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魔王「パンツをもう見てもらえないのか?」 道「彼女がそれを望むから」

 魔王城の最上階。俺は玉座に座る魔王を見る。


「ロードロードよ、お早う」


「魔王ガンダールヴ、お早う」


 魔王の上には国内の地形が描かれた地図が掲げられていた。


 西側には竜国ドラゴニアまで延びる巨大な山脈。


 そして……入り組んだ渓谷が国境の殆どに存在する複雑な地形。


 魔王は眉を顰める。


「ロードロード、お前は……インフラ整備に必要なだけのパンツをもう見てくれないんだよな?」


 俺はきっぱりと答える。


彼女レギンがそれを望むなら」


 はー、と魔王はため息。


 ……見てて思う。魔王ガンダールヴと魔王城の魔力は……明らかに連動している。


「ロードロードよ、お前が必要だ。人を助けると思ってパンツ見てくれないか?」


彼女レギンが許す範囲で見ます」


 魔王は頭を抱える。


 すまないが、こればかりは譲れない。


「……お前に言っておくとな。実は序列八位の村長が……学校を造りたいというんだ」


「造れば良いと思います」


「軍事と兵站の学校なんだ」


「つまり……」


「道の学校を作ろうと思う」


 どんな学校だよ。想像もつかねえ。


「村長は実は……異世界転移者なんだ」


 は!?


「い、異世界転移者ですか? ソロモン王とかジャンヌみたいな」


 魔王は頷く。


「有名な奴だ。そもそもソロモン王が呼び出した最初の四人の転移者の一人。名前をハンニバルと言う。彼と協力して学校で打ち合わせをして欲しい」


 ハンニバル!? 聞いたことあるな。


 確か第二次ポエニ戦争でローマを相手に戦ったとかいう強力な武将じゃないか。


 そんな奴が、エヴォルの序列八位!?


 魔王は俺をじろりと見て、重々しい声で告げた。


「……村長曰く、お前の道タイムは非常に杜撰だと言う。さらに、エヴォルの借金返済計画も防衛体制の構築も全て村長……ハンニバルの立案に他ならない」


 そう言えば以前、村長がエヴォルの防衛ノウハウを構築したと聞いたな。


 それにスレイブに言われた様に、軍隊の解散をエヴォルがしたというのなら……ハンニバルの進言が効果的だったというのも辻褄が合う。


「魔王ガンダールヴ様」


「何だ、ロードロードよ」


「……軍隊を解散した過去がある、というのは本当でしょうか?」


 魔王の顔がぴきっと強張る。


 どうやら地雷を踏んでしまった様だ。


 しかし……その顔はスレイブの言葉が本当だったという証拠にも感じられた。

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