アイシャ、キレる
「み、道テイムだと!?」
「はい、具体的には」
アイシャは胸からごそごそとまさぐって紙を取り出した。
……ブラジャーをポケット代わりにするの、流行っているのかな?
「これです」
「――これは!」
それはエヴォルでかつて廃案になった『地下通路』の地図だった。
亜人国家エヴォルはソロモン王との戦いで地上に武器が降り注いだのを反省し、地下に巨大な避難施設と物流網を作ろうという話になったのだ。
しかし、それを強硬に反対した幹部がいた。
レギンである。
彼女は美少女パンツを見て欲しくないという要求をしまくり、結果的にスレイブの妥協要請とか色々あって折れた。
が……それでも俺の礼拝の時間に制限を設けたりとかしたのだ。
俺は彼氏として、極力レギンの意見を尊重したいので『地下通路』案や『国外通路』に関する道テイムを拒絶した。
全ては、彼女の為である。
アイシャの要求は、レギンを裏切れと言ってるに等しい。
「っく……卑怯だぞ、アイシャ!」
「なんとでも言って下さいよ。卑怯者とでも、悪人とでも、邪魔者とでも言って下さい」
アイシャの目は真剣そのものだった。
俺の周りは同級生Jkがにやにやしながら俺を押さえている。
「ロードロードさんに選択肢はありません。貴方の弱点は分かってます」
「っく……」
「貴方の弱点は、強力な攻撃スキルでも防御スキルでも回復スキルでもない」
アイシャは俺の体を踏もうと足をあげた。
【ロードロード、まずい! 道テイムしないと】
分かってる、仕方ねえ!
俺はアイシャの持っている地図に意識を集中。その情報が俺に流れ込んでくる。
「道テイム!」
俺は仕方なく、この地下室を中心として書かれた『地下通路』をどんどん構築していった。
穴がぽっかり空いて、コンクリート状の大きな道が出来た。
「……っく」
「あはは、ロードロードさん。ありがとうございます♪」
アイシャは俺に近付き、猫撫で声を言うと共に、ぬちゃりとした手で撫でてきた。
彼女の柔らかな手に、マッサージオイルが付着していて気持ちが良い。
【エナジーが回復しました×一万】
「――っっっっ!」
っく、悔しい……だけど気持ち良い!
俺の体が痙攣したようにぶるぶると震える。
「や、止めてくれ、アイシャ……頼む。レギンと婚約しているんだ。許してくれ!」
「レギン……」
ぴく、と俺を撫でるアイシャの手が止まる。
俺は少し気持ちに余裕ができた。そうだ、こいつら俺やレギンに比べたら雑魚なんだ。
ちょっと脅せば、言うことなんて聞いてくれ――、
「その女の、どこがいいんだよぉ!」
アイシャは俺の体をぬるぬると撫でまくった。
【エナジーが回復しました×百万。エナジーの使用を勧めます】
「ぐわああああああああああ!」
俺はあまりの気持ち良さと、エナジーが溜まっていく危機感からスキルの発動をせざるを得なかった。
「み……道テイム!」
地下通路の整備が更に進んだ。俺はエナジーを使い続け、国の十分の一ほどに地下通路をなんとか通すことに成功した。
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