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第8話 小部隊リーダー

 二日後に再度行われた牛族の集会。

 集まった志願兵の数は55人。よくぞ、ここまで集まったものだ。

 平和と昼寝を愛する牛族の面々、しかも前回の集会時のあの戦闘を聞いての状況で、これだけの志願兵が集まるとは俺は正直思っていなかった。


 志願兵の顔ぶれを眺めると、年齢的には両極端に別れていた。

 すなわち、10代前半の幼さの残る者たちと、40歳前後の初老の者たちだ。

 20~30歳代の働き盛りの者たちは極端に少ない。


 そりゃそうだろうな。

 死ぬ可能性の多いこの戦いに出向くに当たって、できるだけ働き盛りの者には生き残ってもらいたいだろうから。

 だから、親がまだ盛んでこれからまだ弟を作れるであろう10歳代の子どもたちと、もう子どもも育ったであろう40歳前後の初老の者たちが戦陣に出向くのだ。

 たとえ、俺たちがなくなっても戦いに勝ちさえすれば、種族としての将来はなんとかなるであろう。


「よくぞ、これだけの志願兵に集まってもらえた。わしは感動しておるぞ。

 誰一人欠けることなく、この地に再び戻ってこれることをわしは祈っておる。

 いざ、旅立たん!」


 どうやら、志願兵55人を村長自らが率いていくようだ。

 残る牛族の家族たちに見送られて、俺たちは草原の外れで小休止を取った。


「部隊を5つに分けることにする。

 5人のリーダーに10人の兵をつけることになる。

 リーダーとなる者はわしがこれから指名する」


 村長は順にリーダーを指名していった。

 よくは知らないが、なかなか颯爽とした強そうな面々だな。

 そして5人目のリーダーとして、俺の名前が呼ばれた。


 え?


 確かに他にもうひとり、若いリーダーがいるが、俺がリーダーかよ。


「リーダーの5人には期待しておるぞ」

 村長め、知り合いだってことで俺を指名したに決まってる。

 こういう人を使う役目ってやったことがないんだよな、前世でも。

 とにかく、他人の命を握るってのは俺には重いぜ。


 俺と同年代の10人の兵が付けられた。

 とりあえず、全員に自己紹介をしてもらった後、俺はメンバを2つに分けた。

 腕っぷしの強そうな5人と、器用そうなあるいは少し頭の回りそうな5人の2組に。

 そして、それぞれにサブリーダーを1人ずつおいた。

 腕っぷし部門のサブリーダーにワイズを、器用部門のサブリーダーにランガを指名しておいた。

 2人共初対面ではあったが、俺の勘だけで選んだ。特に自信はない。


 一応、適材適所って感じなんだが、腕っぷし部門の5人はともかく、器用部門の方はあくまで牛族にしてはって程度なので、あまり当てにしすぎるのは禁物だろう。

 まぁ、リーダーの俺からしても、そっちの方面には自信がないから大きなことは言えない。


 再び行軍が始まって、目的地である最前線の豚族集落近くまでやってきた。

 遠くに見えるのが、壊されたという餓鬼界との国境門のようだ。

 なるほど、見るも無残に破壊されているな。


「牛族の皆さん、遠征ありがとうございます」

 豚族の現場の指揮官が現れて状況を説明してくれるようだ。


「このあたりは制圧完了しております。残念ながらいくばくかの餓鬼どもは各地に散ってしまっておりますが、数が少ないのでやがて淘汰されると思います。

 餓鬼どもの攻撃はこれまで正確に5日毎になっております。当然、その間も監視は緩めておりませんが、次の攻撃が来る明日まではひとまず問題ないと思われます」

 ふーん、5日毎なのか。向こうにも何か事情があるんだろうが、正直向こうの事情を調べる手段は皆無だろうから、そういうものだと思うしかないか。


「後ほど、豚族族長が参りますので、牛族の皆さんの歓迎の宴を催したいと思っております」

「わかった。それでは宴の時間まで自由時間とする。

 各部隊は部隊毎にまとまって行動するように。

 リーダーの5人はわしのところに集まるのじゃ」

 どうやら、、お呼びのようだな。俺はサブリーダーの2人にあとをまかせて村長のもとへ出向いた。


 村長は俺たち5人のリーダーに宴の間、村長の近くで豚族族長との会話を聞いているように命じられた。

 後で必要な情報を兵たちにリーダーの口から伝えることになりそうだ。


 夜になり、宴が始まった。

 宴とは言っても俺は酒は飲まないし、出される料理も口には合わないし、特にすることはないな。

 とびっきりの野菜サラダとか出してくれればいいのに。


 村長のところに豚族族長がやってきて会話が始まっていた。


「お主らが来てくれて正直ホッとしている。これまで他種族と付き合いがなかっただけに、今回の孤立無援状態はこたえていた」

「それはお互い様だ。豚族がやられたら今度は牛族が矢面やおもてに立つことになるだろうからな。

 兎族とかの返事はどうだ? やつらも近隣に住んでいる以上、被害は受けそうなものだが」

 豚族族長のお礼に、村長はそう答える。兎族か、ここには来てないようだがどうなんだろうな。


「兎族からの返事も連れないものであった。どうやら兎族も餓鬼との遭遇はあったようだが、逃げるが勝ちって感じらしいな。

 奴らは危機察知には優れておるからな」

「それに逃げ足も速いしな」

「そういうことじゃ。餓鬼どもも素早いとは言え兎族の逃げ足にはとても勝てん」

 餓鬼は素早いのか……俺たち牛族は素早さって点では劣ってるからな。見たところ、豚族は俺たち以上に鈍重そうだし、餓鬼から逃げようと思っても無駄ってことか。


「他の連中は想像どおりよ。こっちも期待してはおらんかったがな」

「確かに今更、自分たちが困ったときだけ都合よく頼ってもムリじゃろうなぁ。俺たちがやられて自分たちが矢面に立つような事態でも起これば別じゃろうが」

 そういう事態だけは起こさないようにしないとな。


「とりあえず、明日の戦いは豚族中心で行う。

 牛族は周辺を固めて、餓鬼どもが逃げ散らないように気を遣っていてくれ。

 そして戦いの様子をその目で見ることで、次の戦いに役立てるようにしてくれ」

「わかった。今回はそのようにさせてもらう」

 今回はあくまで豚族中心の戦いか。

 餓鬼との戦いがどのようなものになるか、しっかりと見させてもらおう。

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