ブーケ「道さんはパンツを観て喜ぶ変態」
迫り来る岩の破片。その一つ一つに桃色の魔力が込められている。くらえばひとたまりも無いだろう。
「道さん、かっこいいとこ見せてくださいよ! 沢山殺しても、その分生き返らせれば良い。これを一年続けていけば……あたしを倒せる精鋭部隊の誕生です!」
ブーケの叫び声。それで俺はこの訓練の趣旨を漸く理解した。
彼女は自分を倒せるほどの精鋭部隊を作ろうとしているらしい。
無茶にも程がある。
アイシャ達の実力を引き上げたところで、倒せる訳がない。
ブーケは一個体としてみれば間違いなく国内最強の魔物なのだ。
束になったところで、たかが知れてる。
迫り来る岩の破片を観見て、俺は思った。
あれに道テイムできやしないか、と。
だがあれは岩であって道ではない。岩は素材になることはあっても、道ではーーー!!!!
素材に、なることがある。
!
俺は極限まで集中力を高めて、岩の破片に意識を集中。
「道テイム!」
「あはは、道さん! 道じゃないものに道テイムは通じなーー!」
ブーケは驚き俺の作り上げた岩の道を見つめた。
俺はニヤリと笑う。
俺はブーケの蹴ってきた岩の破片を素材として岩山に向いた岩の道を作り上げたのだ。
「……意外ですね」
「俺も驚いてる」
「……岩山の突起を演算しての筋肉の誘導、最適な筋肉の収集、それだけでも凄いと思いましたが」
ブーケは桃色の魔力を込めた足で岩を蹴る。それは俺に向かって初めてやられたブーケの攻撃。しかし彼女はやはり天才だ。俺がこの蹴られた岩でダメージを受けないと分かっていたのだろう。
「道テイム!」
俺は岩を素材として道を作る。蹴られた岩の余波によって風が巻き起こり、土煙が舞う。
ブーケは岩山の頂点でため息する。
「やはり……魔王になるだけあって強いですね。これで生後約三週間とは……末恐ろしい」
「ブーケ……」
彼女の瞳でなく、パンツを俺は凝視する。観てしまうんだからしょうがない。戦闘にエナジーを消費したからむしろ仕方ない。
これは必要経費だ。
だから仕事くんだ。
俺は何も間違っていない。
【エナジーが回復しました。トロフィー「勝負パンツ」を獲得】
ブーケはふふっと笑う。
「道さん、貴方はこんな時でもパンツですか」
「ーー」
バレた、だと!?
俺の隣にいるレギンが沈黙を破り俺に問うてくる。
「ろ、ロードロード……浮気しないでって言ったよね?」
「エナジーを大量に消費したから、仕方ないんだ」
「喜んでるでしょ、もう! この馬鹿彼氏!」
っく、弁明しないと!
「喜んでなんかないよ」
「本当?」
笑顔のレギン。しかし、レギンの胸元がちかちかと光る。
奇妙な沈黙が流れる。
「嘘つき!」
「ご、ごめんなさい。本当は……嬉しかったです」
レギンは少し涙目になって、胸のちかちかは消えた。
ちょっと罪悪感。彼女を傷つけてしまったようだ。
すると、岩山の上の方から声がする。
「レギンさん、道さんを独占するのはもうやめましょう。彼は……道さんは、パンツを観て喜ぶ変態さんなんですから」
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