道「まるで将棋だな」
テムジンは全モンゴルを統一し、中華を手に入れるべく進軍を始める。
勝ったり勝てなかったりを繰り返すが、恐ろしいことに戦うごとにどんどん強くなっていった。
俺はモンゴル軍の騎馬兵を見て凄いと思った。
鍛え上げられたのは人だけでなく馬もだった。
司○○太郎は「世界史において源義経とチンギスハンとナポレオンだけが騎馬を匠に扱えた」と言ったとそのファンから聞いたことがある。その発言が本当なら、その発言に関してはバカそのものでしかない。
戦史を理解する理性も知識もまるでないと言わざるを得ない。
そもそもモンゴル軍の四駿四狗を知ってたら、そんなこと言わないだろう。
四駿四狗になって無い奴らでさえ、恐らく大体の日本の武将より騎馬を運用することに長けてる。
ハンニバルやスキピオやアレクサンドロス大王を知らないのだろうか?
彼らを知らずに戦史は語れない。
そもそも騎馬兵を使った積極的な戦術とは平野や草原などの……遮蔽物が少ないところでこそ可能になる。
日本の武将が鵯越した戦術は邪道なのだ。
騎兵運用には騎兵運用としての王道的戦術がある。
騎馬を使った王道的な戦術とは、どういうものか?
それが目の前でやられている。
大規模な平地に幾千もの騎馬兵が展開して、音や狼煙に合わせて陣形を変えていく。
日本では一回も行われなかっただろう王道的な騎兵運用だ。
平野。
騎兵の運用とは場所によって出来るか出来ないかが大きく変わる。
日本は山や谷が険しいのであぁいうのは出来ない。
……チンギスハンは本当に賢いようだ。
よくもまぁ、これだけの騎兵戦術を巧みに行えるものだ。
ナポレオンはウェンリントンに敗れたが、恐らくチンギスハンハンならウェンリントンに勝つだろう。
義経は自分が決して勝てないと思った平知盛から逃げ続けたが、チンギスハンなら平知盛と戦っても勝つだろう。
そう思える程に、目の前の戦力戦術戦略は圧巻だった。
それなりに鍛えられた中国軍が手も足もできないでいる。
……日本で騎馬戦が発展しなかったのは、そもそも騎馬を活かせる平野での戦いがそこまでされなかったからだろう。平野で戦いを行ってもちょっと急な坂道に逃げれば馬がこけてしまうというなら騎馬兵の大規模な戦いなどできない。
あるいは、天才指揮官の欠如だ。
パルティア、スキタイ人、アッティラ大王の軍隊……遊牧民達はかなりの強者だと聞くが、これだけ狼煙や音を使って積極的な騎馬運用が出来たのはあの男の作った軍隊だけだろう。
恐らく、軍事的な本質は現在でも通じる戦いをモンゴル軍はしている。
自衛隊や大日本帝国よりは格上な感じがした。
自衛隊や大日本帝国は「目的を達成出来れば犠牲が出ても気にしないぜ」と思うような頭の悪いとこがある。
その風潮は変わりにくい日本の国民性に根ざしているので、俺個人としては……モンゴル帝国のが日本より強いと思わざるを得ない。
モンゴル軍は負けそうになったら撤退して仕切り直す。負けたとしても何かを学びとり、成長の糧にする。
モンゴル軍は人として当たり前の選択を当たり前に行うのが天才的に上手い。
まさに、世界一の軍隊を世界一の英雄(非モテ不細工コミュ症)が率いているわけだ。
モンゴル騎馬兵が中国軍人を射る度に、その力強さに驚く。
恐らく……40キロから60キロ程の弓の強さがある。
恐ろしい。
弓道はかじったことないが、某警察漫画でゴリラと呼ばれた主人公が29キロの弓を使って驚かれていた。
モンゴル軍は某少年漫画の某警察官より強いのが普通らしい。
徹底的に鍛え上げられた馬と人。経験を積んで成長していくだけの学習意欲。そして凄いのが大軍勢でありながらチームワークとして機能した軍隊。
……これを、13世紀に行った奴がいるのか。
軍隊を組織として構築するなんて凄い。
日本は群れる戦術とかはあったがここまで考え尽くされた戦いは無かっただろう。
物事の本質を考え尽くすからこそ手に入れた強さ、それを強く感じた。
だが、その戦法は悍ましい。
恐らく、クリルタイ……最高意思決定会議でテムジンがチンギスハンになった後のなのだろう。
それは殺し合いでは無く、一方的な殺しだった。
中国人は圧倒されていて戦いになってない。
さらに特筆するなら、その殺しは人間相手に雌雄を決するものでもなく、まるで鹿や狼や熊を狩るような印象を受けた。
中国軍の戦いを見て、俺はふと感じた。
「まるで将棋だな」
中国軍の陣形はまるで将棋だった。
駒のように整然と並べられている。
中国軍の戦いは歩兵は歩兵として、将は将として役割がしっかり与えられていた。
整列された軍隊は儒教的だ。整列された軍隊がやられていく。
対して、モンゴル軍の戦いを見て、俺はふと感じた。
「まるで狩猟だな」
チンギスハンの軍隊は相手を敵兵として扱う以上に、狩猟対象として見ている感じがした。
訓練しつくした騎馬兵は縦横無尽に戦場を動き、中国軍を翻弄する。
ある者が囮になり、その隙を突いて弓が飛ぶ。
……モンゴル軍の騎兵を生で見るのは凄まじいまでの圧巻だった。
俺の戦争知識はなんだかんだ、日本がベースなのを実感する。
日本の戦いにこのような戦いは無かった。
日本は騎兵戦術が発展しなかったからだ。
急で狭い坂道が多く、国土の七割は山。水資源はそれなりにあるが、それは川も豊富だということになる。
そしてオランダ人が「日本の川は川ではない。滝だ」と言うほどに急流なのだ。
そんな場所では騎兵戦術が発展しようがないのである。
だから俺は思う。
これだけ見事な騎兵運用も……恐らく、日本では通用しない。
山や谷が馬を疲弊させ、その力を発揮しきれないのだ。
土地によって、最適な戦術は変わる……そんなことを俺は思った。
チンギスハンとは草原を極め、平地を極めたものに他ならない。
あらゆる人を蹂躙し、侵略する人間兵器。
戦場で文字を書かず、狼煙や音で合図するチンギスハンを見て、俺は呟く。
「まるで狩猟だな」
そして、文字で伝令を伝える中国軍が将棋の記録係のように見えた。
俺はふと、呟く。
「まるで将棋だな」
中国人の戦い方と、モンゴル人の戦い方、それはまさに農耕民族と遊牧民族の戦い方が色濃く現れている感じがした。
中国人は将棋のように戦い、モンゴル人は狩猟のように戦った。
どうしても更新したいので、スマホで更新しました。
この話はボツにしようか迷ったのですが、パソコン用に書き溜めたのが更新できないのでボツネタをスマホで書いて投稿した感じです。
もし『面白い!』とか『続きが気になる!』とか『道の活躍をもっと見て見たい!』と思ってくれたなら、ブクマや★★★★★評価をしてくれると幸いです。
★一つでも五つでも、感じたままに評価してくれて大丈夫です。
下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところに★があります。
何卒、よろしくお願いします。




