スレイブの来訪③ エルフ「私の初体験相手は貴方の恋人です」 道「マジで!?」
「わ、私の初体験相手なんですが」
スレイブがもじもじしている。
ぶっちゃけ可愛い。
白皙の肌、綺麗な金髪と翼。エメラルド色の瞳。
ルックスなら大好きだ。
「怒らないで、下さいね」
「おう」
「レギンです」
……は?
「私の初体験相手は貴方の恋人です」
「マジで!?」
「マジです」
スレイブが顔を真っ赤に染めて言う。
え、えええええええ!?
レギンって……処女なんじゃないのか?
「彼女は処女です。でも……キスとかおっぱいを触るとか、そういうのはエルフ国で教育とかされてないので」
「いや、普通しないよ? 俺の世界でもイタリアがラブレターを授業中書いたりするくらいだったよ」
「でもあたし、恋多き女になりたくて」
「それを誇りにしてるみたいだけど、男からすれば処女のスレイブのが魅力的だったからな?」
「……ふん。童貞のくせに、生意気ですよ」
スレイブは俺をジト目で睨む。
可愛い。
許す。
「まぁ、それで……レギンとあたしは言わば立場を交換したんです」
「どういうことだ?」
立場を交換?
処女のサキュバスとビッチのエルフが何を交換したんだ? っておい、まさか。
「あたしが尻軽種族に処女を教えるから、レギンが処女種族にビッチを教えてくれる、こういう交換です」
「ラノベのタイトルみたいな話だな」
オタクがリア充にオタクを教えて、リア充がオタクにリア充を教える……そんなタイトルの本があったわ。
スレイブは首肯する。
「……まさに、そういうことです」
……そうか。
そうか。
……レギンは、処女じゃなかったのか。
「レギンは……経験済みだったんだな」
「いや、未経験です」
「っは、何が未経験だ。俺は処女のレギンに強く惹かれたんだ! 初々しい感じの、レギンによ」
「でも……こう言っては何ですが」
「何だよ、何か言いたいことあるのかよ!」
「膜はついてます」
――。
俺は、全てを察した。
「スレイブ、悪かった。レギンは……処女だったんだな」
「はい」
スレイブは頷く。
……。
処女だ、処女に違いない。
童貞だって胸揉んだりキスしても童貞のままなんだ。
ということは処女だって胸揉んだりキスしても処女のはずだ。
理性的に考えよう。
大体女の過去を全部受け止めようなんてする必要が無い。
そう、俺は……今の彼女を受け止めようとすればいいだけ。
それだけだ。
そしてこれ以上の下ネタは話したくない。
俺は……紳士だ。
品性は大事にしたい。
目の前のビッチとは違うんだ。
目の前のビッチ、可愛くてけっこう好きなんだけど。
「で、こっからが本題なんですが……」
「今のが本題じゃなかったんだな」
「当たり前ですよ……あたしの翼に関係してるから話したんです」
「翼?」
俺はスレイブの背中を見る。
そう、彼女は普通のエルフと違う。
背中に羽がついているのだ。
「……ソロモン王、金色の翼を生やしてたでしょう?」
「――。あぁ、覚えてる」
忘れることができない。
あの魔術王は、光輝く翼が肩甲骨の辺りから生えていた。
「……あの翼、心当たりがあるんです。あたしに翼が生えたのはレギンとやってから何です。ソロモン王もきっと……サキュバスとやって翼が生えたのだと考えてます」




