2:自分の変化
またせたな。
やっとスラ娘の時間だぜ。
『・・・様・・・・・主・・・・・様・・・主様・・主様‼』
意識が覚醒する。
それと同時に俺をまとっていた何かが崩れ始め、俺を外に押し出す。それと同時に疑問が浮かぶ。
外界の気温が感じられないのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・」
ここで気づく。声が出ないのだ。発しようとすると、口は開くのだが音が出ない。明らかに自分の体がおかしくなっている。
「ツカサ!大丈夫・・・・・・・か?」
「お兄・・・・・ちゃん?」
妹と仲間、二人の言葉にに疑問が浮かぶ。俺の姿を見てだろうか。
「鑑定眼!」
妹がEXスキル鑑定眼を使って俺のステータスを見る。俺もそれと共に自分のステータスを確認する。
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名前:(名前なし) 《ツカサ》として登録しますか? Yes/No
年齢:0(1日)
種族:デミスライム(ヒト型)
職業:粘性女魔王
称号:魔堕ち勇者 スライムの女王 前世の記憶を持ちし者
Lv1
HP:10/10 MP1000/1000
筋力:1/1 魔力:500/500(魔)
耐久力:1/1 魔耐力:500/500
瞬発力:1/1
スキル
筋力、耐久力、瞬発力固定 魔法攻撃吸収 物質吸収
EXスキル
ナビゲーター 眷属召喚
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種族の欄を見て自分の周りにある水面を通して自分の姿を見る。その姿はいつも見慣れた日本人特有の黒髪と良くも悪くも言えない顔・・・ではなく水色の髪で水色の肌、顔に映る瞳は黒ではなく赤だった。
俺は頬に手を当てる。その手の色も肌色ではなく水色で半透明だった。
水面から自分に焦点を合わせる。自分の腕は折れてしまいそうなぐらい細く、手はとても小さかった。自分のお腹あたりを見る。そこには、無いはずの胸に男の象徴であるナニがなくなっておりこれではどこのだれが見たって正真正銘のスライム娘だった。
「これはっ‼!」
妹が声を上げる。たしか妹の鑑定はパーティーメンバーも見ることができ、妹はレオンとアリサに報告しに行った。レオンとアリサはその鑑定内容を見て頭を押さえている。それも仕方ない。だって俺はこんなにも変わってしまったのだから。
‐起動シークエンス作動‐
『主様とのつながりを確認。主様、遅れましたがあなたの体について説明します。あなたは魔王を倒した後、魔王に5年後記憶を失った状態で魔王として復活する呪術をかけられました。しかしあなたは自分の光属性への適正、称号などの影響で中途半端に抵抗しました。そのため、記憶を失う、5年後に復活するなどの効果が消え、その場で1時間が経過した時、あなたの体は再構築されました。性別、種族が変わったのはこれが影響していると思われます。以上です。』
『びっくりしたぁ。で、話をまとめると俺は魔王に呪術をかけられた。それを俺が中途半端に抵抗した。だから体と性別が変わったと。なるほど~。ってなるかっ!えっどういうこと?』
『要は記憶を残したまま生まれ変わったのです。』
どうやら俺は生まれ変わったらしい。ってどんな主人公だよ。スライム娘に生まれ変わるって。
『続いて、デミスライムについて説明します。デミスライムはスライムが生まれる際、近くにある一定の動物の魔力が溜まっている時にスライムの突然変異型として生まれます。主様のステータスの種族欄にある(ヒト)は溜まっている魔力の生物のことです。デミスライムはその生物の形を真似ます。性別は真似ません。栄養を摂取するとき女性型の方が有利だからです。そのため性別は基本的に女性となります。デミスライムの栄養源はその真似ている生物の体液です。以上です。』
らしい。多分俺の魔力が飛び散っていたのだろう。ん?待てよ体液ってどういうことだ?
『ナビゲーター。たっ体液とはどういうことだ?』
『栄養の濃さは魂の濃度が高いほどいいですが。(ヒト)でいう体液は、唾液、血液などです。最も栄養が高い体液は精液です。』
終わった。この人生、いやスライム生は終わった。
「お兄ちゃんを!ダメ!待って!お願い!」
妹の悲鳴が聞こえる。精神世界での会話から現実世界に戻る。