耶律楚材。草原の覇者に中華を捧げた中国人。
俺の目の前でモンゴル軍が演習を行っている。
厳しい訓練で恵まれた体格の大男達が鍛え上げられ、チームワークを鍛えることによりバラバラな人間が一つの群体へと変貌していくのが分かる。
まるで、超個体だな。
俺はチンギスハンに軍事教習みたいな解説を受けている。
何を俺に伝えたいんだろうか?
〚モンゴル帝国の軍事は基本的に組織力だ。遊牧民の持つ爆発的な力を戦術や戦力として高め尽くすことで無類の強さを発揮した。他の遊牧民も騎馬兵特有の強みはあるが、それを組織化することに我らほど長けた存在はそういないだろう〛
「……なぁ、なぜこんな、恐怖の大帝国を作ったんだ?」
チンギスハンは躊躇いなく答える。
〚それが生物の本質だと思ったからだ〛
「生物の本質?」
〚人は恐怖を感じると委縮し、本来の力の半分も出せぬ。統治において、恐怖こそ最も必要と朕は思ったのだ。人間の世は、苛めがある。朕も受けた。実の兄と思っていた男からな。最も……向こうは腹違いの朕のことなど、弟でないと思っていたようだが……その感情を朕は利用したまでよ〛
……。
それはそれで可哀想だ。
自分がされた嫌なことを世界に返す。
それが……こんな悲しい世界を作ったっていうのか。
〚朕は自らの人生に狩猟を誓った。そしてその手段として行ったのが読み合いだ〛
「読み合い……」
〚己の定石を知り、敵の定石を知れば、百選危うからずになるのだ〛
「まるで将棋だな。というか、孫氏の兵法か」
〚……中国軍の戦い方を将棋のようだ、とロードロードが評するのは極めて正しい気がするな。だが、朕も前に言ったように……読み合いにて中国軍を圧倒した〛
そっか。
目の前の光景では中国軍が数多く殺され、死屍累々と言った情景になってる。
〚だが生き方は朕の方が将棋だ。中国人と違って、取った駒を使うからな〛
「何?」
〚何よりお前に伝えねばならないのは二人の男だ〛
俺の見る景色が変化していく。
失禁した男が、慌てふためきながらチンギスハンに土下座しているのだ。
男が顔をあげる。
中東系? と中国系が混じった様なハーフ顔の男だった。
服装そのものは昔の中国人が来てる服まんまだが、純粋な漢民族って感じはまるでしない。
まぁ、中国は外国人が日本よりも来やすかったから……多民族国家だから珍しいことではないのだろう。
〚……朕がとった駒の中で、非モンゴル系の人材が何人もいた。だが、突出したのは二人。一人は耶律楚材だ。朕に中華を捧げた男だ〛
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