ロード学園 特進クラス
二百名の生徒がいる中、教師数がそれほどいるとも思えない。各クラス三十名ほどいて、俺はどうやら一年一組……特進クラスに配属されたようだ。
まぁ、これでも魔王になったし、スキルは強力だし、特進クラスに配属されるってのも分からなくはない。
が、俺の成績はさほどよく無かった記憶がある。ついて行けるのか、不安だぜ。
教室には既に全ての席に生徒が着席している。オーガ族なり、ドライアド族なりあらゆる魔物がいるが……彼女達に共通するのは美少女ということだった。そして、魔王軍に所属しているのだろう、戦場で見かけた顔が多い。
ガララ、と扉が開く。入ってきたのは桃色の髪と瞳が印象的なケンタウロス族の美少女、ブーケだった。
「おはようございます、皆さん」
生徒達が全員起立して、敬礼する。っておい、そういう応対かよ。
「休め」
生徒達は後ろに手を回し、立ったまま体の力を緩める。
……彼女達は今、ブレザーの制服を着ているが根っこは軍人なんだな、と理解した。
「このクラスの担当講師になったブーケです。とは言っても、ここにいるのは戦場でそれなりの働きをした亜人ばかり。あたしを知らない人はいないでしょう」
ブーケは教室全体をちらちらと見回す。教室に一気に緊張した空気が流れる。
「びしばし、鍛えていきます。覚悟してて下さい」
「「「「「「「っは!!!」」」」」」」
教室全体に張りのある返事が大きく響く。
「着席」
ブーケがそう言うと、クラスの美少女共は皆着席した。
そして、欠点に気付く。
俺は今、『ロードロード専用』と書かれた収納台に立てかけられている。
多分、配慮だろう。これは地べたに横たわる俺でも黒板の方を見やすくする為に置かれたものってのは分かっている。
だけど、違う。
これは……パンツが見えない。
くそが。
なんだよ、このお役人仕事はよ。
俺は道になって良かったって、他人の……美少女のパンツを見た時、思ったんだよ。
人を見下より見上げる方が幸せなこともあるって分かったんだよ。
なのに何で、退化しなきゃいけないんだよ。
今の俺なら猿に退化して、美少女パンツを見上げられたら「二足歩行していきってるなんて馬鹿みたい。美少女パンツも見えないくせに」とか思えそうな心境なんだよ。
くそが。
何で俺が立てかけられないといけないんだよ。
パンツ、見えないじゃん。
辺りには美少女が溢れているってのによ。
「道さん、その収納台、居心地はいかがですか?」
最悪だよ。でも、隣にレギンがいる以上……下手なことは言えない。
「その……悪くないよ」
「なんでそんな不満げなんですか?」
パンツ見えないからに決まってんだろ。
「不満げじゃないよ」
「いえ、あたしには分かります。道さん、嫌がってる」
隣のレギンがブーケに向かって、
「ブーケ。さっきロードロードは言ったんだ。居心地良いって」
「え」
「お前がロードロードに色目使ってるから嫌がってんじゃ無いのか?」
「!? ちょっと、レギンさん。貴方って人は!」
「人の彼氏に色目使うの、止めてくれよ」
ブーケとレギンの視線が真っ向から激突し、火花が散る。っておいおい、こいつら魔力を視線に込めるの止めろよ。
周りの生徒が悲鳴をあげる。折角できた学校を序列三位のケンタウロスと序列六位のサキュバスに壊されたらたまったものじゃない。
ここは俺の出番だ。
「おい、お前ら。俺をめぐって戦うなんて止めてくれ」
ブーケとレギンはそれぞれ桃色の魔力と茶色い魔力をこめていたけど、それを収めた。
「ま、今回はレギンさんを許してあげましょう」
「ブーケは魅力的だから浮気しないか心配だよ」
「いえ、レギンさん……誘いをかけても相手にしてくれないんですよ?」
「そもそもあたしって彼女がいるんだからロードロードを誘惑しないでくれよ……」
どうやら二人は落ち着いたらしい。よしよし。
だが、周りの生徒達は騒いでいる。
「なんて教室に来ちまったんだ」「そのうち、序列三位殿と序列六位殿の戦いが見れそうだな」「せめて学校の外でやって欲しいな」「あー、命がいくつあっても足りそうにない!」
美少女達は溜息ついたり苦笑したり頭抱えたりしている。まぁ、慣れてって貰うしか無いな。
ブーケがおほん、と咳払い。
「じゃ、それぞれ自己紹介をお願いします」
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