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君は、覚えてる?  作者: とらまる
第二章
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フラントスとルークの決闘


「あ! ユリアちゃんだ―!」

「じゃあ、そろそろ始まるんだな。」


 今、俺とエミルは決闘場へと来ている。その目的はフラントスとルークの決闘だ。

 朝の先生の話が終わったらルークがフラントスにいつものように押しかけ、今回はフラントスがオッケーを出したのだ。



 フラントスとルークが出てきて審判が決闘開始の合図を出す。

 その瞬間にルークは前の試合と同じくフラントスに向かって走り出した。その勢いのまま、剣を振りおろす。それを後ろに飛びのくことで避けたフラントス。今回も避けるのか……、と思ったがそれは違った。


 真っ直ぐにルークを見つめ剣を握り、少し腰を低くした。


「クレイ、あれって……」

「剣術の構えだな。フラントスは剣術もできるのか……」


 魔法と基本的な体術くらいかと思ったが……剣術も、とかフラントスは本当に庶民の出身なのかと疑うレベルだ。普通、庶民だとまともな魔法も習わないはず。

 フラントスは、謎の多い存在だな。


「っふ!」

「っ、貴様……!?」

「少しだけですけど、ね!」


 軽やかに飛んで、剣を振り下ろしながら話す。

 ルークも剣術ができることに驚いているようだが、冷静に剣で防いだ。

 キィンと甲高い音が鳴り響いて軽く火花が散る。次の瞬間にはさらに激しい打ち合いとなっていた。


「くっ……!」

「っ、!」


「え、ユリアちゃん……何者?」

「同感だ。」


 ルークは王族のため、幼いころから徹底した剣術を習っている。それに、普通の家の奴がついていくなど”普通は”ありえない。

 その証拠に、俺たち以外の観戦客がぽかんとしていて全くついていけてない。ずっと静かなままで、ただ金属のぶつかり合う音が鳴り響いているだけ。

 この決闘は……フラントスがいかに常識外れかを物語っている。


「貴様、何者だ……っ!?」

「ただの、庶民っです!」


 打ち合いは続けたまま、苦しそうに尋ねたルーク。それはまさに今、観戦客が思っていたことだったが、フラントスはただの庶民と答える。

 最後に大きな音がして、ルークの持っていた剣が彼の手から離れた。剣は勢いよく飛んでいき、カランと範囲外に落ちた。


《――勝者、ユリア・フラントス!》


 この決闘で、フラントスは全校生徒にその強さを知らしめた。

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