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第10話 作戦会議

 戦闘が終わってあらためて、今の戦闘のおぞましさを感じる。

 あの無数の餓鬼たちもすべて元は人間の転生した姿なのか?

 ほとんど理性も何も感じられず、俺たちを食うためだけに襲ってくる姿からは、まるで人として知性とか感じられない。


 輪廻転生と言うけど、あのような姿に転生させられるほどのことを彼らはしたのか?

 閻魔さんの言う感じでは、餓鬼界よりもっと先に地獄界があるんだよな。

 地獄界に堕ちるまでもない罪で、あんな目にあわないといけないとか……


 ああして俺たちに殺されていくこと何の意味があったんだろう?

 あのまま餓鬼として生きていくより、殺されちまった方が救いになるんじゃないか? って思うのは俺の傲慢な気持ちだけか?

 死ねばまた別の輪回が待っているんだよな。

 それなら、餓鬼として生き続けるよりそっちの方がマシなんじゃないのか?


 輪廻転生というシステムが理解できてない俺が、こんなこと考えたって無駄だよな。

 でも、この餓鬼たちとの戦い……


 決して、餓鬼たちに家族やアンジェラを襲われたりしたくない。

 いや、こうして仮にとはいえリーダーという立場になった以上、俺につけられた兵たちを傷つけたくない。


 その気持ちと比べたら、正直薄いけど、こうしていっしょに戦うことになった牛族の仲間たち、そしてたまたまとはいえ、こうして共に戦っている豚族のやつらだって、餓鬼どもに食われる姿を見たくない。


 そのためにも、ごまかしかもしれないけど、妙ななさけごころとかは捨てて、餓鬼どもを殺すことに専念しよう。

 こうして、この世界で生きていくことを選んだんだから、避けては通れない道なんだろう。




 戦闘終了後ということで、反省と次の戦いへの作戦のために牛族・豚族合同の打ち合わせが開かれた。

 俺はリーダーということで、打ち合わせに参加することになった。


「今日も激しい戦闘だったが、無事に勝利をおさめることが出来た。

 今回は、牛族の応援を得ることで今までより余裕を持った戦いができたと思う。

 まずは、牛族への感謝の気持ちをあらわしたい」

 豚族族長の言葉で打ち合わせが始まった。

 この戦いはあくまで豚族中心でってことを主張したそうな感じだな。

 あくまで主導権を持っていたいようだ。


 まぁ実際のところ人数も多いし、戦闘現場がその集落に近いことから必死な気持ちもあるんだろう。

 たぶん、牛族はそういう細かいことは気にしないだろうし、俺も細かいことを言うつもりはない。


「とはいえ、少ないながらも犠牲者も出てしまった。戦いである以上、犠牲者が出るのはやむを得ないことではあるが、問題点があれば常に見直していこう。

 次の戦いに活かすためにも、何か意見があれば言って欲しい。

 特に、牛族の皆は今回はじめての戦いで気づいたこともあるのではないだろうか?」


 豚族族長が意見を呼びかけるが、誰も発言する様子はない。

 このままでも確かに問題は少ないだろうが、豚族族長の言ってることももっともだ。

 犠牲者などいないほうがいいに決まってる。


「何もないか?」

「ちょっと気づいたことがあるんだが、いいだろうか?」

 俺は戦闘中に気づいたことを言っておくことにした。


「おー、何かあればどんどん言ってくれ」

「横から戦闘を見させてもらったので、餓鬼どもの動きもよく見ることができた。

 そのとき気づいたんだが、餓鬼どもは正面のエサ目掛けて他は何も目に入ってないように感じた。

 実際、途中にそれなりに大きな岩とかあったんだが、それも気にせずまっすぐ突っ込んで行っていたようだ」


「おー、確かにそうかもしれんな。それで何か工夫があるか?」

「そうだな、途中に罠とか張ってみるのも面白いのではないかなと。

 餓鬼どもが罠にかかれば、こちらからの攻撃も安全にできそうだと思う」

 俺はそこまで深く考えていたわけではないが、しゃべってるうちに考えがまとまってくるものだな。


「罠か、それは面白そうだな? どんな罠がいいと思う?」

 こいつなかなか、こちらの考えを出させるのが上手いな。

「んー、落とし穴とかどうだろう?

 単純ではあるが、餓鬼どもが見破れるとも思えない」


「落とし穴か、それも面白そうだが、餓鬼どもは数多いからな。最初の何匹かはかかっても、次からはその餓鬼を踏むことで乗り越えてきそうな気もするな。

 それでも効果はあるだろうが」

 なかなか見た目よりしっかり頭がまわるのでびっくりするぜ。さすが族長を務めるだけあるな。

「なら、思いっきり深く掘ればいいのではないか? 手間はかかるが」


「落とし穴を深く掘るのは大変な作業ではないのか?」

「おいおい、ここにいるのを誰だと思ってるんだ?

 牛族はそういう作業させたらすごいぞ。戦闘より単純な力仕事のほうが得意だからな」

 これは本当だ。これだけの牛族が総がかりでかかれば、穴掘りくらいなら、どれだけでも深く掘れるだろう」


「それは頼もしいな、穴掘りの方は牛族に頼んでもいいだろうか?」

 さすがにこの返事は俺の一存ではできないな。

 村長の方に目をやると、村長はまわりの牛族のリーダーたちを見渡す。リーダーたちも気持ちよさげにうなづいている。


「いいだろう。穴掘りの件はまかされた」

 村長は豚族に向かって、はっきりとそう宣言したのだった。

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