クラスの不和
俺の自宅で、俺はレギンに道テイムをする。
「道テイム!」
彼女の血管やリンパ管が透けるように知覚できて、俺は老廃物を流していった。
「あー、気持ち良い」
レギンは心地よさそうに寝そべっている。
「えへへ、嬉しいな」
「道テイムを体にかけられるの、そんなに良いのか?」
「うん! すっごく良い!」
レギンが寝そべったまま俺の方を見る。俺としては良い気分である、が。
「今日のさ、その」
「うん?」
「アイシャ達の言ってること、正論だと思うんだ」
「……」
レギンは明らかに不満げな顔になった。
「正論だよ、アイシャ達は。俺はもっと他の美少女のパンツを見て、道テイムをするべきなんだ」
「今でさえ、あたし妥協しているんだけど?」
「俺が道テイムするには、他人の美少女パンツを見てエナジーを貯める必要がある」
「聞けば聞くほどふざけた仕様だね、それ」
「でも仕様だから」
レギンはむっとする。
以前の彼女とは少し違うな。なぜこうなってしまったんだろうか。
「レギンは前は『男なんてスケベな生き物』って言って色々許してくれてたのに」
「嫌になったんだよ。自分の彼氏が他の女のパンツを見てニヤニヤしているって気持ちが悪いよ。止めて欲しい」
レギンは本気で嫌がってるらしい。
うーん、ならしょうがないか。今のインフラ整備を許してくれるのも相当嫌がってたからな。
「レギンはアイシャ達と仲良く出来そうか?」
「頑張ってみる」
「……」
翌日。
教室では和気藹々とした雰囲気だった。俺とレギンが登校すると、「おはよう」と周りが声をかけてきた。俺もレギンも「おはよう」と返す。
アイシャは既に着席していて、一瞬悲しげな顔をしていたもののすぐ笑顔になって挨拶してくる。
「レギンさん、ロードロードさん、おはようございます」
「おはよう、アイシャ」
俺に遅れてレギンも「おはよう」と挨拶する。
少しぎくしゃくするかと思いきや、アイシャがいきなり頭を下げる。
「レギンさん、昨日はすみませんでした」
「え……」
レギンは意表を突かれて驚いた。
「あたし、その……何も分かって無かったんです。レギンさんに、国益の話が通じるって」
皮肉だな。これもう馬鹿にされてるだろ。
しかしレギンは笑顔で応える。
「そうなんだよ。あたしは国が滅ぶかどうかより、ロードロードが浮気するかどうかの方が大事でさ」
いつ聞いても頭おかしくなるのろけ話である。
仮に、ローマ教皇なりカリフなり英王室なり、美少女パンツを見ないと国が滅ぶなら絶対見るに決まってる。
天皇や中共やホワイトハウスでさえそうするだろう。
なのにレギンは、「あたしの彼氏が美少女パンツ見るなんて浮気だわ」とほざく。
頭おかしい。
しかし、可愛い。
可愛いから、許す。へへへ!
アイシャはニヤリと黒く笑い、
「だからあたし、もうレギンさんには何も言わないって決めたんです。昨日のこと、気にしないで下さい」
「良かったー!」
レギンは黒翼をバタバタと動かし、アイシャと両手で握手する。
おかしい。あの黒い笑み、絶対何かあるだろ。何かを考えているはず……。
ガラララ、と扉が開く音。
ブーケが入って来た。
「はい、皆さん。では、椅子について下さい」
起立、礼、着席。それが終わると、ブーケは真剣な面持ちでクラス全体を見渡し、
「昨日配ったプリントは頭に叩き込んできましたか? あれが我々の生死を決めます。一応、予習時間を設けますので、15分で全て叩き込んで下さい。では今日も、岩山に行きましょう」
ブーケは鬼教官という言葉がぴったりの眼差しで生徒達の目を見た。
……明らかに不和な生徒同士の仲、あまりにも厳しすぎる訓練、このクラスは大丈夫なのだろうか?
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