駐屯地にて『礼拝の時間』
「ここが駐屯地か」
装飾など一切無い陳列棚に薬や武器や防具などが置かれている。
そして千人ほどのエヴォル軍がいる。
既に、命令を受けて召集された兵達がいるってことだ。
「レギン」
「……」
レギンは無言でぷいっと顔を背ける。
「俺が何考えてるか分かるか?」
「……沢山の女のパンツ見たい、でしょ?」
「……うん」
そう、この時間は礼拝の時間だ。先ほどハンニバルが掛け合って、国中の美少女がそろそろ配置についてる。
「……ロードロード、あたしのこと好き?」
「うん」
「どこ好きになった?」
「相手にしてくれるとこ。前世は相手にしてくれる美少女、いなかったから」
「ふーん」
レギンは俺に背を向ける。彼女の顔、見えない。
「エナジーかぁ……仕方ないのかな。パンツを見ること、始まりの知恵だもんね」
「おう。人間の始祖アダムが始めた神聖な行為だ。恥じらいそのものと言ってもいいな。パンツを見ることは、きっと素敵なことなんだ」
「何言ってだよ。パンツを着けることが尊いのであって、パンツを見ることが尊いんじゃない」
「……そうだな」
「ま、仕方ない……のかな」
「え!?」
俺はうっきうきになった。
ってことは。
レギンは肩をすくめ、答える。
「はぁ、いいよ。その代わり、彼女はあたし一人ね」
「おう!」
まぁ、ブーケとは「エンゲージ」してるし、スレイブ達とは家族になってるらしいけど、彼女はレギン一人だ。俺は浮気してない。
俺は近くにある石畳に意識を集中。
「道テイム!」
石畳が光り出す。
パンツ。パンツ。
へへへ。
見目麗しい美少女達のパンツ六千枚が俺の視界に映る。
お、今回虎柄があるな。荒々しいデザインも良い。オーガ族で流行っているのか、角の生えた女性がむっちりしたお尻に虎柄が食い込んでいる。
へへへ!
【エナジーが回復しました×六千】
っしゃあ!
これから戦争というのにエナジーを回復していないのはありえない。しかも霊脈から離れるわけだから霊脈の魔力を消費ができなくなるだろう。
パンツ視聴をし続けて一時間後、ハンニバルやヒポハス達がやってきた。
「ロードロード、どうやら礼拝の時間は成功したようだな」
「あぁ。彼女が許してくれた」
「そうか……レギン殿、ありがとう。これで心置きなくエルティア王国を倒せる」
ハンニバルは深々とレギンに頭を下げる。
レギンは「ふん」と言ってこちらを振り向く。
「ハンニバル殿……複雑な気持ちです。でも彼氏がパンツを見るのは大変嫌な気持ちです」
「なぜレギン殿はOKしてくれたんですか? 元々とても嫌がってたらしいですが」
「……気持ちが落ち着いたってのはあると思いますが、変な衝動が減りました」
「遺伝子……彼の仕業か」
「!」
ハンニバルの言う彼とは、魔王ガンダールヴに違いない。
レギンが礼拝の時間に『負の性欲』を起こしたのは……魔王ガンダールヴの仕業だったようだな。
あの魔王、俺の力を削ごうとしていたってことか。
ハンニバルは「くくく」と笑う。そして笑顔で両手をあげて、軍人達に向かって叫んだ。
「では皆さん、進軍しましょう! 楽しい楽しい蹂躙戦がスタートです!」
ハンニバルの後ろでヒポハスがエヴォルの国旗を掲げる。その場にはエヴォルの兵士五千人がいて、全員が咆えた。
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