vsアレクサンドロス大王 友達
「この黒い魔力の正体は……悪乃最高神か」
«そうだよ。とても悪いものだ»
アレクサンドロス大王は再び身構えて、
«集団転移!»
またもや、数万人の重装歩兵団と親衛騎兵隊の混成部隊と共に俺に押し寄せる。
俺は仕方無く逃げようとして、
「転移!」
とスキルを使おうとするが、
«道テイム!»
と大王に即座にスキルを放たれ、俺のスキルが相殺されてしまう。
一瞬で大王が俺に斬りかかり、続いて親衛騎兵隊が斬りかかり、重装歩兵団が俺を押しつぶしていく。
「ぐふっ」
痛い。
だが、斬られる度に、俺から黒い魔力が湧き起こっていく。
ドス黒い魔力が、俺の遺伝子を瞬時に回復。
黒い魔力が、表情を持ってニチャア、と笑った気がした。
【……】
それには俺もマケドニア兵達も震えた。
この黒い魔力……まるで異世界転生したばかりの俺のようだ。
どんどん、意思と表情を持って来てる。言語機能さえ、そのうちできるかもしれない。
ヤバいな。
«皆、急げ! あれを覚醒させるわけにはいかない!»
「「「「「うおおおおお!!!!」」」」」とマケドニア兵が咆える。
しかし、
「おい、ロードロード!」と聞いたことある声。
声がした王宮の方を見れば、そこには数万人の海賊団達がいる。
「俺達を使えよ!」「大王と同じことしろ!」「俺達を駒にして、マケドニア兵と戦うんだ!」「信じてるぜ、同類よ!」「俺達もう友達だろ!」
と彼等が声をかけてきた。
医神は、海賊団達と距離を置いていた。
もう、味方してくれないんだろう。
でも、それでも海賊団達が俺の味方をしてくれる。
「あぁ、じゃあ、頼む。俺を……信じてくれ」と俺は頷く。
「「「「「おう!」」」」」と答える海賊団達。
俺は大王の目を真っ直ぐ見る。
大王も、俺を真っ直ぐ睨む。
«集団転移!»
「道テイム・集団転移!」
大王の集団転移と、俺の集団転移がぶつかる。
同じ座標に転移が起きれば、純粋な魔力やエナジー同士がぶつかり合い、より強い方が転移できるようだ。
拮抗した場合は、無効だが魔力やエナジーだけは消費する。
透明なエネルギーと、黄金色の魔力。
二つが弾け、ぶつかり合い――座標が被らなかった者達がそれぞれ転移した。
海賊団達とマケドニア兵。
最古の最強のギリシャ人と、最後の最強ギリシャ人達が乱戦を始めた。




