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君は、覚えてる?  作者: とらまる
第二章
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入学式 後編


 入学式も終わり、それぞれのクラスへと足を運ぶ。


 家柄・成績が特別良い生徒はSクラスで、王家などの地位の高い者が多い。外部生のフラントスもそのクラスで、俺たちもそうだ。

 ちょっと家柄と成績が良い生徒がAクラス。ここは侯爵・伯爵の子どもが主。

 家柄も成績もまぁまぁな生徒はBクラス、家柄まぁまぁで成績が平均よりちょっと下なのがCクラス。この二クラスには子爵・男爵の子どもが多い。

 貴族の中で地位が低く、成績も悪めな生徒はDクラス。いわゆる落ちこぼれクラスだ。地位が低いせいでパシリになっているものもいるらしい。



 Sクラスの教室に入ると、一気に寄ってきたクラスメイト。それぞれが猫なで声で媚びをうってくる。

 この学園は貴族たちにとっては高い地位のものとの交流の場。ここで関係を作っておけ、と親から頼まれるものもいるくらいだ。

 まあ、適当に受け流しつつ席に座るが。


「あ!ユリアちゃんの隣行きたい!」

「いや、隣は無理みたいだぞ。列で男女が決まってる。」


 教室の前にある大きいボードには、簡単な図が書いてある。おそらく、ペアで学習するときに家柄など関係なく平等に交流するためだと思う。……が、仲の良いものが隣同士で座れば意味がないよな。


「わ、ほんとだぁ……

じゃあ、私ユリアちゃんの後ろ!」

「なら俺がフラントスの隣に行こうか。

変な奴が隣になったら困るだろう。」


 フラントスは始めの挨拶が終わった時点で王家四男のルーク・エリーゼ・アスタリアに喧嘩を売られている。彼女を守るためにはそれが良いだろう。


「そう、だね。

ま、早く行こう?」

「エミル?」

「ん? どうしたの?」


 そういえば、エミルは悲しそうに目を伏せた後いつもより覇気のない声で頷いた。そのことが気になって声を掛けるも、いつも通りに戻っていた。


「いや、なんでもない。」


 少し不思議に思ったが、理由が分からない以上対処ができないため引き下がった。




「ユリアちゃん!」

「え? ハドラー様……と、シュミリア様?

どうされたんですか?」


 フラントスが座っていたのは窓側の後ろらへんで、とても目立たない位置を選んでいた。そこへ近づき、エミルが声を掛けた。

 フラントスはきょとんとした様子で、入学式前でのことを覚えてないように見えた。たぶん、本人が気にしていないのだろう。


「えっ?

な、なんでそんなに平然としてるの?」

「? なんで……と言われても、私は普通ですよ?」

「……入学式の前のアレは?」

「あんなのその場しのぎですよ。

あ、お気になさいましたか……?」

「っ、気にしてないよ! まったく!」

「気にしてただろ。」


 ふたりのやり取りに、もう仲直りできたみたいだ、なんて思いながら眺めていた。

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