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君は、覚えてる?  作者: とらまる
第二章
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クレイとユリアとリアルフ


 翌日。


 エミルは朝に弱いため、一人で登校する。

 教室にいたのはフラントス……と、一匹の獣。


「おはようございます。」

「ああ。

……で、そこの獣はなんだ?」


 艶やかな漆黒の狼の様な見た目。その両目は深い紅で、まるでフラントスと正反対。だが、魔獣にしてはすごくおとなしい。


「この子はリアルフです。

私の使い魔なので、安全だと思いますよ。」

「そうなのか。

にしても、おとなしいな。」


 使い魔、か。使い魔は確か学園内でしか習えないはず。どうやってしたのか気になるが……もしかするとあの噂の力によるものかもしれない。 

 フラントスが頭を撫でれば、フラントスの手のひらにすり寄るリアルフ。


「……なあ、触ってもいいのか?」

「ガウッ、ガウ!」

「ええ、どうぞ。」


 その様子を見て、触りたいと思ってしまい許可をとった。簡単に許可が下りて、寄ってきたリアルフを撫でる。触り心地がとてもよく、心が和む。すり寄ってくる様子はまさに犬で、弥生が飼いたいと言っていたのをふと思い出した。前まではそれだけで少しつらかったが、今はそうでもない。……ようやくあきらめがついたのだろうか。


「ふっ……随分人懐こいな」

「家族にはなかなか懐かなかったんですが……シュミリア様は特別、でしょうかね?」

「そうなのか?」


 フラントスが言っている言葉に驚く。

 俺から見て、リアルフは人懐こい犬だ。今だって、嬉しそうにすり寄ってくるし警戒心も何もない。そして、フラントスが俺は特別、といったことにも心がはねた。最近会ったばかりで他人行儀だったフラントス。うれしいのはうれしいが、どこか違和感があった。

 初めて会ったときに感じた、弥生の面影。今の言葉にも、少し似たような雰囲気があった。フラントスはほほ笑んでいるが、どこか懐かしそうにも見えて。もしかしたら、とも思うが考えすぎだろうとその考えを打ち消した。

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