エナジータンク、一杯
俺はレギンと一緒に徒歩で学校に向かっていく。
「ロードロード、クラスの皆……なんだかんだで良い奴らだよな」
「う、うん。レギンが皆を信用してくれて……何よりだよ」
「? どうした、歯切れ悪いぞ」
レギンが心配そうな顔で俺を見つめる。
「……アイシャが、レギンと色々衝突してたから」
「あはは、でも過去のことだよ」
「……」
「子供じゃないんだから、いつまでも昔のことなんて引きずったりしないよ」
レギンは明るく笑う。彼女は俺がアイシャ達から虐められていることを知らないのだろう。俺は、国益を叶える為に……全身オイルマッサージをアイシャ達から無理矢理受けているのだ。
レギンに言うんだ。無理矢理、やられたって。
浮気じゃ無い。
浮気じゃ無い。
浮気なんかじゃ、ない。
だからこういうのは早く言うべきだ。誤解のないうちに。
信頼関係を、構築する内に。
「レギン、実は、俺――」
「?」
「俺、は――」
「うん」
レギンの明るい笑顔を見て、俺の心に曇りが出来た。
彼女を、心配させたくない。
そう思ってしまった。
だから、だから、だから。
「アイシャとレギンが仲違いしてないってんなら良かった」
そう言ってしまう。本当は、仲違いしてた方が言いやすいと感じているのに。
レギンははにかみ、とびっきりの笑顔を俺に向けてくる。
すると、俺の言葉でレギンの胸がちかちかと光った。
「――」
真偽結晶が光る。俺の嘘がバレた。と、思ったら、
「あはは」
とレギンは笑う。胸の中の魔導具が光っているのに気付いていないようだ。
「でしょ? あたし、十五歳なんだよ。子供じゃない。だから心配しないでよ」
「うん……」
言えなかった。彼女に、他の女から全身オイルマッサージをされてるって……言えなかった。
ごめん。
レギン、ごめん……。
ぬるぬると移動する俺と、てくてくと歩くレギン。
談笑しながら時間は確実に過ぎていく。
言わなきゃ、言わなきゃ。隠し事なんて駄目だ。言わなきゃ――そう思うままに時は過ぎていった。
学校の校門を過ぎて、俺は隣を見る。
結局、言えなかったな……。
「レギン、そろそろ」
「あぁ、礼拝の時間だね」
「うん」
俺は学校の敷地内の石畳に意識を集中。見れば、その石畳も損傷が激しい。
「道テイム!」
学校の石畳から街中の石畳――郊外の石畳まで繋がっている。
石畳は光輝き、俺の視界に国中の美少女のパンツが次々に映っていく。
【エナジーが回復しました×六千】
ふぅ……。
いつもなら、この時間を一時間使うこともしばしば。
しかし。
【エナジーが回復しました――エナジータンクが一杯になりました】
!?
【スキルの使用をおすすめします!】
……どうやら、オイルマッサージの効果は高すぎたらしい。
エナジータンクは随分と溜まっていたようだ。
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