嘘か真か 中編
「レギン……」
ちかちかと光る真偽結晶、それは彼女が嘘をついていることの証拠だ。
「あはは、いいじゃん」
「……レギン、お前……彼氏の俺に隠し事するのか?」
「!?」
レギンはなぜか、意外にもおろおろした。
「か、彼氏に隠し事……そっか。良くないよね」
え、教えてくれるのかよ。
「むー、どうしようかな……黙っていようと思ったんだけど」
レギンは顎に人差し指を当てて考え込む。
「むー」
「レギン、信頼してくれ。他の奴に言ったりしないから」
「ロードロードに一番知られたくないんだよ。だって、元人間だから……」
「それ重要なのか?」
「ロードロードの体って、人間が……いや、人類が大事にしたものなの」
「人間が……大事に?」
何なんだろう? 聞かずにはいられない。
「じゃあ、パンツに関するものか?」
「何でもかんでもパンツに結びつけないでよ。違う」
「俺をこんな仕様になってるの、俺のせいじゃないから」
「……」
「……」
「ごめん」
「分かってくれればいい」
くすり、と彼女と俺は笑う。
「えっとね、ロードロード。少しだけ言うと……知恵には関係してる」
「知恵……」
「あたしが魔王ガンダールヴに望んだのは、あたしが満足出来る相手を呼ぶってこと。その肉体が素敵なものであること。それが異世界転生に協力する条件だった」
このコンクリートの塊が素敵? 満足出来る?
訳が分からないぜ。サキュバスの性癖なのか、レギンの性癖なのか。
石萌えだなんて日本にも無かったんじゃないかな? 猫耳とか機械人形より発情が難しいと思うんだが……。
「何なんだ、この素材は。神聖的石ではないんだろ?」
「うん」
レギンは笑顔で頷く。
うーん、何だろう。情報を整理してみよう。
「レギンはサキュバス」
「そうだね」
「それは人の知恵を奪おうとする種族」
「そうだよ」
「……知恵に関する、石……」
俺が悩んでると、レギンは眉を顰めて笑う。
「あー。ロードロード、考えても無理だと思う」
「何故? 俺が知らないから?」
「うん。知らないものに答えを出すことはできない」
「……」
聖書の世界。
追放されたアダム。
始まりの知恵、美少女パンツこと無花果の葉、恥じらい。
考えろ。サキュバスの女が……リリスの子孫が望む石って何なんだ?
聖書……聖書。
ふと、俺は呟いた。
「モーゼ五書」
ぴくり、とレギンの眉が顰んで――その顔は明らかに焦り顔になった。
「……凄いね。ロードロード、貴方は……知らないはずなのに。なぜ、そこに辿り着くの?」
関係あるようだな。
「モーゼに関係しているのか?」
「答えたくない」
俺は真偽結晶に目をやる。光ってはいない。
……俺も全ての歴史を知っているわけじゃない。ということは、
「モーゼに関係してる。それが分かったら良しとしよう」
俺は真偽結晶を袋にしまう。もう充分だ。
本日もう一話投稿します。
もし『面白い!』とか『続きが気になる!』とか『道の活躍をもっと見て見たい!』と思ってくれたなら、ブクマや★★★★★評価をしてくれると幸いです。
★一つでも五つでも、感じたままに評価してくれて大丈夫です。
下にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところに★があります。
何卒、よろしくお願いします。




