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ドワーフギルド② ドラゴニアから来た物資

 俺は生コンクリート状態である、まぁコンクリート色の大きなスライムみたいな感じだ。出入り口に突っ立ったまま、大きな高さだけで五メートル、横幅は十メートル以下だろう長方形型の物資を見ている。白い布に覆われた物資は、何が入ってるか分からないが嫌な感じがした。


「レギン。あれ、嫌な感じがする」


「え、分かるの?」


 俺はレギンの方を見る。すると彼女は笑っていた。


「ねぇ、ロードロード、もしかして匂い感じたりする?」


「匂い……あ!」


 そうだ、これは多分……殆どしないが、嗅覚に近い。

 前世の人間の感覚と大分違うけど、確かにそれに近い。問題は、それを鼻という一部分で泣くコンクリートという全身で感じる嫌な感覚ってことだ。


「確かに、臭いって感覚に似てるかも。何だ、あの包みは?」


「すぐに分かるよ。まぁ国に必要だけど……今日来たのはタイミング悪かったかもな」


 特別な資材なんだろうか?

 先ほど、ブーケから荷物を受け取ったドワーフの男は、大声で鍛冶場全体に向かって叫ぶ。


「ドラゴニアから魔力フンが来たぞ!」


 魔力フン? どういうことだ? まさか、フンって……。

 俺の疑問が解答を得る前に、鍛冶場全体のドワーフ達が沸き立った。


「おぉ!」「待ってたぜ!」「これで製作が進む!」「うおおおおお!」


 さっきまででも活気だっていたドワーフ達がもっと輝かしい笑顔になる。そして驚いたことに、ハウスダウトを気にしてなかったようなドワーフ達が一斉にマスクを付け始めた。

 ドワーフがマスクする程あれは臭いってことか。


 建物の中央に置かれた包まれた物資、それを目指して二十名ほどのドワーフ達が集まってきた。

 そして、包みがほどかれ、中のものが露わになる。それと同時に、臭さが増した。

 中にあったのは巨大な岩塊……のような、黒光りした何かだった。台車の上にあるそれは少し光っている。


 何だ、あれは? 俺は魔力を他の魔物より感じにくいのだが、あれが尋常じゃ無い魔力が込められてるということだけは分かる。そしてやはり少し匂う。


「魔力フンって何だ? 俺、嗅覚は無いと思うんだが、明確に今臭いって思ってる」


「へー。まぁロードロードが臭いと思うのも無理はないよ」


 レギンは溜息交じりに苦笑する。


「あれ、ドラゴンのウンコだな」


「ドラゴンのウンコ!?」


「うん。ドラゴンは体自体が巨大な魔力の塊と言って良い。ドラゴンから出てくるウンコは非常に魔力がこもってるんだ。強力な魔力がこもってるから、魔力を感じられるロードロードも臭いって感じるんだ」


 ドラゴニアから来た魔力フン……そりゃ、ドラゴンのウンコだよな。しかし、凄い魔力だ。

 やはりドラゴンというのは特別な生き物なんだろうな。

 って、俺でさえ感じるということは、レギン達も臭いのではないだろうか? ここに入った時、レギンはハウスダスト対策でマスクしてるとは言え、臭そうだ。


「レギンやドワーフ達は臭くないのか?」


「あたしとブーケは魔力操作で鼻を保護してる。ドワーフ達は慣れっこなのさ」


「へ-」


「ちなみに、ドラゴンウンコを使えば良質な肥料を作れるんだよ。勿論、そのままなら有害なんだけどな」


「有害、なのか? 肥料にウンコを使うっていう農業があると聞いたことはあるが……」


 ドラゴンだからダメなのだろうか?


「もう、ロードロードったら。普通のウンコを肥料にしたら害虫とかが畑に出ることあるから糞尿は燃やしたりしないとダメでしょ? それと同じ。ドラゴンのウンコなんてのをそのまま畑に蒔いたら大変だよ。多分凶暴な魔物が発生して対処しなきゃいけなくなるんだから」


 し、知らなかった。普通の畑に糞尿蒔くなら加工しないとやばいんだな。こういうのは異世界の人のが遥かに詳しいや……俺は知らなかった。


「ドラゴンのウンコを食べた人間が吸血鬼やグールになっちゃったこともあるんだ」


「えー!」


 危険極まりないな。


「だから取り扱いには気をつけなきゃいけないんだ。そしてそれが出来るのは一部の上位魔族とか……ドワーフ族くらいのものだよ」


 俺は視線をドワーフ達に戻す。

 ドワーフはマスクをしながら集団で固まったドラゴンウンコを運んでいく。

 俺は建物をもう一度見る。吹き抜け構造とは言え、余り風通しは良くない。


『ダクト』を作った方がいいだろう。とは言え、俺にちゃんとしたダクトを作る知識など無い。


 レギンが俺に質問する。


「ロードロード、ここまでで何か貢献出来そうなとこある?」


 歴史好きだった俺は、ふと前世の知識を思い出す。ナイチンゲールと……知名度低いけどセンメルワイスだ。どちらも『衛生』で歴史に名を残した奴ら。まぁ、後者は可哀想なんだが。


「あるな。ドワーフギルドって……衛生観念がまるでない」


 本来匂いを感じない俺が嫌な匂いをあのドラゴンウンコ以外からも感じている。慢性的不潔がここに蔓延っているのだ。


「もしかして、ドワーフって喫煙者多い?」


「うん。魔力煙草吸ってる人多いから、多分ロードロードも感じるだろうね。ドラゴンウンコに比べたら臭くないんだけど」


 現場作業の人は確かに吸ってるイメージではある。俺のやるべきことは決まったようだ。

 掃除次いでに、道を作ろう。

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