道「レギンと別れたらこの国守るメリット無いからな」 魔王「え?」
まだ少し隊長が良くないので、俺は久しぶりにレギンに肩担ぎされて王城の大広間に運ばれた。
魔王ガンダールヴは玉座に腰掛け、俺とレギンを交互に見て溜息をつく。
「ロードロードよ、お前の道テイムに会わせて計画的な物流労働にどんどん移ってる。お前が道テイムする時間に合わせてケンタウロス族やドワーフ族の労働時間まで調整している程だ。気絶は仕方ないが……困るのだ」
俺は魔王様に生コンクリート状態になって、頭を下げる。
「すみません、以後気をつけます」
俺の謝罪を聞いて魔王様は頭を掻く。
「許す。それにしても、レギンの全身オイルマッサージか……まさに諸刃の剣。メリットもデメリットも嬉しすぎる」
魔王様の顔は酷く険しい。それだけ今回の事態を重く見てるようだな。
レギンはガンダールヴに向かって眉を顰めて言う。
「で、でも魔王様。あたしとしては、ロードロードが他の女のパンツを見ないでいいならあたしが全身マッサージしてやりたくなるんですけど」
もじもじとするレギン。魔王は目を見開き、玉座から立ち上がって強い語気で言い放った。
「ふざけるでない、レギン!」
「え、えぇ!?」
「俺はお前に配慮を極力してやるが、国防になれば話は別だ。いや、これは経済問題ですらある」
「経済問題?」
と答えたレギンは事態を理解してないようだ。とは言え、異世界に来てばかりの俺も何となくは理解してるのだがな。俺の能力はインフラ整備……経済に直結しているのだ。
魔王はレギンに解説を始めた。
「ロードロードが道テイムをすると、物流がよく動くのだ。それにより経済が活発化し、我が国の内需が回復している」
「……つまり?」
レギンはまだ分かってないようだ。まぁ、彼女は十五歳らしいし、肉弾戦が得意な子だから頭脳面はそこまで強くないのだろう。
「絶対にロードロードの道テイムは譲れない、ということだ。美少女パンツを見せる礼拝の時間の廃止などありえぬ。レギン、むしろお前に全身マッサージを禁ずる。余の権限の全てを使ってでもな」
「え、えええええ!?」
レギンは驚き、目を大きく見開く。魔王ガンダールヴは首を横に振る。
「仕方あるまい」
「ず、ずるいですぅ! 魔王様は木槌マッサージするくせにぃ!」
「木槌マッサージをやってもロードロードは気絶しないだろ……」
「うぅ……」
「それに余のは癒やし行為だけど、お前のは破廉恥行為だ。似てるけど全然違うからな?」
レギンはショックを受けて、黒翼をしおれさせる。
まぁ、しょうがないかな。気持ち良すぎてやばかったし。
魔王が俺の方を向く。
「ロードロード、それでよいか?」
魔王の目線は俺の気持ちを伺うような感じだった。
さてどう答えたものかと迷ったら、小賢者の声がした。
【危険。全身マッサージをやり過ぎれば、頭おかしくなります】
小賢者、俺のこの石頭さえもおかしくなるというのか?
【確実】
ならしょうがない。
【絶対回避推奨!】
ここまで強く言われれば、迷うことなど無い。
全身オイルマッサージは否定する方がいいだろう。
「魔王様、俺も全身マッサージは止めたいです」
俺の言葉にレギンがびくっと反応する。
「おぉ……そうか、そうだよな。ロードロード、余はお前を見くびっていた」
魔王は立ち上がった体を玉座にどすんと落とす。
「余はてっきりお前が見境のないスケベ野郎とばかり……お前は見境のあるスケベ野郎だ」
魔王は笑顔。なんだろう、全然嬉しくない。でも褒めてるつもりなんだろうな。
「国を思う故にスケベ出来るやつであり、公共を害するならスケベしないんだな。この賢者め」
「はい」
違うが、まぁこれは頷いていた方がいいだろう。
童貞だから耐えられないだけなんだよなって、あ。
真偽結晶が光る。あ、嘘ってばれちゃう!
だが魔王は感動しているからか、ぴかぴか光っているのに気付いていないようだ。
レギンが近づいて来て、俺に耳打ちする。
「ロードロード、あたしのこと、嫌いになった?
「な、なるわけないだろ」
むしろ益々好きになったわ。自分にだけエロくなる彼女とか最高だろ。
「でも、全身マッサージを受けたくないって言った。あたし、サキュバス国で習ったんだ。男を喜ばせるのを拒絶されたら、嫌われてるのを疑った方がいいって」
どんなこと教えてんだレギンの国は? 全く、けしからん。
「違うって。あの刺激が今の俺には強すぎるんだ」
「……本当?」
「本当だよ。俺がレギンと別れたら、この国を守るメリットないからな」
俺がレギンにそう言うと、魔王ガンダールヴが、
「え?」
魔王は間抜けな声を出し、真剣な表情で真偽結晶を見た。何当たり前のことを驚いてやがる。
俺の優先順位でレギンのがエヴォルより上なのは当たり前だろ。
恋人とか家族のが国より大事なんて当然でしかない。
レギンは俺をじっと見つめる。
「そうなのか?」
「当たり前だ。あの真偽結晶を見ろ」
レギンは見る。って、魔王の奴……血眼で真偽結晶を怖いほどに凝視してやがる。俺の意見、そんな意外か? まぁ今はレギンだ。
「俺はレギンが好きだ。エヴォルを嫌ってはいないけど、そこまで好きじゃない。レギンと別れたら出て行っていいと思ってる」
レギンは嬉しそうに顔を赤らめた。
対して魔王は、絶句し青ざめた顔になる。
「俺はレギンと付き合ってるからエヴォルを守る。俺の初めての彼女になってくれたレギンには感謝と愛で一杯なんだ」
レギンは照れくさそうに両手で顔を覆った。
魔王様は顎が外れたかと思う程に口をあけてぽかんとしている。
俺は生コンクリートを変形させレギンの手を握る。
「大好きだぞ、レギン」
「あ、あたしも大好き。ロードロード」
俺はちらりと見ると、真偽結晶は光ってない。どっちも嘘をついてないようだ。相思相愛って、最高!
「じゃ、魔王様。俺はこれで。レギンの全身マッサージは受けないので、ご安心下さい」
魔王は放心状態となっていた。俺は無視してレギンの手を引き石扉を出て、階段を降りて行く。
「ロードロード、あたしの全身マッサージを、気持ち悪かった? 下手だった、かな?」
「そんなことないよ。あのさ、俺達、その、色々と初めてじゃん」
「う、うん」
レギンは顔を可愛く赤らめる。俺も肉体があれば赤くなっていたことだろう。
「レギン、これからゆっくり積み重ねていけばいいと思うんだ」
「そっか。まだあたし達、始まったばかりなんだ」
「そうなんだよ。その内、その、もっと過激なこともやっちゃったり」
「もう、ロードロードの馬鹿。あたし、心配しちゃったじゃん」
「へへへ。ごめんごめん」
「もー、馬鹿彼氏! ばかれし!」
レギンは俺をつんつんしてくる。こそばゆい気持ちになる。へへへ。やっぱ彼女がいるっていいな。
俺達がじゃれあっていると、ビッチエルフの声が空中から聞こえた。
『初々しくて聞いてられませんわ!』
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