誘い
ハード体育終了後、俺はクラスメイトと一緒に学校へと帰ってきた。
他のクラスはどうやら座学をそれなりにやっているらしく、兵站を基点としての軍人の役割などを教えていた。
エヴォルは元々険しい岩山がそこらかしこにあり、複雑な地形となっていたが俺の道テイムで相当に流通の整備が進んだ。
座学ではそれを頭に叩き込んでいるらしい。
俺は廊下を移動しながらレギンに聞く。
「他のクラスは体育とかしてないのかな」
「一週間座学をやった後、本格的な訓練をするみたい」
「成る程ね」
俺のいるクラスは特進クラスだ。だからいきなりこんなハード体育なんか始められたのだろう。
流石の俺も初めて披露感のようなものを感じた。
今まで道テイムやって疲れたことは無かったのだが、道テイム・筋肉バーストは別だ。乱発できそうなものではないな。
【スキル練度が上がれば披露感は消えて行きます】
スキル練度か。
【はい】
……積極的に使っていくとしよう。
教室に着くと、皆着席した頃にブーケが俺達を褒め始めた。
彼女は桃色の瞳をいつもより輝かせてとびっきりの笑顔を向けてくる。
「もう、本当に皆さん凄いです! あたしに一発入れるなんて、凄いです!」
自分の顔を殴られたというのに、ブーケは明るく笑っていた。本当に精鋭部隊を作ることに熱意を持っているらしい。軍人だけある。
「あぁ、皆さんが成長してってくれて……いつか、いつか、この分なら……最強の国になれると思うと嬉しくて胸が熱くなります!」
……。
俺はチラっと周りを見ると、周りの同級生は泣いていた。
それは意外なことで、ブーケのハード体育を同級生達はまるで嫌がってない感じがある。
この子達はやはり、十五歳前後といってもやはり軍人なのだろう。
戦士の顔つきをしている。
「では、もう今日は疲れたでしょうし、簡単な復習だけにしますね? まず、突撃陣形と防御陣形と斜線陣形。これを座学として軽くやったら終わりにしましょう!」
ブーケはそう言って黒板に白チョークで色々書き込み、色々解説する。
十五分ほど経った。すると彼女は授業を終わらせ、起立、礼、着席と言って帰っていった。
「レギン、帰るぞ」
「ロードロード、ごめんね。あたしはスレイブと約束しててすぐに向かわなきゃいけないところがあるんだ」
「そっか」
「うん。また明日な」
そう言うとレギンは小走り気味で教室を出て行き、玄関から飛翔してどこかへ向かって行った。
飛び立つレギンのパンツ、見えたぜ。
【エナジーが回復しました。トロフィー「下校パンツ」獲得】
……下校パンツは回数に取得制限がないパンツらしいな。これはありがたい。トロフィーを得れば得るほどレベル上限が上がるからな。
さて、俺も帰るか。
そう思って俺は生コンクリート状態になって教室を出ようとする。
が、後ろから声をかけられた。
「あの、ロードロードさん」
その声はアイシャだった。取り巻きと一緒に俺を見ている。
「何だ、アイシャ?」
「あの、この後時間あれば……よろしければ、ご一緒しませんか?」
「――」
ご一緒? ご一緒して、何するんだ?
「お願いしたいことがあるんです。ロードロードさんじゃないと、だめなんです」
「……えっとな」
予定はない。ないが、レギンが怒りそうだな。浮気だとか馬鹿彼氏とか言われそう。
じゃあ、相手にしない方がいい気が――。
俺の目に、アイシャの漆黒のパンツが映る。それはストッキングに似合っていて、綺麗な輪郭を見事に捉えやすくしていた。
……へへへ!
「予定なんて無いぜ」
「じゃあ!」
アイシャは笑顔になる。答えたい、この笑顔。
「あぁ。話を聞こう」
そんなわけで俺はアイシャ達に案内されるまま、彼女達と教室を出て行くのだった。
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