途中入部は勇気がいる
「ねぇ如何思う?真季ちゃん」
のどかは翌日学校へ来て早々中学からの親友である小川真季に昨日のことを相談していた。
真季はのどかとは違いサバサバした性格で女子バスケボール部に所属する予定のスポーティーな女の子である。
「そう言われてもね。あ、でも先輩から噂聞いたかも」
バスケ部は朝練があった為少し眠たそうにしながら言った。
「え?噂?どんなの?」
真季が部活の先輩から聞いた噂はこうだった。
ボランティア部は通称雑用部と呼ばれており日頃から先生方からはいいように扱われているらしい。
さらにその部には問題児が集まっていてアクの強い連中が多いなどあまりいい噂ではなかった。
「でも、私は良いと思うよ?だってさ、のどかって誰かの手伝いをする時は失敗しないでしょ?」
「え?そ、そうかな」
今までの事を思い出した。
重そうな荷物に持ったおばあさんを手伝った時や転けて泣き続けた子供を励まそうとした時など確かに真季が言う通りいつものようにドジを踏んではいなかった。
その事がのどかを勇気付けたのだ。
「私、頑張ってみようかな」
「うん。てか、他に入れるのってないでしょ」
二人顔を見合わせて笑った。
その後チャイムが鳴り授業が始まった。
のどかはモヤモヤした気持ちがなくなり清々しい気分で授業を受けた。
それからは時間が進むのは早くもう放課後となった。
真季はホームルームが終わると直ぐさま走って部活に行った。
「はぁ私も行こうかな」
のどかの手には入部届けが握られていた。カバンを肩にかけ教室を出た。
だが、部室の場所をのどかは知らない。
昨日は引っ張られながらあの場に着いたので何処にあるのかサッパリわからない。
如何しようかと迷っていた。
そこに一人の男子生徒が通り過ぎたのでその子に尋ねることにした。
「あ、あのボランティア部って何処ですか?」
身長は160cm程で黒髪でマスクを着けた男子生徒だった。
多分、同級生だろうとの事でのどかはその子に話しかけたのだ。
「は?……面倒だな…ついて来れば」
男子生徒は顔を歪ませてダルそうにそう言うとスタスタと歩き始めた。
そのすぐ後ろをのどかはついて行った。少ししたら彼が止まった。
「……ここ」
と、言って部屋に入って行った。
ボランティア部の部室は南館の四階で一番奥の空き教室を使っているようだ。
桜柳高校は北館と南館、西館とあり北館は生徒たちの教室などがあり西館に職員室や特別な教室がある。
南館は今では使われておらず文化部の部室などに使われている。
「ここが部室か」
意を決してそこへ入るとのんびりとした雰囲気が漂いそれぞれが何か作業していた。
「あの!にゅ、入部します!」
のどかがそう言うと一瞬静まった。
「そうかそうかよかった。ウチは嬉しかよ。歓迎するばい」
瑠唯は昨日と同じく上下ジャージを着てニコニコしながらにそういった。
「かよ?ばい?」
のどかの頭の上に沢山のはてなが浮かぶ中部員はワイワイとしていた。
そこに昨日出会った河野晶羅が頬を掻きながら近寄ってきた。
「あいつ九州からの他県生なんだよ。感情が高ぶったりすると方言が出るらしい。ま、歓迎するってよ」
歓迎される事がこんなにも嬉しく感じるとのどかは知らなかった。誰かの力になれるかもとそう思えた。
「じゃあ自己紹介と行こうか」