エナジータンクにヒビが入っていた
意識が戻ったのは、真っ暗な意識空間だった。
真っ暗な空間に光輝く男がいる。小賢者だ。
その男の顔は相変わらず、眩しくてよく見えない。
【いやぁ、びっくりしたよ】
久しぶりだな。小賢者。
【全くだね。ってそれどころじゃなくて、見てコレ】
「?」
光輝く男が指を指した方向に、俺は視線を移す。
そこにかなり横長の長方形があった。横幅五十メートル、縦幅二十五メートル、深さはプールくらいのサイズ、まるで巨大な貯水タンクの様なぎんぎんと光っている。
「何それ」
【君のエナジー】
こんな感じで溜まってるのか。
「え、それってさっき空になったんじゃ……」
【俺が一番びっくりしてる。あのレギンって子、やばいね。エナジーを一瞬で回復させるなんて凄いよ】
小賢者がまたもや溜息してる。
溜息多いな……ってあれ?
掘りが、見える、か?
そして等身さえ曖昧に捉えていたが……七頭身くらいに感じる。
「なぁ、小賢者。以前よりお前の顔が見える気がするんだけど」
以前はまるで見えないのが、今は朧気に、少し見える。
【そうか。君のスキル練度が上がってるからね】
「俺のスキルって道テイムしかないんだが……」
【そうだね。道テイム……それにきっと相手を知るのに直結した力があるのだろうな】
え、この地形整備能力にそんな力が?
【お前、レギンの体を治しただろう? あれもまた、知の力。お前の成し遂げたことだよ】
確かにそうだな……そう考えると、道テイムって地形を整備するだけの力じゃないんだな。
【そういうことだ。お前は兵站やインフラを直すどころか、人体さえ治せるわけだ。知れば知るほど、道を発見すればするほど……お前の道テイムは応用範囲が広がる】
ということは……俺の道テイムはまだまだ強くなる?
【お前が、知ることを止めない限りな】
道って、凄いんだな。
色んな道があるよな……考えとこ。
【それよりも、だ。レギンに余りマッサージ受けないでくれる?】
「え、何で?」
【壊れるからだよ、君の器がさ。これ、見て】
エナジータンクはよく見ると、透明な器で出来ていてヒビが入っている。
ええええええ!?
エナジーが溜まりすぎると、壊れてしまうのか?
小賢者はまた溜息する。
【当たり前だよ。強すぎる刺激が君をぶち壊してしまう。エナジーが満タンになることがあるってことは、許容量が決まってる防御機能なんだ。レギンのマッサージを受けると、君……死んじゃうぞ?】
もう死んでるのでは? というか、俺ってゴーストなのでは?
【確かに種族はゴーストだけど、このエナジーゲージがぎんぎんなのが答えだよ。エナジーが限界まで溜まれば、回復しなくなるのはこの器が破壊されない為なんだ。ここで消滅したら、きっとまた転生だな】
ってことは。
【レギンと別れるってことだな】
そ、それは嫌だな。
【なら死なない様に気をつけろ。あの全身オイルマッサージはそれ程危険なものだ】
そんなやばいのかよ。
【過ぎたるは及ばざるが如しってことさ。人間、パンツ見て興奮する程度の節度であれってことだな】
成る程……。
【俺は君に死んで欲しくないんだ。少なくとも、今はまだ】
今はまだ? 小賢者、お前……その内俺を見捨てるってことか?
【答えたくないな。でも今は君を助けてる、それだけで充分だろ?】
魔族の始祖リリスとどんな関係があるんだ? ジャンヌのパンツを道テイムしたら、答えてくれるって言ったよな?
【……】
俺は……魔族の始祖リリスを助ける為に道テイムを与えられた、と。
【分かった……教えよう】
……。
【私は、君がいた世界にいた】
ってことは、お前も人間だったのか?
【そうだ。そしてこの世界にサキュバスを送り続けるリリスを不憫に思った。彼女は我々がいた世界で……美少女のパンツに尋常じゃない執着を持つ。それが美少女パンツを見て興奮すると、君のエナジーが溜まる理由だ】
意味分からない。何で美少女パンツを見てエナジーを溜まる仕様がリリスと関係してるんだよ。
【彼女は単純だよ。ずっと俺を待っているのさ】
リリスが、お前を?
【あぁ。その為に、コンクリートに転生出来る奴を待ち続けたんだ。そして生まれたのがお前だ】
え、俺の転生って魔王が関わってるんじゃ……お前も関わってるの?
【おっと時間だ。続きは、また今度な】
ちょっと待て、まだ話は終わって――。
俺の視界は暗転し、光ある方へと意識が昇って行く。
どうやら小賢者は俺に心を開ききっていないらしい。色々と謎を残しながら、俺は光輝く男から遠のいていった。
本日はもう一話投稿します。昨日投稿出来ず申し訳ありません。Wi-Fiの接続が出来ず、投稿出来ませんでした。今は修復しましたのでご安心下さい。
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