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悪魔の住む町

作者: 神名代洸
掲載日:2016/04/15

ここは寂れた田舎町。

訪れる観光客もあまりいない。開発から遅れた小さな町だ。

その町にやってきた僕はどうしたものかと思案していた。

何故ならここには友人とくる約束になっていたからだ。なのに当の友人は寝坊して遅れている。困ったやつだ。

なぜこの町にやってきたかというと、この町には…出るらしい。幽霊が。

僕達は興味本位でやってきた観光客だ。町の住人には悪いが写真なんかを撮って雑誌に載せてお金儲けしようと企んでいた。


「ったく、当の本人がなんで遅れるんだよ。ありえねー。」

やることがなくただぼんやりと町を見回していた。今は昼間、それでも人の数は少ない。

建物だけが多く残されているらしい。

廃墟らしきものも多かった。

仕方がないので廃墟らしき場所に行き、カメラ片手にシャッターを切り続けた。

デジカメな為すぐに確認できる。すると白い丸い玉らしき半透明なものが数個写っていた。

「これって…。霊じゃないのか?」

僕は興奮してきた。

友人も早くこればこの写真を見られるのにとも思ったがもうすぐ着くというのでひたすら撮りまくることにした。



暫くしてようやく友人もやって来てさっき撮ったばかりの写真を見せた。するとすぐに友人は興奮し、場所を案内してとせがまれた。

僕は写真と見比べながら案内して回った。

だがもっとすごい写真があったほうがいいということになり、(高く売るために。)町の住人から聞き込みをしてみることになった。だが、町の住人はなかなか口を開いてはくれない。それもそうだ、住人は知っているからだ。この町自体が霊の巣窟になっているということを。どの家に行っても霊現象はある。それどころかもっと怖い霊が出る場所もあるのだ。怖い霊が出る場所を知りたくて僕達は真剣に聞き込んだ。

はじめは口を噤んでいた住人の何人かは重い口を開いてくれた。

「あの場所が一番だと思うわ。」と。

その場所までは教えてはもらえなかったが、あとは自分たちででも探すつもりではいた。

なので宿泊の用意もきちんとしていた。

1週間ほどの予約を取ってあり、場合によっては延長も考えていた。


「さぁてとどうする?今だとまだ時間も早いからあまり街中をうろつくのはどうかと思えけど…。」「ならさ〜、夜来ね〜?そうだな…12時…とか?」「おお、そりゃいいじゃん。そうしようぜ。」

そう言って二人は宿泊施設へと歩いて行った。他にやることがないからだ。


そしてその夜、打ち合わせどうりに集まった二人は町の中心に向かって歩き始めた。中心には教会が建っている。そこでなにやら人だかりができていた。

見た真っ黒な服を着て首から十字架のクロスをかけている。

クリスチャンなのかとも思ったが、構わない。近寄っていくと、周りを取り囲んで何かしていた。隙間から覗いてみると座り込んだ人が見えた。

「グギャー!」異様な叫び声とその顔を見てしまった僕は思わずシャッターを押し写した顔を覗き込んだ。その顔は真っ赤になっており、怒りで顔が般若のようになっていた。

「あっ。」そう呟いた時にはカメラは町の住人に取られていた。

「返してください。それ、僕のカメラです。」「何を撮っていた?」「えっ??」「何を撮っていたかと聞いておる。」「風景画ですが…」「本当か?」「あっ。」そう言っているのに手にしていた男がカメラを操作し問題の映像を出した。

「何が風景だ。撮ってたのはこいつだろ?!。」そう言って取り囲んでいた場所からひきづって連れてきたのは若い青年だった。確かに服装はさっきと全く同じだ。と言うことはさっきのあの不気味な顔は彼ということになる。

「お前も悪魔がとりついてるのか?ん!?。」

何を言っているのかわからなかった。「悪魔だって?。」「ああそうさ。お前らみたいなのが一番悪魔が取り付きやすいんだ。」そう言うと牧師らしき人が鉄の棒を持って近づいてきた。

僕達二人はどうなってしまうんだろうと不安になった。友人も真っ青になっている。

牧師は何やらつぶやいて友人の足に棒を合わせた。しかし何も反応はない。当てたくらいでは痛くもなんともない。僕も同じだった。しかし、さっきの青年は違った。触れただけで奇声を発し暴れまわった。


「なん、で?」

「そりゃそうさ。聖水につけてあるからな。悪魔にはきついっちゅうもんさ。分かったら帰れ!ここはそう言うのを生業にしてる奴らばかりだからな。いいか、この町から出てけ!。」

僕達は項垂れてトボトボとホテルまでやってきた。しかし、がっくりしていたのはそこまで。気付かれなかったのでしてやったり顔だ。そう、荷物の中に小型ビデオカメラをセットしていたのだ。だからその時のことがハッキリと写っている。


町の住人は皆僕達のことを知っており、泊まりの予定だったのがキャンセルされていた。

「そんな顔すんなって。あれがあればいいだろ?」友人はそう言っていたが、まだ名残おさそうだった。野宿も考えたが、町の住人に見つかって逮捕でもされたら話にもならない。そう思い、帰り支度を始めた。

最後にもう一度と確認の意味を込めてビデオをまわした。人だかりの中呻き声を上げている男が…複数いた。一人じゃなかったんだ。

複数いた。その中には昼間見た人間もいた。

その後だ。

画像が乱れた。

出てきたのは不気味に笑う悪魔のような顔をした女性の顔だった。

首から下はない。顔だけが浮き出るように写っていたのだ。その不気味さといったらなかった。

「うわっ。」そう言ってビデオカメラを落としてしまった。

映像はそこで終わり、声だけがケタケタと聞こえてきた。

ガタガタと震えてしまい、なかなかビデオカメラを取ることができなかったが、友人は恐る恐る取り上げた。

すると映像はすでに終わっており、映像は切れていた。

そんなの撮った覚えはなかったので怖くなった僕は無言で荷造りを始めた。

友人も無言で始めていた。

静かな時間の中どこからか声が聞こえたような気がしてならない。

小さな音が聞こえた。カタッ。ビクッとなった僕は音がした方を見た。だが何もない。


ささやき声が聞こえた。

「お前らは逃げられないぞ…ケッケッケッ。」

「うわっ!」「どうした?」「お前…聞こえなかったのかよ。」「何がだよ。」「もういい。」

僕は真っ青な顔をして荷物を持って部屋を出た。しかし友人はなかなか出てこない。しばらく経っても出てこないのでおかしいと思い部屋に戻った。部屋には友人の荷物は置かれていたが、友人はいなかった。

何処にも…。


友人はどこに行ってしまったのか…。僕は必死になって探した。町のあちこちにも捜索の範囲を広げて。

すると町の中心に出た。

人々がごった返していた。

誰かが中心にいるらしい…。

人々の隙間から見えたのは…僕の友人だった。一人座らされているようだ。顔までは見ることができないが、服装は確かに友人のもの。その彼に向かって棒がつけられた。すると「ぎゃー!。」という声とともに顔を歪める友人の姿が。ありえなかった。いつここに来たのか?いつからいたのか謎だった。

僕は慌てて友人の元に走って行こうとしたが、途中で捕まってそれ以上近づくことができなかった。

友人の目は血走っていた。

「まだいたのか。だから早く出ろといったのに…。」

僕はどうにかなってしまいそうだった。

「いいか〜意識をしっかり保て。奴らに乗っ取られるな!」「奴らって?」「悪魔だよ、あ、く、ま。あいつら心の隙をすぐついてきやがる。大方そいつも隙を突かれたやつだろう。」「そっか、だからあいつは…なんてこった。」「なんだ?何かあったのか?。」

僕はさっきまでの事を話して聞かせた。録画撮りしたのも持っている。

それを聞くと男は黙り込んだ。

「いっかぁ〜、よく聞けよ。その映像は早く消しちまえ。それを見たやつにも影響が出るかもしれん。」「じゃあ、僕にも…。」「まだ出てないが可能性はゼロじゃない。だから今のうちにお祓いしとけ。」そう言って仲間の所に連れて行った。友人はまだ取り囲まれたままわめいていた。

僕はすぐにお祓いを済ませ、友人の変わり果てた姿を見に舞い戻ってきた。

友人は友人ではなく悪魔となっていた。「ぎゃー!」と喚くその声はもう友人の声とは違っていた。

儀式が始まった。

聖水を手に呪文を唱える者。

逃げ出さないように取り押えるもの。

総勢10人であたった。

悪魔は徐々に力を失いやがて大人しくなった。

そして…消えた。

友人はその時のことを全く覚えておらず、僕は何も言葉にできなかった。

そして町をあとにした。

もう二度と来ることはないだろう。


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