表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

姉をいじめる妹を選び、聖女の姉を妹いじめの罪で婚約破棄した王太子、またかと聖女はため息をついた。そして妹に神への祈りを忘れるなと忠告した。妹は鼻で笑ったがそれは実は…姉の復讐でした

作者: しお

「ミランダ・ランティス、お前を婚約破棄する! 妹のアリシアをいじめた偽聖女め! 追放する」


「殿下、私は偽聖女ではありません。私を追放するとはこの国の守護がなくなるということですよ」


「偽聖女、アリシアが真の聖女だ!」


私は殿下を見て笑いました。いつの時代も為政者というものは傲慢なものだ。


アリシアを婚約者にしたいがために、聖女に据えるのだろうと考えました。聖女の力に目覚めた妹を。


「わかりました、自分からこの国を去ります。では」


そういえば前の王は私の従姉を愛して私を無実の罪で断罪し、処刑した。

その前は私は王太子の真実愛する私の姉と結婚するために、無実の罪を着せられ追放になった。


はじまりの聖女の罪のせいで私は同じ人生を歩み続けている。


このあとは野垂れ死にのパターンか?いや私とて学習はした。


「お姉さま、聖女の力なんてないくせに聖女と騙った罪により追放になるなんておかわいそうに」


私はクスクスと笑うアリシアを見ました。いつもいつも私を追い詰める人間は同じような人格を持つ。

四回目のいまは思い出したのが早かったおかげかそれほど傷つきはしませんでした。


「アリシア、神への祈りを忘れては駄目よ」


「煩いわね、わかっていますわ」


「神は祈りを大切にするわ、それをしないと恐ろしいことが起きるわ、神への冒涜は駄目よ」


私は薄く笑い、馬車に乗り込みました。


はじまりの聖女は時の王に恋をした。彼のために祈りを捧げ、彼のために聖女の力を振るい、神を怒らせた。


「神への祈りを忘れるなか、皮肉だね」


「お会いしたかったです、アーク様」


「僕もだよ、愛しい僕のリーナ」


「今はミランダですわ」


「そうだったね」


私は馬車の中で笑う愛しい人をみました。彼を舞踏会で見たとき私はすべてを思い出したのです。


「国の要を手放すとは」


「あなたがまた王に転生しているなんて」


「力がないと君を守れない、しかし少し出会うのが遅すぎたかな」


「いいえ、あなたを愛しています。あなたの魂を」


私はこの方を愛してすべてを失った。でも後悔はしていない。


「君からみたらおじさんだよ」


「いいえ」


私は今世は父より年上の男性となった、愛しいアーク様に抱きつきました。


「聖女の力は真実ではなく、我が魂が国の守護」


「妹にくれてやった癒しの力か」


「はい」


私は薄く笑いました。馬車は入れ変えられ、今は隣国に向かっている。

私は隣国の王に転生した愛しい人を見つけ出した。その時すべて思い出したのです。

私は神を裏切った罪により、転生のたびに時の王や王太子である婚約者に裏切られる。

私をいつもいじめる身内の女性を彼らは愛するのだ。


「今回はあなたを見つけられて良かった」


「正妃として迎える。僕は、いや私はまだ独身だ。君を待っていたから」


「嬉しいですわ」


私は今回は聖女の力を妹に渡しました。彼女の知らないうちに、そうすれば王太子に取り入り、私との婚約を破棄させるのはわかっていたのです。


私の大切なものを取り上げる我が儘な妹には、辟易していましたし。


「さあ、どうなるでしょう」


私は隣国に行き、正妃として幸せになりました。

しかし、祖国は滅び、王家の人間は大国から攻められ敗れて処刑されました。

神は祈りを聞き届ける。祈りを忘れなければたぶんある程度はあの国の守護は保てた。しかしそれを妹は忘れて、すべてが滅んだのです。神の怒りは今世はあちらへ向いたか、あの方はやはり恐ろしいですわ。

お読み頂きありがとうございます。

☆☆☆☆☆に色塗り頂けると作者の励みになります。よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ