鍛治テイムで洗脳
「ぐああああああ!!!」
俺の体を魔王ガンダールヴの茶色い魔力が支配していく。
なんて強力な力なのだろう。
意識がどんどん無くなっていく。
「くはははは、好奇心猫を殺す。藪蛇。ロードロードよ……世の中には知らない方が良いことが沢山あるのだよ!」
俺の意識がどろどろと溶けていく様な感覚になる。
魔王は勝利を確信してる様に腕組みし、俺を見ている。
「うぅ……魔王! こんな力があるなら……洗脳魔術をソロモン王や異世界転移者にかけて国を守ればよかったのでは?」
「かけようと思ったが、意味ないだろう。ソロモン王には知恵テイムで弾かれるだろうな」
……成る程。
「ロードロードよ。この洗脳魔術をお前にも元々かける予定だった。余は……戦争が嫌いだ。皆仲良くすれば良い」
魔王は胸を押さえ、光悦の笑顔をする。
「余は人間とは特に戦いたく無い。人間とは、神秘の種族。知恵を重ねて発展した神々しい生き物……人間と余は戦いたく無い。向こうが攻めて来たら……防衛はする。人は殺さない。エヴォルの民がいかに死のうともな。最初の頃はそう考えていたんだ」
気持ち悪い考えだな、特に後半。
「しかしこの二十年、ソロモン王が……エルティア王国が攻めて来て防衛体制を作らなければならなくなった。軍隊など……平和を乱す原因になるというのに」
魔王は平和に対する考えがおかしい様だ。
「エヴォルを日本の様にしたかった。憲法九条があって、交戦権を否定する様な憲法を昔提案したら……全員に否定されたよ。馬鹿げてる、と言われてな」
……だろうな。
憲法九条は歴史的文脈がある。それが無い状態でやったところで賛同は得られないだろう。
さて。
知恵テイムに鍛治テイムが効かないと言うのなら……俺のやるべきことは単純。
「道テイム」
対象は俺。
以前出来なかったが……やるしかない。
道テイムで道をテイムする。
【禁則事項に抵触しました。道テイムを自身にかけることは許されてません】
……やはり、まだ無理か?
【禁則事項ーー否、緊急事態につき制限を解除】
ーー!
【やむを得ません。生コンクリートの正体、部分的に開示】
何!?
俺の意識が暗転するーーかと思えば光り輝く世界へ俺は浮かび上がっていった。
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