美少女パンツでエナジー回復。拒否したエルフはキレられる
「もうすぐです」
ケンタウロス族が使ってボロボロになった石畳。俺はそれを道テイムしながら直していく。
スキル練度向上やレベルアップの影響だからだろう、一メートルくらいの遠隔なら俺は道テイム出来るようになっていた。ブーケが走る石畳や土を整備していったのだが――。
【報告。エナジーが枯渇しました】
俺の道テイムは終わった。目の前の石畳が整備されず、ただの砂利になったような荒れ地をブーケは走り続ける。
ブーケは、初めて不安げな顔を俺に見せた。
「道さん、もしかして」
「あぁ。エナジーが尽きた」
絶句する魔王とブーケとレギン。しかし、集合地点の石橋はすぐそこだ。
俺達が帰る頃には既に、石橋近くに殆どの魔王軍は集まっていた。
死傷した兵の数々。気を失っている者もいるが、士気は当然ながら低い。
魔王が重々しい声で俺に話しかける。
「ロードロード」
「エナジーを回復するには」
「そうだったな」
魔王は重々しく頷き、全魔王軍に告げた。
「聞け、魔王軍の兵士達よ。実は道のエナジーは……美少女パンツでエナジーを回復するのだ!」
ちょ、いきなり全軍にばらすのかよ。ざわざわと言う兵士達の声が聞こえ始めた。
「このことは箝口令を敷く。しかし、諸君等には協力して貰いたい!」
魔王は頭を下げた。その様子を絶句して全ての魔王軍兵士が見ている。
「頼む。余を信じてくれ。余は、エヴォルを護りたい……美少女達よ、道にパンツを見せてくれ!」
ざわめきは一瞬で収まった。そして。
兵站トップのヒポハスが叫んだ。
「魔王様がどれだけ素晴らしいか、分かっていない奴はいるか? ただちに言う通りにするんだ!」
魔王のカリスマ、なのだろうか。
俺の近くに魔王軍の美少女が集まって、スパッツを脱いでくる。オーガとか、ドライアドとか、
色々いる。
レギンをチラ見する。すると。
「ロードロード、何でそんな大事なこと、言ってくれなかったんだよ……」
彼女は可愛らしく、ぷくっと頬を膨らませる。
「言ってくれたら、いくらでも見せたのに」
そして、次々に俺に美少女パンツが見せられる。
麗しい四肢。艶めかしい肌。隠すべきとこが隠され、出るべきものが出る。
俺は無修正より修正の方が好きだ。
パンツは、それだからこそ美しい。
俺はノーパンの女性より、パンツの女性に興奮する。レース。水玉。ヒョウ柄。
シルク。
【エナジーが回復していきます】
へへへ。
俺が幸せな感覚に浸っていると、魔王の怒鳴り声が聞こえた。
「スレイブ、貴様この期に及んで、まだスパッツを履くというのか!」
スレイブが魔王に、否、魔王軍に罵倒されている。
「見損ないましたよ、スレイブ様」「序列七位なのに、責任は感じないんですか?」「いい加減にして下さい!」「パンツ見せて、戦争に勝てるんなら見せますよ!」
スレイブは「嫌です」と言い続けている。
強情な女だ。すると。
「おい、いい加減にしろよ」
ドスの利いた冷たい声。それは、普段誰よりも明るい笑顔、桃色の髪を持つケンタウロス美少女、ブーケの声だった。
周囲の人間はブーケをガン見して、雰囲気はこれ以上なく凍る。
「ぶ、ブーケ? 貴方、いつもとノリ違うくない?」
恐怖の色に顔を染めるスレイブ。
「お前、戦争舐めてんの?」
スレイブの顔は、恐怖の色がどんどん濃くなる。ブーケは俺の方を見て、
「道さん、道テイムで傷ついた方々の治療をお願いできますか?」
「あぁ、分かった」
俺は美少女パンツを見るのを止めて、レギンに負傷兵の元に運んで貰う。俺が道テイムをして死にかけの兵士達はどんどん治っていく。
魔王軍の兵士達が驚愕のあまり、声をあげる。
すると再び、ブーケの声が聞こえた。
「スレイブ……貴方は、北の街で道さんがレギンの血管を治療したの、知ってますよね?」
「え、えぇ」
「どれだけの方が、傷ついていると思うんですか? 家族を残している兵士達のこと、考えたことありますか?」
「――」
「あたし、スレイブに失望してます。貴方、道さんを道さんって言ってた癖に、美少女パンツ見るようになってから道って呼び捨てにしてますよね?」
「だ、だってあんな変態――」
ブーケの声は、どんどん怒りに満ちていく。
「それ、エナジーの獲得の為に必要って分かりましたよね? 今になっても、そんなこと言うんですか?」
「ぶ、ブーケさん」
「もし貴方がパンツを道さんに見せないなら、あたしはエルフ国にクレームを入れます」
「!?」
ざわざわする魔王軍。ちょうど俺の治療が終わった。
峠を越えた、というべきだろう。瀕死の者達は確実に生気を取り戻し、一命を取り留めた。
ざっと数百人くらいだ。
「今この場で、兵士の命を救ってるのは誰ですか? 戦場を最も駆けるあたしでもなく、風で情報伝達する貴方でもない。道テイムで血管を治療する道さん……そう、ロードロードさんなんです」
「――」
「早くやれよ、ゴミエルフ。お前、何考えてんの? そもそも貞淑を大事にするエルフ族の癖に、イケメン好きだからと言ってやりまくって祖国追放されたのがお前だろうがよ」
「ぶ、ブーケ様、お願いです。そのことは余り」
「戦友の命がかかってんだよ。パンツ見せて、数名だか数十名だか数百名だか命救えるなら見せるのが軍に生きる者のすることだろ。バカな頭でもそれくらい分かれよ」
見れば、スレイブは真っ青な顔で俯いている。
「貞淑さを大事にしてるなら下ネタで怒るならまだ分かる。でもお前、処女だからってサキュバス国を追放されたレギンと違って、男を取っ替え引っ替えしてる」
「……」
「あたし、初めて他者を嫌いになりそう」
「――」
ブーケは、マジギレしている。スレイブはがくがくと震えだした。
「パンツ見せろ。スレイブのパンツの色や模様なんて、抱いた男達が次の日には酒場とかで話してんだよ。元々、秘密性ゼロだからな」
「え……」
スレイブは、知らなかったと言わんばかりの顔だ。ブーケは顰めた眉をほどき、取り繕った笑顔になる。
「スレイブさん? 貴方を、さん付けするかどうか最後の一線です。パンツを見せなさい。これは、戦友としてのお願いです。序列三位として命令とか言いませんよ? 序列一位の魔王ガンダールヴ様の王命すら聞けない様な方に、序列三位なんて威光ありませんもんね?」
ブーケの言葉を聞き、スレイブは泣きながら指をパンツにかけてずり降ろしていった。
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。大きなモチベーションになり、2章のプロットを今書き終わりました。
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