ロードロード、道テイムを使いこなし始める
晴天。俺は今、亜人国家エヴォルの西側国境にいる。俺の目の前の光景には、大量の兵士が血眼で突撃してくるのが見える。攻めて来る敵の格好は白いマントに青い刺繍が入った服、簡素な鎧を身に纏う――いつものエルティア王国の兵士達だ。
「やれやれ」
俺は畳一畳サイズのコンクリート。種族は道。特技は――
「道テイム」
地盤沈下が起きる。俺は地下の土をごっそり横に移動させたのだ。周囲の土が少し高く盛られる。
一瞬で大地が陥没し、敵国の兵士達が転ぶ。
骨折や捻挫をしているだろう兵士達を見下ろし、俺は更に、
「道テイム」
をかける。すると、彼等は土で覆われ、生き埋めになる。
桃色の短髪と瞳を持ち、馬の尾を生やしたケンタウロス族の美少女が尻尾をフリフリさせる。
「道さん、凄いです!」
「っふ、まぁな」
「完全に道テイムを使いこなせるようになりましたね」
「あぁ、だがここまで大規模だと――」
【報告。エナジーが大幅に減少しました。回復の為に、美少女パンツを見て下さい】
俺の心に小賢者の声が響く。どうやら、回復の必要性があるらしい。
「ブーケ、皆を集めてくれ」
「はい!」
ブーケは、振り返って後ろの簡易テントの方を向いた。
「レギンさん、スレイブさん、出番ですよ!」
簡易テントの中から、黒い翼が背中から生えて日焼けした健康的な肌のサキュバス族のレギンと、雪のように白い肌を持つエルフ族のスレイブが出てくる。どちらも美少女である。
「ブーケ、戦闘か?」
「魔力は有り余ってます。精霊の力は使いたい放題……」
ブーケは首を振る。
「いえ、戦闘ではありません」
ブーケの言葉に、レギンとスレイブは驚く。
「は?」
「え?」
サキュバスとエルフの少女はキョトンとした顔を浮かべる。ブーケは、笑顔になって彼女達に言う。
「道さんだけで大丈夫です。なので私達は、エナジーの回復に協力しましょう!」
エルフ族のスレイブは、頭に手を当てて、
「そ、その……調子が悪いのでテントに戻ります」
よろよろとテントに向かうエルフ、その尻にケンタウロス族の蹴りが軽く入れられる。
「この馬鹿エルフが!」
「ぎゃん!」
ブーケに蹴られ、涙目になるスレイブ。スレイブはお尻をさすりながら反論する。
「何するんですか! 調子が悪くなったからテントで休もうって思って」
「戦場で義務を放棄するのに仮病を使うなよ」
ブーケのドスの利いた声。レギンは二人を無視し、すたすた歩き始める。
「レギンさんを見習え! 行くぞ、スレイブ!」
「で、でも」
「序列三位のあたしに、序列七位のお前が口答えするのか?」
スレイブは涙目になってとぼとぼと歩き出す。ブーケは笑顔でスレイブの手を取り、明るい声で、
「じゃ、行きましょう。スレイブさん! 義務を熟すなら、スレイブさんにも、さん付けしますし……」
ブーケの声が少し暗くなって、
「お前の実家にも、言わないでおいてやるからよ」
と言う。スレイブは泣き出した。
っく、なんか心が熱くなってくる。俺にキツく当たる美少女が怒られて泣くってなんか良いな。
ケンタウロス族の美少女はビッチエルフの尻に軽く蹴りを入れる。
【報告】
なんだ小賢者?
【美少女が美少女に蹴りを入れたのに興奮し、微妙にエナジーが回復しました】
まじかよ。
【まじです。この変態が】
仕様だろ?
【仕様です】
なら、しょうがなくない?
【しょうがないですね】
へへへ。じゃあ良いじゃん。
俺はブーケとスレイブのやり取りを見ていた。普段ずけずけ俺に物を言うスレイブがブーケに蹴り入れられてるので、なんか興奮した。
レギンとブーケとスレイブ、三名の美少女が『道』こと俺の傍に到着。
「じゃ、見せますね」
ブーケはスカートの両端をつまみ、ちらっと俺に見せてくる。
桃色のパンツ。適度に鍛えられた筋肉質な太ももがそそる。
うっひょおおおおお。
【エナジーが回復しました。レベルアップです】
「ほら、ロードロード。あたしのパンツだ。たんと見てくれ」
「レギン、ありがとう」
レギンもスカートの裾をつまむ。
黒い絹。ブーケほどでは無いが、普段から鍛えられた太腿と美しい骨盤の形が綺麗だと感じられる。むっちりとした質感をパンツによってラインがはっきり捉えられる。
パンツって良い。履くことでラインが明らかになるってのがね。へへ。
【エナジーが回復しました。レベルアップです】
「スレイブ、早く見せてくれ。道テイムでエナジー回復したくてうずうずしてんだ」
「うるさいですよ、この変態! 序列九位の分際で、序列七位の私に指示出しなんて」
スレイブが俺に反論すると、ブーケがキレ顔でスレイブを叱った。
「さっさと来て見せろ、この馬鹿エルフ! なら序列三位のあたしが命令する! それで文句ないだろ!」
スレイブは眉を顰め、肩を震わせながらスカートをめくりあげた。へへへ。
この嫌がられるのも気持ち良いんだよな。パンツを見せられるなら、俺に見せたくないと言ってる美少女が見せてくれる方がありがたいぜ。
「屈辱ですわ」
パンツをみる。これは白い絹。よく見ると白い刺繍があり、魅惑的なデザインになってる。
一見無地だがよく見ると渦巻きの刺繍がされていて、それが体のむっちりしたラインをより際立たせている。スレイブの足は華奢であり、長い足もまた一層俺を満足させる。
たまんねえな。
【エナジーが回復しました。レベルアップです】
【報告。トロフィー、「嫌がる美少女がパンツを見せてくる顔ってそそる」を獲得しました】
似たようなトロフィー、無かった?
【このトロフィーに回数制限はありません】
馬鹿なの? 何でそんなトロフィーに限って回数制限ないの?
【仕様です】
「ならしょうが無いな」
【しょうがないです】
……もしかして、小賢者の好みだったりして、な。ははは、そんな訳。
【ギクリ】
……。
【……】
おい、お前……。
俺が小賢者に突っ込もうとすると、レギンが俺に語りかけてきた。
「おい、ロードロード! 新手だ!」
「何!? さっきので最後じゃなかったのか!?」
【ロードロード。早く倒しましょう(きりっ)】
この野郎……小賢者、新手を片付けたらてめぇに問い詰めてやるからな!
【勘弁してくれ】
「よし、三人とも、パンツしまってくれて大丈夫だ!」
俺はエルティア王国の兵士達を見つめる。
生き埋めで可哀想だ。しかし、攻めて来てるから仕方ない。
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