489/499
【488】 万年雪に春告鳥
うぐいすが遠くで鳴いているのが聞こえたので。
降り積もる雪の
切なさに
あなたを忘れて
しまえたなら
いつかこころは
冷めるもの
永遠に続く愛なんて
二人の間にはなかった
ただそれだけのこと
凍りついた
万年雪のこころ
いつかは大地を踏みしめて
ひとりで歩いて行けるはずと
自分を励ましこころを欺し
まだ来ぬ春を待ちわびて
溶けゆく雪の
やるせなさに
忘れることを
思い出し
見渡す未来
乾いた地面
吹き抜ける風
閉ざした心に春告鳥
顔を上げて光を浴びて
一歩踏み出せば
そこは春
あなたを忘れて
歩き出す
・春告鳥――うぐいす
・作中の「こころ」と「心」の表現は意図的なものです。
お読み下さりありがとうございました。