……確かに】


 つまり、レギンには何らかの独自の基準があって、それを理由に俺を好きでいてくれるはずだ。


【えぇ……コンクリートの塊に一目惚れする理由って、何?】


 そんな乙女心が分かるようなら、俺は童貞じゃ無かっただろうな。


【イケメンリア充だって多分分からないんじゃ……】


 だよな。


【ロードロードがパンツを見なくなったら国防も産業もヤバいと思うけど、小賢者的に許す】


 ありがとう。


【エヴォルとレギンなら、レギンを選んでいい。本体は怒りそうだけど】


 ……。本体、か。あいつ何で……俺にかまうんだろう。お前達は、何者なんだ?


【何者かは言えない】


 目的も話せないか?


【目的は前言ったと思う】


 言ったっけ?


【ロードロードに求めるのは、エヴォルを助けること】


 そうだったっけ。それは別に構わないんだけど。


【魔王ガンダールヴを、亜人国家エヴォルを助けるのは小賢者本体の目的に繋がってる】


 そう言えばそうだったな。元々小賢者本体に暗い意識世界で「魔王ガンダールヴを助けてくれ」って言われたんだ。


【ロードロードは彼女を……魔族の始祖リリスを助ける道】


 ……うろ覚えだけど、似たようなことを言われた記憶がちょっとある。


【道テイムは、リリスを救う為にロードロードに与えられた。ロードロードが美少女パンツを見るとエナジーを得るのは、リリスが美少女パンツに特別な思いを持っているから】


 覚えているのは、「リリスって美少女パンツ好き?」って聞いたら魔王とスレイブに激怒されたことくらいだ。


【天皇やローマ教皇、各国の大統領や主席の名をあげて、美少女パンツ好きって聞くようなもの】


 やべえな、俺の発言。


【やばい】


 リリスってそんな偉いのか?


【イスラム教徒にとってのムハンマド以上に慕われている】


 そんなリスペクトされているんだな……。サキュバスロードなんだよな。


【レギンとロードロードが恋仲になるのは、小賢者的にはおすすめできない】


 ……むかつく。何でおすすめ出来ないんだ?


【エヴォルはいつか、レギンを見捨てると思う】


 は? レギンを見捨てるって……あの魔王ガンダールヴやドワーフ大臣が?


【うん】


 優しいからそんなこと無いと思うが。


【レギンより、エヴォルを選んだ方が良い。その方がシルクロードも近づく】


 嫌だね。俺はレギン第一主義だ。シルクロードでさえ、彼女が拒絶したら止める。仕事と恋愛なら最終的には恋愛を取る。絹の道と恋路なら、恋路。


【……世界中の美少女パンツぅ……】


 リリスってパンツに特別な思いを持ってるって言ったよな?


【うん】


 何で? 理由を教えてくれ。


【……その内、分かる】


 なら今話せよ。


【この世界が、何の世界かもうすぐロードロードは気付く】


 ……。何の世界か、か。異世界ってだけじゃないんだな。


【うん。そして、ロードロードだけじゃなく、レギンも特別】


 レギンも、特別?


【うん。ロードロードは……賢い。いつか自分で、気付く】


 賢くなんかないって。


【気付いたら、小賢者達を嫌いになりそう。だから今は……言えない。】


 嫌いになるかな?


【なると思う】


 リリスがなぜ、美少女パンツに執着する理由、か。それがこの世界が何の世界かと関わってるってことね。繋がりがさっぱり分からない。


【だってそれが理由で……サキュバス達は異世界転移してるんだから】


 え? 美少女パンツが理由で……サキュバス達が異世界転移してる?


 俺は疑問が湧いたが、前に抱えていた問題が晴れていくような感覚になる。何かに、気づきそうな感覚。しかし、それは喉元まで出てきて出てこない。

 そして、レギンが俺を強く抱きしめてきた。


「落ち着いた。ロードロード、ありがとう」


「う、うん」


「ごめんね。我が儘な彼女で」


「気にするな。大切な彼女なんだ。もっともっと、我が儘言っていいんだぞ」


「……うん」


 レギンは俺の抱擁を解き、笑顔になる。彼女の頬に落ちる涙が太陽光でキラリと光り、俺は彼女のことを心の底から綺麗だと感じた。俺はただ笑顔を向けてくれる美少女ってだけでこの子を好きになって、付き合うことに同意したけど、この子は俺の内面のどこを好きになってくれてるのかな……。


「ギルド長に、挨拶しに行こう。魔王城に、帰るぞ」


「うん」


 俺とレギンはドワーフギルドに戻る為、進み出した。

 まぁはっきり言っておく。何とかパンツを見る方法を考える。

 俺がパンツロードを降りるのはありえない。


【お前、格好いい!】

 二十万字超えました! 多分この分じゃ……完結は百万字超えます。最終章は既にほぼ書き終えているので、完結は必ずやり遂げてみせます。


 もし『面白い!』とか『続きが気になる!』とか『道の活躍をもっと見て見たい!』と思ってくれたなら、ブクマや★★★★★評価をしてくれると幸いです。


 ★一つでも五つでも、感じたままに評価してくれて大丈夫です。


 下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところに★があります。


 何卒、よろしくお願いします。

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