地下通路、完成!
「み、道テイム!」
俺は要求されるがままにどんどん地下通路を整備していった。
アイシャ達のオイルマッサージの効果もあり、国内地下通路の整備はどんどん進んで行った。
というか、十割完成してしまった。
「こ、これでいいか?」
アイシャ達はぱぁあっと明るい顔になる。
「ありがとう、新魔王様!」「やっぱロードロードさんって素敵!」「嬉しいです!」「これで皆が助かります!」
きゃっきゃと喜ぶ同級生達。俺が整備した地下通路、そんなに良いのだろうか?
「何でそんなに嬉しいんだ?」
アイシャが俺に答える。
「ロードロードさんの世界にも地下通路ってありましたよね?」
「あぁ。あったよ」
「交通の集中した首都、渋滞を避ける為にも地下道って必要じゃありませんでしたか?」
「!」
アイシャの言葉を聞いて理解した。成る程な。確かに物流の面を考えたら首都圏で混雑を避ける為に地下にも道を利用するっていうのは理に適っているように思える。
「成る程、理解したよ」
「そういうわけです。実は物資の渋滞が度々問題になってて……この地下通路のような一直線の道を皆欲していたんです」
「あー……それを聞くと必要性は理解出来るな」
「そうです♪ そういう訳で……ロードロード様、マッサージしますね?」
「!」
アイシャ達はエナジーが空になった俺に対してぬるぬるとマッサージしていく。
「っや、止めてくれよ……彼女がいるんだ。彼女がいるのに、こういうの良くないって」
「黙れ、新魔王」
アイシャの声に、びくっと俺の体が震える。
「あたし達は国を守るのに真剣なんだよ。新魔王っていう責任ある立場の貴方が、なぜ責任を果たそうとしない? もっと美少女パンツを見て頑張るべきなんだ」
「で、でも俺は死者転生もインフラ整備も戦闘もするよな? これだけ頑張ってるから彼女になるべく配慮したいって気持ちを酌んでもらっても――」
「黙れ!」
またまた俺の体はびくっとなる。エナジーがどんどん回復していく。
【エナジーが回復しました×十万】
「や、止めてくれよぉ……」
俺の声は涙声になった。涙腺などついていないが、本気でまずいと思っている。レギンを……愛する彼女を裏切りたくない。
「嫌です。絶対に止めません」
なぜかは分からない。でも、ひっくひっくと泣いてしまう。アイシャ達は全然止めてくれない。
「いいですか? レギンさんにバレたら……レギンさんはきっと悲しむでしょうね?」
「!」
アイシャは意地悪そうにニヤリと笑い、俺は思わずムっとする。
「止めてくれよ、アイシャ……俺は、俺はレギンを愛して――」
「貴方の愛より、国家の発展のが大事なんですよ」
「俺にも、人権があるだろ」
「亜人でもないのに、人権って言われてもね」
くすくすとアイシャ達は笑う。悔しい……でも、俺はどうすることも出来ない。
「っく……」
「ロードロード様♪ これからも、エヴォルの為に道テイムして下さいね?」
アイシャは妖艶に、そして可愛らしく笑った。
……ちょっと、嬉しい。
い、いや、俺にはレギンという愛する彼女が――っく。
「アイシャ、もう良い。止めてくれ。もう、地下通路は出来てるだろ?」
「あぁ、そうですね。あはは! ……レギンさんに言っても良いですけど、言ったら苦労するのはロードロード様ですよ?」
「――」
アイシャはつかつかと出入り口まで歩いて、扉を開ける。上から明るい外光が差し込んでくる。まだ、夕日があるようだ。
「さ、どうぞお帰り下さい。ロードロードさん」
「……」
「また、マッサージして上げますね♪」
俺はキリッとアイシャ達を睨んだが、彼女達はふふふと笑ってまるで意に介していなかった。
……どうしよう。人間関係作るの、失敗したかもしれない。
レギンに、謝らないといけないよなぁ……。
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