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第9話 問題

「おねーさん!これ終わったから確認して!」

「もう終わったの?偉いねー」

「うん!早く帰ってお母さんに教えるんだ!」

「きっと喜ぶから寄り道しないで帰るんだよー?はいじゃあ報酬の銅貨1枚ねー」

「またくるね!」


 ギルド(・・・)の受付嬢からもらった銅貨を大事そうに握り締め少年はそう言って笑顔で帰っていった。


「順調みたいですね」

「ギルド長!?いつの間にそこに!?」


 ナルが後ろにいたことに気づかず声をかけられ受付嬢は動揺した。


「ついさっきですよ。あっち(・・・)の方は問題なく機能してました」

「いきなり後ろに立つのは止めてくださいね?」

「普通に近寄っているんだけどなあ・・・」

「それにしてもギルド長の考えた方法はすごいですね」

「成功して本当によかったと思っています」


 ・・・ナルが冒険者ギルドを管理し始めてから約1ヵ月が過ぎようしていた。

 そしてナルはギルドの管理をし始めた頃いの一番に元ギルド長の部屋を漁った。というよりも掃除のために必要なことだった。

 最初その元ギルド長であるアクライド・メメルスの執務室を見たときは唖然とした。何故ならただ剣や金貨が適当につまれていて書類関連はそこら辺に捨ててあったからである。

 これに対してナルは一瞬で無駄と判断し受付嬢であるカルプさんに撤去と売却をお願いした。

 そして机と本棚ぐらしいか残らなかったが別に金を使う必要性など余り無いと判断し最低限の物だけを配置した。

 そして1週間冒険者ギルドを休業した。これに対して文句を言う冒険者は少なくというよりも全体的にあのクズギルド長であったためやる気が無かったので適当に相槌をうっていた。

 そこで俺がギルド長になったことを伝えたわけだが・・・うん。戦闘になりました。

 まあ、ギルド長があの程度だったからここにいる冒険者はそれ以下だとわかっていたからなんとでもなった。

 そして冒険者達はナルの強さを認めた。だが、また前のギルド長と同じになるだろうと思ったのか反発した冒険者はこの町を出て行った。

 そして残った冒険者達はナルに意見をぶつけ改善できることだけを拾って話を纏めていった。

 次に問題だったのは人材だった。普通に考えて人材が足り無すぎることだった。

 まずナルはカルプに知り合いで仕事できそうな人を何人か紹介してもらった。まあ、はじめは俺がギルド長になったことにひどく驚いていたけど。

 まずこの段階で2日が過ぎた。もちろん次の1日は仕事を覚えてもらうためみっちりと俺が考えたルールを教え込んだ。

 そしてその次の日はギルド内の工事だった。まず入り口が狭い。一人しか入れないスペースの入り口なんてぶっ壊して新しく作り直した。木工を呼ぶかという話になったがそこは俺がやった。

 高校生の頃にやった技術の基礎知識を生かして扉の製作をした。向こうと違い木と鉄だったので水魔法と水の精霊魔法でワックスとニスを作り出した。

 この時、魔法ってなんでもありなんだなと心底思った。普通なら化学物質を化合して作り出すのをこんな風だったって思い出すだけで実際にできてしまったからだ。

 そんなこんなで扉は以前よりも4倍ぐらい大きい開閉型のドアにした。

 次はギルド内の掃除と場所作りだった。こんなだだっ広い場所に机と椅子が少ししか置いてなく受付に関しては1つしかない。これを改善。

 受付は4つに増やし、ばらばらに置いてあった4本足の机は撤去代わりに壁側に机をくっつけるタイプにした。これで受付から入り口までの道のりで人が引っかかることはなくなった。

 そして5日目はギルドの管理全般についてだ。

 まずは人員の交代制、休憩時間、勤務時間の設定、給金の配布量などを決めた。

 月末に一回報酬のための金貨と給料用の金貨分が送られてくる。

 まず報酬用の金貨だが、これは金庫と言っても木箱だが魔法が掛かっている特殊なタイプのに保管することになった。

 次に従業員用の給金だがもちろん街をまわり平均金額を算出し、給金を渡すことにした。それは銅貨8枚にした。これに異議を唱える従業員もいた。だが、時間通りに仕事を終えることと昼と夜にご飯が支給されることを言ったら何も言わなくなった。

 まあ、そんな仕事場は他にはないと思うからなこの世界の仕事(・・)というあり方を見ていると。

 そしてようやく目的が達成できる6日目になった。その目的とは冒険者ギルドの一般化だ。

 ようするにいままでのギルドは命の危険がありすぎた。そもそもこの街の門からすぐ出たところからすぐに命の危険があるとか普通ならありえない。情報が足り無すぎたのだ。

 ただ冒険者は依頼を受けて魔物を狩ってくる。逆に言えばそれだけ(・・・・)なのだ。

 だから回りの情報が無い。いや、大雑把にならあった。それはこの国が隣接している場所を移す地図だ。だが、載っている情報は国と国をつなぐ街道一本のみそれ以外は何も書いてない。

 心底呆れた。まあ、自分の国以外がどうでもいいという考え方なのだろう。そうすればこの馬鹿な地図も納得する。・・・そしてこの地図が示している意味にはもうひとつ理由があると気づいた。それは戦争だ。

 他の国に自分の国の詳細な情報を渡したく無い。それを渡してしまえばこちらの国が危険になるという思考が感じ取れた。

 まあ、そんなの無視してこの国の地図作ったけど・・・。

 そしてこの地図をつくったことにより安全な場所と危険な場所の区別がつきやすくなった。それにより8歳から12歳の子供でも依頼を仕事として受けることが出来るようになった。

 もちろん「貴族の子供はお断り」とギルドの前に張り紙として張ってある。もちろん内容はもっと柔らかく書いてあるが。

 理由としては貴族の子供よりもその親が面倒だからである。やれうちの息子が娘がとか絶対に言ってくるとわかっているからだ。逆に言うとそんな親の子はほとんどが傲慢に育っているとわかるため余計に貴族は却下だ。

 まあ・・・依頼とかは受けるけど。

 とそんなこんなで今のギルドがある。意見をぶつけてきた冒険者達も今は積極的に依頼を受けている。話せばちゃんとそれについて考えてくれているとわかったからであろう。

 それ以来ギルドは今の良い状態で続いている。

 

「・・・長・・ド長!」


 今の所は問題ないがいずれ他の国から冒険者が流れてくる。さて情報の公開はどこまでにするべきか・・・むう・・・


「ギルド長!!!」

「はい!?」


 受付嬢が呼んでいたことに気づかずナルは声が裏返った返事をした。


「どうしたんですか急にだんまりしてしまって?」

「ちょっと考え事です」

「考えるのは悪いとは言いませんが時と場所を選んでくださいね?」

「失礼しました」


 手をあげ降参のポーズをとったナルだがその時だった。


「道を空けろ!平民ども!」


 入り口の方で嫌な声が聞こえてきた。


「はあ・・・またですか」

「・・・お疲れ様です。ギルド長」

「じゃあちょっと行ってきますね」


 そう言ってナルは騒ぎの元凶である入り口へと向かった。

 そこには予想通り貴族がいた。しかも脂ぎった・・・豚?のようなやつがいた。

 そしてナルに気づいたのか豚・・・貴族らしき人物がこちらに声をかけてきた。


「おいそこの平民!ギルド長に会わせろ!」

「・・・私がギルド長ですが?」

「何!?お前みたいな小僧がか!?」


 「あーはいはいすみませんねー小僧ですよー実際は3歳ですからねー」と言おうとしたがそこは理性が働きばっちり抑えた。


「そうですが?今日は何用ですが?見たところ貴族(ばか)様ですよね?」

「貴様!我が娘が冒険者になれないとはどういうことだ!!」


 あーそういうことね。全く今月で何回目だ?これ・・・


「その件でしたら他の貴族の方にも言いましたが親と子で完全に縁を切ってもらわなければ駄目ですよ?それも血の契約で」


 血の契約とは言葉で行う契約と違い自らの血と契約の対象者の血を専用の魔方陣の上に垂らしてその契約を反故にできないようにするためのものだ。

 この契約が破られた場合破った方に死がもたらされる呪いがかかるという物だ。


「ぬう・・・だがそれは」

「ええ今後一切お嬢さんはあなた様の力を借りることは出来ないということになりますが?」

「ぐう・・・・・・」


 どうだ・・・?


「そうだ!それはここのギルドが勝手に決めたことだと聞いたぞ!」


 なるほどそこまでちゃんと情報を揃えてきたわけね。まあ、別に言うことはかまわないけど。


「そうですが・・・残念ながら私は冒険者ギルド総代表からちゃんと許可をもらってここの管理をさせてもらっているのですがね?」

「ギ、ギルド総代表だと・・・」


 ・・・やれやれ、どの貴族もこの名前を出すと皆怯えだすが本当にあの爺さん何者だ?


「それでですがどうしたしますか?」

「ぐう・・・わかった。おいお前達帰るぞ!」


 豚がそう言うと護衛役をしていた数人が冒険者ギルドから出て行った。


「どけ平民!」


 ドカっと何かを殴る音が聞こえた。


「きゃっ・・・」


 ・・・我慢しろ。()はまだその時じゃない。

 ナルの体の中で竜人の血が「奴を殺せ」と言ったがその衝動を無理矢理抑える。

 そしてその衝動を我慢しているうちに豚は帰ったようだった。


「・・・ッ!はあはあ・・・・・・」


 本当にキツイこれを抑えるのにいったいどれだけ1日で使う体力を持ってかれるのか・・・

 それよりもさっき殴られた女の子が心配だ。

 そう思いナルは女の子がいた場所へと足を急がせた。


「大丈夫か?」

「はい。ありがとうございます」

「・・・すまない。下手に騒ぎを起こすと他にも被害が出るから」

「わかってますから。謝らないでください」


 そう言って女の子はどこかに行ってしまった。


「・・・俺も戻ろう。さっさと次の案件を片付けないと」


 そうだ。今はまだその時じゃない。全てを始めるのは母様がおきてからだ。

 周りが普通の状態じゃないならそれを普通になるまで頑張る。

 そのためにはまず、この国とは違う国を作らなければならない。発想が異常で普通じゃないのもわかってる。だが、この硬直した場所では何をしても無駄だ。なら最初からそういう環境を作るしかない。

 そのためには今から冒険者ギルド内で俺という名を広げなければならない。これはそのための一歩だ。

 ・・・・・・・・・・普通って遠いんだな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:イチノミナル


性別:男


種族:人族(竜人族)


HP:9500/9500

MP:14500/14500


  力:91

 魔力:196

 知能:312

 防御:101

 精神:335

 速度:77

  運:41


能力


 精神耐性、疲労耐性、環境耐性、体力消費軽減、ステータス上昇補正、覚悟、正論毒舌、幸運、魔法取得速度補正、適正力、物理耐性、魔法耐性、貫通


スキル


 威圧Lv3、論破Lv2、火魔法Lv3、水魔法Lv3、土魔法Lv3、風魔法Lv4、光魔法Lv3、闇魔法Lv2、精霊魔法Lv3、精霊召喚Lv6、格闘技Lv2


ユニークスキル


 洞察の目、スキル上限開放、開眼、竜人化


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本日からナルのステータスを表記することにしました。


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